見出し画像

[ちょっとした計算] もつれ状態の部分系の状態

測定の時のもつれ状態を、観測者から見た全体系は
例えば、スピンの↑・↓で、測定対象をs、測定器をdとするなら
全体系の状態=|↑s>|↑d> + |↓s>|↓d>
という純粋状態の重ね合わせです。

1.観測者にとっての部分系の状態

全体系の密度行列=(|↑s>|↑d> + |↓s>|↓d>)(<↑s|<↑d| + <↓s|<↓d|)
=|↑s>|↑d><↑s|<↑d|+|↓s>|↓d><↓s|<↓d|
(↑↓が混じる状態は矛盾するので、|↑s>|↓d>とかは確率0)
部分系(s)の密度行列は、これからdの状態を縮約したものだから、
部分系(s)の密度行列=|↑s><↑s|+|↓s><↓s|
これは混合状態(干渉項がないので状態ベクトルで表せない)
同様に、sの状態を縮約したdの密度行列=|↑d><↑d|+|↓d><↓d|
であり、混合状態。

2.部分系にとってのもう一方の部分系の状態

上記より、全体系の密度行列=|↑s>|↑d><↑s|<↑d|+|↓s>|↓d><↓s|<↓d|
部分系(s)の密度行列=|↑s><↑s|+|↓s><↓s| で、
(観測者の状態を含まないことに注意)
これを対等なd系から見ると、|↑s>と|↓s> が両方あり(純粋状態かは不明)
d系の状態を含まないことに注意して、
s系自体の密度行列= |↑s><↑s|+|↓s><↓s|+|↑s><↓s|+|↓s><↑s| 
=(|↑s>+|↓s>)(<↑s|+<↓s|)
これは状態ベクトル|↑s>+|↓s> であり、純粋状態。
よく考えると、全体の観測者から見たらs系は部分系だが、
s系自体をd系からみたら対等であり、測定する前、
s系が↑と↓の重ね合わせになっているのは、当たり前の話。
(s系が混合状態なら、全体系は 完全な重ね合わせ状態にはならない)

3.1と2は矛盾しない

一見矛盾するようだが、これは広く言えば「観測者によって状態は異なる」
のと同じことで、
全体の観測者から見たらd系は混合状態というのは、測定開始や状況に
かかわらない状態だから(もちろん測定後は、1つの純粋状態に確定)
s系自体をd系からみたら、↑と↓の重ね合わせになっているのは、
系が対等な関係だから(重ね合わせ)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?