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裏テーマは、勇気と優しさ。『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書』

教育って難しい。例えば5歳児を育てるとした場合、その子が社会に出る頃(つまり、約17年後)の社会を見越して、トレーニングメニューを考えなければならないからだ。教育ママたちは判断に困るから、目に見えてわかりやすいステータスに飛びついてしまう。

今、代表的なものでいうと「英語」「プログラミング」だろう。しかし、そのステータスが目的化してしまっては意味がないということを、この本は指摘している。つまり、英語力やプログラミング能力を使って「何をするか」「何を伝えるか」が大切ということだ。それを思考する能力は、ママの言いつけ通りに生きているだけでは、身につかないだろう。

これは、見逃してはいけない重要な指摘だ。この記事でも書いたが、英語力やプログラミングを学ばせて、大企業の既得権益のおこぼれにあずかることを至上目的と考える人は多いように思う。手段が目的化するのは、そのような考えが背景にあるのではないだろうか。

他にもこの本では、昨今のアートブーム、教養ブームにも言及している。評論家の意見をコピーアンドペーストして、知識を披露することが目的化しているという指摘は、手段の目的化に重ねて警鐘を鳴らすものだ。

果たして、これらの指摘は目的を果たせるだろうか。この本が否定している「これを身につけていれば食っていける」というスキルを探すことは、不安の裏返し。つまり、職を失う恐怖に怯える中で自然発生する防衛本能だ。自らの能力を磨き、社会に貢献することを追求するには、勇気と社会に対する優しさが必要だろう。

だが、多くの人は、それを持ち合わせていない。僕だって同じだ。だから、個人のマインドを変えることと同時に、生活に対する安心感を社会全体で追求することが大切なのかもしれない。

#本 #読書 #ブックレビュー #書評 #読書感想文

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