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論文(自己測定を含む量子測定系)を書いてますが、 研究者ではありません。前世紀の化石の…

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論文(自己測定を含む量子測定系)を書いてますが、 研究者ではありません。前世紀の化石の物理ミーハーです。 大学や院は、個々人のためではなく、現代社会の維持・発展のためにあり、 奨学金も同様、その受益者は社会全体です。 実学だけにしてしまうと 高度産業文明を支える人がいなくなります

マガジン

  • 堀田量子や堀田先生への質問

    堀田量子(入門/現代の量子力学)で気付いたことや Mondで堀田先生に質問です。 https://mond.how/ja/hottaqu

  • 前世紀の残務整理

    前世紀(主に昭和)の教科書や考え方の間違いです。

  • 私(老害?)の主張

    X(twitter) で話題になったことや社会・政治に対する 私(老害?)の主張です。

  • ちょっとした証明や計算

    本に載っていない ちょっとした証明や基本的な計算です。

  • 清水明「新版 量子論の基礎」を解説(一部有料)

    いわゆる「清水本」を解説します「線形代数」の説明つき。 2章純粋状態・混合状態から、8章ベルの不等式とその破れまで。 数式導出の行間を「説明しながら板書していく動画」を付ける予定

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大学は危機に瀕しています。  自民保守派

大学の授業料の値上げ(一般的には大学支配の強化)に対し、 戦おうと言う方、大学は戦えと言う方は多いですが、 僕は、世間の風潮を考えると、大学というか研究者は戦ってはいけない と思う。 自民保守派は、今は北朝鮮、 20XX年には中国と対峙しないといけないので 知的階級とそれを産み出す大学は、その邪魔と思って潰そうとしている だけでしょう。 でも、本当に無くさないといけないのは、 「犠牲者が出るくらいなら降伏するほうがいい」 とうわべでは言うが、 本音は 「今の生活を守りたい」

    • 二重スリット実験でのボルンの確率規則

      二重スリット実験でのスクリーン上の位置xの確率分布p(x) は、 全状態の密度行列をρとし、スリットをA,Bとすると、 ボルンの確率規則は、堀田量子p25式2.27: p(x) = Tr[ ρ|x><x| ] ですが、二重スリット実験でのp(x) は一見、これに従わない ように見えます。というのは、 トレースをとると、|<x|ψ_A>|^2 + |<x|ψ_B>|^2 になるように 思えるからです。 仮にそうであるとすれば、Tr[ ρ|x><x| ]の中に スリットAを通った

      • 射影仮説における状態収縮と「意識」の関係

        電子のスピンの↑・↓やコイン投げの表・裏 とかにおける 状態収縮を考えてみます。 測定器は、先端の量子的相互作用する部分D1と残りの古典的部分D2に 分けて考えます。 観測者は、脳内の「情報を処理して認識する系」=意識 と考えます。 ただし、コイン投げの場合、観測者が「直接見る」ことになるので 測定器は実験系の一部(測定対象と不可分)として考えれば良いです。 また、射影仮説は、測定対象と測定器の合成系に対して適用 しないといけないですし(Glauberの1963年の論文)

        • シュレーディンガ方程式の平均値の方程式

          シュレーディンガ方程式: ih'∂t ψ=Hψ、 -ih'∂t ψ*=(Hψ)* より、Aを時間に依存しない演算子として、ψ*Aを左から掛けて (ψ*A)ih'∂t ψ=ψ*AHψ Aψ を右から掛けて -ih'∂t ψ*Aψ=(Hψ)*Aψ 上から下を引いて ih'(ψ*A)∂t ψ+ih'∂t ψ*Aψ=ψ*A(Hψ)-(Hψ)*Aψ 左辺は全微分であり、エルミート性を使うために両辺をxで積分すると ih' d/dt ∫(ψ*Aψ) dx = - ∫(Hψ)*

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          [大学教育の危機] ぼくの ていあん  [公的補助の財源]

