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大学教育は危機に瀕しています      「実学重視」

世の中の人には、大学なんて関係ないとか
就職や出世のための手段(旧帝大は、人生のエスカレータ)とか
思っている人も多いと思います。
でも、それは間違いです。
私は、大学を含め学校は、(個々人のためでなく)「世の中のため」、
「現代文明のため」にあると思っています。
現代文明は産業に支えられ、また産業を発展させる産業文明です。
産業文明を発展させるのは、大学・高専などの高等教育だからです。

しかし今、安倍元首相の「実学重視」発言と文科省の指導「選択と集中」で、

大学の教育は危機に瀕している

と思います。
今役に立つ「実学」は、5年10年で陳腐化し、30年もすれば時代遅れになるでしょう。

数学や基礎物理学は、それ自体は、社会や生活に役に立たないかも知れません。
しかし、これらは、他の学問や、その応用的学問を支えています。
個々の学問は、その学問自体とそれを必要とする学問に、
役立てば十分ということです。
「学問が役に立つ・立たない」という議論は、
学問を、相互に支え合う体系として見ておらず、矮小な議論と思います。

現代文明は産業に支えられる産業文明

「電気代0の生活」は考えられますし、実際、実現している人もいるそうです。
でも、それは、その人の「電気代が0」であるだけで、そういう人が どんなに増えても
それらの人の生活を支える社会の「電気使用量が0」なわけありません。

田舎で農業だけで暮らすとしても、コンビニなどの商店に行かない生活は考えられません。
その店にある商品は、誰が作り、誰が運んでくるのでしょう?
工場が必要ですし、高速道路、トラックも必要です。
これらは、産業文明に支えられた社会があるから、存在できるわけです。
農業機械だって、今は、センサーが いっぱい付いています。
産業文明がなかったら、農業は 超重労働になってしまいます。
(私の親は、明治生まれだったので、昔の状況は、よく知っています)

産業文明を発展させるのは大学・高専などの高等教育

例えば、今 どこにでもあるPCは、40年前には存在しませんでした。
PCの中には IC(LSI)が数多く使われれています。
ICは「産業の米」とも呼ばれ、トランジスタでできています。
トランジスタ内部の設計・改良は、量子力学の知識がないとできません。
量子力学を理解するには、高校までの知識が必要で、
それをベースに、大学で勉強する必要があります。
(高校で 量子力学を教えればいい というわけにもいきません)

このままでは、科学・技術で中国に抜かれ、そのうち韓国にも抜かれてしまい、
日本の科学・技術は、世界の水準から取り残されると思います。
今、日本は重大な岐路に立っています!

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