陰山ねう

ひきこもりのもの書き。noteには自作の詩を中心に投稿しています。あまりマメな方ではな…

陰山ねう

ひきこもりのもの書き。noteには自作の詩を中心に投稿しています。あまりマメな方ではないため、フォローやスキには一律でフォローをお返しさせて頂いております。いつもありがとうございます。Twitterの方が少しばかり活発に動いているので、興味があればそちらもどうぞ。

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「陰山ねう」プロジェクト ひっそりと始動──【改訂版】

はじめに こんにちは。この記事では「陰山ねう」の簡単な自己紹介から決意表明のようなことまでしています。初めましての方は、こちらからご一読頂ければ幸いです。 もの書きになったきっかけ 私がもの書きになったのは、十代後半のことでした。それまでの人生では、せいぜい小中学校の作文や読書感想文くらいでしか文章を書くことはありませんでしたし、もの書きになったと言っても、もちろんそれで何か対価を得ていたわけではありません。 当時のインターネットでは、個人がテキストサイトを持つことが主流

    • 消息を絶った君へ

      随分暖かくなってきたけれど 私が目覚めるならまだ先がいい いつしか消息を絶った君は 財布もスマホも置いて行ったね 春めく駅前を行き交う人々は何食わぬ顔で その実、花粉から逃げ延びることに必死だ 手書きのビラはなかなか受け取ってもらえない この似顔絵の出来には自信がない でも写真が一枚もなかったから 今度の出会いは大切にしないと いつも同じことを思っている気がする また何かが始まりそうな予感もする まあいいか 帰ってくるまで待っているから、おやすみ

      • 睡眠障害、あるいは存在意義

        今日は一時間睡眠の脳がフル回転 惰眠という惰眠を貪り尽くしたら またそういう周期に突入したらしい まるで地球に接近するあの彗星のように もしくは内部で躍動するマグマのように 私の不安定は安定して訪れる これもまた自然の営みに組み込まれているのなら 私の存在意義となるだろう ただ生きていてもよかった そういう結論となるだろう 混濁する意識の向こうに明瞭な何かがあって それは夜道の街頭 深海の探査機 そういう人工的なものでは台無し 本当は何でも良いのだけど 『神様、どうか

        • 戦争が始まった

          戦争が始まった 現代におけるそれはますます情報に溢れ返っている インターネットにアップロードされ続ける映像には 逃げ惑う市民と破壊された都市 それをスマートフォンで見つめる僕らと 戦地に送られる兵士の違いは何だ 人道に反する 各地でデモが行われる 敵を前に団結する 正義と正義が衝突する 奪う命と奪われる命 善人か悪人 被害者と加害者 対立構造から抜け出せない 誰でもいいから断ち切ってくれ 人類誕生から紡がれるこの連鎖 凍てついた戦場 人々の表情 それをネタに詩を書

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        「陰山ねう」プロジェクト ひっそりと始動──【改訂版】

          誕生日コンプレックス

          また誕生日が過ぎてしまった 今年は誰とも会わなかったから 「おめでとう」を一つも貰えなかった そもそも何がめでたいのだ 生まれたくて生まれた人などいないはずなのに なんて考え出してしまう幼児性がまた 重ねた年齢にそぐわぬ暴走を始める 何も成してはいなくとも確かに年老いていく 「まだ若いじゃないですか」と若い子が言う できれば俺だってずっとそのままでいたかったよ なんだかんだ言っても世間は年相応を強いてくる 「あそこの息子さん、あの年で定職にも就かずにぶらぶらしているんだ

          誕生日コンプレックス

          逃げゆく二月に

          一月はすでに行ってしまった 新年の祝いも早々に 戻ってくることはないだろう 二月はもうすぐ逃げてしまう 何に追われているのか知らないが 私も連れて行ってはくれないか 三月だっていずれ去るらしい それなら最初から出会わなければ なんて愚かな考えか 四月がもたらすのは死か幸せか そのどちらかは極端すぎないか 馬鹿も大概にしてそろそろ働け

          逃げゆく二月に

          孤独だけが友達でも

          いつだって自分とばかり向き合っている そんな僕に仲の良い友達などいるはずもなく そもそもこんな毎日に知り合う機会もなく また自分にそんな言い訳をしてみては むしろ孤独にどこか親しみさえ覚えて こんなところまで来てしまったよ ある日のコンビニで店員に声をかけられた 日常会話の一つのようだったそれは 僕の日頃の生活にはない温もりを帯びていて まるで神のお告げでも聞いたかのような衝撃で ここまで孤独を拗らせた自分が可笑しくなったんだ そんな幸福などとは程遠い瑣末な出来事にさえ

          孤独だけが友達でも

          思春期の家畜

          いまだに僕の夢の世界は 小学校や中学校が舞台 登場人物は同級生や先生 当時のままの姿で出演 僕の方はいつの姿だろう あの頃から更新されない想いが きっとそうさせている 悔しさを噛み切れないまま 奥歯に挟まっているような感覚 しかし過去に戻ることもできず ならばせめてと夢の世界で 同じ時空を繰り返している 見たって気持ちのいいものではないし 悔しさが噛み切れるわけじゃない しかし現実にも打開策はないのだ 自分なりに成長したふりをして 大人になったふりをして 遂げられなかっ