          大学教育は、 ・選択と集中、実学重視 ・公的補助の削減 ・私立との公平化 これらによって、危機に瀕していると思います。 教育は国家百年の計ですが、 今、政府の財政健全化の名のもとに、大学への公的補助が 年々減らされています。 また、私立との公平化のために、国立大学の学費を上げろ という声もあります。これは「財源がない」というのが前提の議論であり 財源を作って、私大への補助を増やす方向に考えるべきで、 国立大学の学費を上げるのは「悪平等」です。 学費として、学生やその家庭に押し

          [大学教育の危機] ぼくの ていあん  [公的補助の財源]

          大学教育は危機に瀕しています   「選択と集中」

          文科省の言う「選択と集中」 研究での「重要な発見」は、目的・目標を定めて出来たものは、 まずありません。 できたとしたら、それは「研究」ではなく「開発」です。 例えば、トランジスタは、 「増幅機能のある素子を作ろう」とか 「真空管の替わりになるものを作ろう」 とかいう意図があってできたのではありません。 純粋に近いゲルマニウムの電気抵抗を測ろうとして、 偶然 発見されたものです。 それまでも、ゲルマニウムの抵抗を測った人は、多かったと思います。 しかし、誰も「純粋に近いゲ

          大学教育は危機に瀕しています   「選択と集中」

          大学教育は危機に瀕しています      「実学重視」

          世の中の人には、大学なんて関係ないとか 就職や出世のための手段(旧帝大は、人生のエスカレータ)とか 思っている人も多いと思います。 でも、それは間違いです。 私は、大学を含め学校は、(個々人のためでなく)「世の中のため」、 「現代文明のため」にあると思っています。 現代文明は産業に支えられ、また産業を発展させる産業文明です。 産業文明を発展させるのは、大学・高専などの高等教育だからです。 しかし今、安倍元首相の「実学重視」発言と文科省の指導「選択と集中」で、 大学の教育は

          大学教育は危機に瀕しています      「実学重視」

          [清水先生へ] 射影仮説は原理ではないのでは?

          質問の背景 射影仮説は、小澤正直博士によってボルン則から証明されました。 いわば、定理です。清水先生ならご存知と思います。しかし、 放送大学の今年発行のテキストにある清水先生の章では、 p210に「量子論の基本原理Ⅴ」として載っています。 なので、射影仮説は原理ではないのでは? という質問になりました。 質問の内容 射影仮説は、近年 小澤正直先生によって、ボルンの確率規則 から 導かれたと思います。 (例えば、堀田先生の教科書のp102にあります。 なので、射影仮説は、

          [清水先生へ] 射影仮説は原理ではないのでは?

          [ちょっとした計算] もつれ状態の部分系の状態

          測定の時のもつれ状態を、観測者から見た全体系は 例えば、スピンの↑・↓で、測定対象をs、測定器をdとするなら 全体系の状態=|↑s>|↑d> + |↓s>|↓d> という純粋状態の重ね合わせです。 1.観測者にとっての部分系の状態 全体系の密度行列=(|↑s>|↑d> + |↓s>|↓d>)(<↑s|<↑d| + <↓s|<↓d|) =|↑s>|↑d><↑s|<↑d|+|↓s>|↓d><↓s|<↓d| (↑↓が混じる状態は矛盾するので、|↑s>|↓d>とかは確率0) 部分

          [ちょっとした計算] もつれ状態の部分系の状態

          [質問] 測定器を量子力学で扱うには?

          量子力学での測定器は、射影測定でもPOVM測定でも、 測定対象の物理量が入って、測定結果の1つの値と それに対応した1つの状態(射影測定以外では一般に複数の状態) となるブラックボックスです。 しかし、測定器は量子力学でも、物理的に「存在して」いますし 少なくとも古典的には、そのメカニズムを記述できます。 量子力学でブラックボックスにするのは、 量子的測定過程が、非線形な非ユニタリ過程なのと、 測定器のメカニズムが、測定対象と別の物理系(バネとか電子回路) なので、一概にシュ

          [質問] 測定器を量子力学で扱うには?

