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部屋のベッドでぐったりしていたあの頃の私へ

その年の夏は、異様なまでの猛暑だった。

あまりにも暑くて部屋のクーラーをがんがんにかけるけれど、一歩外に出れば灼熱地獄のような暑さがやってくる。

ただでさえいろいろなやる気やエネルギーが枯渇していた私は、暑さによりさらなるダメージを負った。

学校の授業もあるのに、ただひたすら部屋のベッドでぐったりと横たわっていた。
食欲もほとんどなかった。
買いだめして冷蔵庫で冷やしていたスポーツドリンクをちびちびと飲みながら、何もできない自分に絶望していた。

気づいたときには、体重が4キロ落ちていた。

***

夏も終わりかけのある日、私は図書館へ行くために自転車をこいでいた。

夕方の風にふかれながら、ふと「実家に帰ろう」と思った。

あれだけ何もできないでいたにもかかわらず、その時の行動は早かった。次の日には片道3時間以上かかる実家の前にいた。

実家に帰ってから、ある程度規則正しい生活を送れるようにはなったけれど、やっぱり何もできないままだった。

2週間ほど実家に滞在して、自宅に戻った。帰って最初にやったことは、部屋の片づけと掃除だった。

散らかったものをひたすら集めて分別しながら、片づけができる程度には回復していたことに気づいた。

毎日三食ご飯を食べてお風呂に入って夜は寝るという生活を続けることは、どうやらそれなりに大事らしい。

見えないところで、何かが少しずつ回復していたようだった。

***

時折、あの頃の夏を思い出す。
今振り返っても、何がそれほどまでにしんどかったのか、言語化することは難しい。

「あの夏にこれができていれば」と、後悔する事柄がまったくないといえば嘘になる。

それでもやはり、あの夏に戻りたいとは思わない。

***

今年も夏がやってくる。
去年は猛暑だったから、今年はそれほど暑くならないという話もあるけれど、どうなのだろう。

いろいろと思い入れのある季節だけれど、私は夏が嫌いじゃない。

照りつくような夏の日差しも、日焼け止めの匂いも、どこかから聞こえる風鈴の音も。

あの夏の頃の私は、数年後に自分が働いていることなど、想像もできなかった。

生きていれば、思いもかけないような出来事に遭遇することがある。どうにかなることもあるし、どうにもならないこともある。

さて、今年の夏は、どんな夏になるだろうか。


#エッセイ #日記 #夏 #夏の思い出 #令和最初の夏 #体調管理 #言語化


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