          思春期の家畜

          春を待つ

          春を待つ、二月のある日 皆、夢中になった「春よ、来い」 耐え忍ぶ季節である、冬を 待つ物好きなど、いるものか 出会いと別れ、それらもなく 桜舞う春に、誰もが焦がれ 憧れまで蝕む、寒さに震え まだか、まだかと春を待つ 雪舞う夜に、私はストーブの前 白くなる、想いと街と待ち人と

          春を待つ

          やけくそな詩

          「普通」を装って過ごす日々の中に 被害妄想的な窮屈さを感じながらも そこから外れることの意味をよく知り 夢は夢の中だけでしか見ないようにしている 私という小さな宇宙の中では私は神様 全てを俯瞰して達観して掌握したつもり 時にアルコールが最奥の熱情を漏らしても 嘲笑われぬ程度の冷静さは常にここにある 例えば街中で刃物を振り回す狂人の心中 そんなものは理解など到底できるはずがないと 常識的でありたいだけの理性が今日はやたらと感情的 人目を憚ってばかりの裏側はグサグサと刺されが

          やけくそな詩

          鬼が内、福が外

          子供たちが豆を投げる 鬼も福もよくわからぬまま その行為が何だか楽しくて 大人たちが豆を投げる 鬼も福もよくわからぬまま みんながそうしているから 鬼のような形相の司会者 口を揃えるコメンテーター いわゆる同調圧力に屈している 炎上したユーチューバーに 昨日までの様相とは一変して 心ないコメントが殺到する 福が外ばかりの日々の中に 豆を投げるべき鬼を探す 彼らの内にこそ鬼が宿る ならば鬼と豆を食う 一緒に福を呼ぼうじゃないか 俺たち気が合いそうだ

          鬼が内、福が外

          【ポストカード】過去に制作した作品たち 第一作~第三作

          はじめに 私は数年前、地元の小さな支援団体で不登校やひきこもりの「ピア・サポーター」として活動していました。自分自身が当事者であるからこそ、できる支援の形を模索していたのですが、居場所支援の一利用者としても、対等な立場で皆さんと接していました。 そんな中、利用者の皆さんの得意分野を活かし、ハンドメイドの作品などを販売させて頂く機会が度々あり、私もそこに参加させてもらっていました。 私が詩作を始めたのは十代後半のことでしたが、その一環で、自分自身で撮影した風景写真などに言葉

          ¥300

          【ポストカード】過去に制作した作品たち 第一作~第三作

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          超新星爆発

          僕らの悩みなんて 宇宙から見たらちっぽけなものだよ 優しい顔をしてそんなことを言い出す 君の職業は宇宙飛行士か何かだっけ 僕の悩みは田舎の星空のように雄大で 答えはきっと特異点の先にある つまり僕の中にも宇宙がある 君の中にも宇宙がある ゴミ屋敷の住人が寂しさからそれを集めるのなら 大量のゴミを纏ってしまった地球も寂しがり屋だ だから僕らの悩みだって 宇宙から見てもちっぽけなものなんかじゃない それぞれの宇宙を彩る銀河だ 悩み抜いた僕らの最期はきっと眩い光を放つよ

          超新星爆発

          自分だけの言葉

          ショッピングモールの雑貨屋に設けられた ポストカードのコーナーに つまらない言葉が並んでいる こんなもの 毒にも薬にもならないよ 手に取る女子高生たちの表情が眩しい まるで詐欺師に引っかかるカモみたい 偉そうに講釈を垂れる大学の教授に 胡散臭いセミナーの講師とか そういう奴らに操られた言葉が 都会の街をふわふわと漂っている 大事な想いはビル風に飛ばされて 抜け殻がさながら偶像崇拝されている ミュージシャンが叫んだ情熱も 芸能人の退屈な謝罪会見も 僕が書いたくだらない詩

          自分だけの言葉

          インターネットの隅っこで

          インターネットの隅っこで 縮こまって泣いている フォロワーの桁 いいねの数 そんなものはどうでもよくて あくまで理性的な言葉を繋いで 感情はどこかへスワイプする 安っぽい共感を得るくらいなら 承認欲求に私を売り渡すくらいなら インターネットの隅っこで 縮こまって泣いている 奇跡や運命なんて馬鹿馬鹿しい 欲望こそ際立つこの世界で 繋いだ言葉がそれ以外の何かに繋がる そんな日を夢見ながら 実現すればそれは 奇跡や運命と言えるような 矛盾したこの願望もまた 縮こまっ

          インターネットの隅っこで

          シュレディンガーのひきこもり

          この部屋のカーテンを開けなくなって 十数年が経った頃 今日も閉め切ったドアの前に運ばれた 夕食のラップに光る水滴 温かい飯の湯気はのぼることを許されず 閉じ込められて集まって大きくなった 僕はと言えば何の変化もない 当然のことにふと悲しくなる 誰からも観測されることのない存在 生きているのか死んでいるのか 僕が確定するのはいつのことか まだ当分はこのままがいい

          シュレディンガーのひきこもり