          第二量子化を波動関数の量子化だと思ってる方へ

          場の理論を昭和の教科書で学んで、 量子力学のシュレーディンガ方程式と シュレーディンガ場(=非相対論のスカラー場)の方程式 であるシュレーディンガ方程式 とを同じと思ったり、 場のxyz(パラメータ)と、位置表示の波動関数のxyz(物理量) との違いがわからなかったり、 シュレーディンガ方程式は、量子力学の方程式 クライン-ゴルドン方程式やディラック方程式は場の理論 の方程式であると思っている方は、以下をお読み下さい。 ① 量子力学(非相対論的)   粒子(個数が固定)を量子

          第二量子化を波動関数の量子化だと思ってる方へ

          [堀田量子] 隠れた変数理論では、もつれ対での確率分布を説明できない

          堀田先生への質問: https://mond.how/ja/topics/aep4wm8wrq2dm0k で、隠れた変数理論は、 「相反する状態が 瞬間瞬間には確定しているが、 「あるランダムな作用」により猛烈な速さで入れ替わっている (例えばプランク時間程度の時間で入れ替わり) とすれば、測定での時間解像度では、区別できず 事実上『重ね合わせ』となる」 したがって、密度行列で考えると、 「確率分布を表す対角項」だけでなく 「干渉成分を表す非対角項」も存在することになる。

          [堀田量子] 隠れた変数理論では、もつれ対での確率分布を説明できない

          [清水量子 放送大学編] 量子論を記述するための数学

          主に線形代数のことですが、知らない方、忘れた方に説明します。 複素数zの複素共役 z* と書きます(p186の例12.5) 「虚数項の符号を逆にする」では、 複素数からなる複雑な式の場合、わけが分からなくなります。 全てのiを-iに置き換えると考えれば、式でもOKです。 式f(x) が与えられたとすると f(x)内の全てのiをパラメータaにした式を g(a,x) とすると f(x)=g(i, x) であり、その複素共役は g(-i, x) です。 ベクトル空間という集合

          [清水量子 放送大学編] 量子論を記述するための数学

          [質問] 局所実在論で重ね合わせ状態はありえるか?

          質問内容: 先生の「入門/現代の量子力学」の付録G.1の「隠れた変数理論」 についてですが、 どこかで「局所実在論であっても重ね合わせ状態はありえる」 旨、書かれていたと記憶しています。 (僕の勘違いなら、この質問は無視して下さい) 対象系の状態を密度行列ρで表すと 相反する状態の重ね合わせなら (相反する状態からなる)干渉項が 必ず存在します (ρ=(|a>+|b>)(<a|+<b|) では |a><b|+|b><a| が干渉項) p264の「未知ではあるが決定論的な、、

          [質問] 局所実在論で重ね合わせ状態はありえるか?

          [清水量子 放送大学編] 古典論から量子論へ

          古典物理学の限界 古典論の破綻には、テキストで取り上げられている「原子の安定性」以外に 「黒体輻射が紫外域で∞になる」 「比熱の低温での変化」 「光電効果」 があります。 ラザフォードの実験で、当時主流だった原子の「ぶどうパンモデル」 (ランダム運動する電子の「スープ」に原子が点在しているモデル) は、否定されましたが、なぜ「ぶどうパンモデル」だったかと言うと 「電子が円運動すると電磁波が放射されエネルギーを失う」 ことがすでに知られていたので、「太陽系モデル」や「土星モデ

          [清水量子 放送大学編] 古典論から量子論へ

          [清水量子 放送大学編] はじめに

          「新版 量子論の基礎」の著者である清水明先生が、 放送大学で、今年4月から開講される「物理の世界」の 後半の「熱力学」3回と「量子力学」4回 を担当されます。 ここでは、この「量子力学」について解説します。 テキストは、放送大学教材「物理の世界」で、 たぶん、アマゾンで入手可能と思います。 内容は、 第11章 古典論から量子論へ 第12章 量子論を記述するための数学 第13章 量子論の定式化 第14章 ベルの不等式 であり、ほぼ「新版 量子論の基礎」のサブセットです。 「新版

          [清水量子 放送大学編] はじめに