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やさしい人ほど死んでいく。

やさしい仲間ほど、この業界から、この世界そのものからいなくなる。
やさしい仲間から順番に死んでいく。別れが多すぎる。
その度に、自分から大切なものが消えていく感覚になる。


いつかこの世界に残るわたしは、嬉しいことも、悲しいことも忘れる、男のような“強い“女になっていくことでしょう。
決断しなければ、仕事はできない。捨てなければ、物事は進まない、そして、当たり前だけれど、なにかを決めれば、この世のあらゆぬ物事は動き出す。それで日々は続いていく。

なにかを決めたことで、誰かに人生の催促状をつきつけているのだと思う。
それは僅かな重量をまとって、やさしいあの子を殺してしまったのだとわかる。
ぼんやりと、そんな行為を繰り返している感覚がある。

きっとこの世界は狂っている。狂っているということを考えると、人は壊れるから、わたしはこうしてロボットのふりをして生きている。
ロボットのふりをしなければいけないのなら、なぜ最初から私はロボットではなかったのだろう。
人間にロボットのようであることを求めるくせに、なぜ人間のようなロボットを生み出そうと躍起になるのだろう。

この世界にはおかしいことが多いから、私の周りの仲間が死んでいくことはもうおかしいことでなくなってきている。
それはほんとうに恐ろしい。


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