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だってみんな、元子どもだから 〜映画 『夢みる小学校』上映会主催「楽しいご近所さん」村上亜紀さん 〜

 「なんかやりたいよね」「文句ばっかり言っててもね……」そうして、一歩踏み出したエネルギーは、次の誰かを巻き込んで、また楽しい循環に。

 今回のヒトREライトは、『夢みる小学校』(『いただきます』シリーズ オオタヴィン監督)上映会を主催された、「楽しいご近所さん」の村上亜紀さんです。上映前と後にインタビューさせていただきました。


会場となった大正区にある三軒屋東第二福祉会館


夢みる小学校上映会in大正(大阪)上映前に挨拶する小西さん(左)と村上さん(右)
2022年12月3・4日


学校へ行かないという選択


 「ちょうど私が仕事を辞めたくらいから、12歳の長女が、学校に行かないという選択をしたんです。そうすると、『どうして僕だけ行かなきゃならないの?』って、下の8歳の子も……」

 村上亜紀さん自身は、「自分が学校に行かないという考えもなかった。確かに行きたくない日もあったけど、それよりも、集団で同じように動いているところから抜けることのほうが怖かったのかも」と、自分自身の学生時代を振り返ります。



衝撃のにいないしつもん部屋
インスタライブ取材(事前取材)にて

 「今は、仕事を辞めて、自由人! 
  フォーティファイブよ! あきちゃんって呼んでね」
  と、気さくな村上さん。


ふとしたきっかけで次に


 子ども服の販売員をしていた時、接客中に同じ境遇のママと出会ったことから、『夢みる小学校』のこと知り、直接劇場に足を運んだという村上さん。その後、自主上演解禁の知らせを受け、「夢みる小学校上映会 in 大正」の主催を決意したといいます。


はじめて『夢みる小学校』を観た時、印象に残ったシーンはありますか?


 「大人のことを『元子ども』と呼んでいたことですね。子どもが主になって企画する運動会のシーンがあるんです。綱引き対決は、大人である元子どもも、一切手を抜かずに真剣勝負していたんです。子どもも、元子どもも、自分たちが楽しむことを自らつくっている、そんなシーンでした」

元子ども……そうだったことを、私たち大人は忘れがちですよね。映画を観た後、上映会主催以外に、何か取り組み始めたことはありますか?

 「そうですね。大きな1つ目は、去年の2月ごろから、マスクを外しました。それから、雨降り以外の毎夕にゴミ拾いをします。これは気が向いた時なんですが、近くのグラウンドでひとり、しかも、我流のヨガをしてます(笑)」



上映会前に主催からのお知らせが


去年の2月というと、まだ社会的に動きづらい環境下だったように思います。上映会を決意したり、できる限りで自ら何かを始めたり、そのエネルギーはどこから来たのでしょうか?


「TGAL(Think Globally,Act Locally)の活動を見ていたことも大きいかもしれません。私の周りには、環境活動や自主映画上映を主催するメンバーがいて刺激を受け、後押しされました。それと、この上映会は20〜30人くらいからの小規模開催でもよかった。それなら私にもできるかも!と。何より、素敵な相棒、小西さんがいてくれました」


公式ラインからの申し込みシステム
小西さんが制作された動画で
会場までの案内もスムーズに!


主催「楽しいご近所さん」



「楽しいご近所さん」の
村上さんと小西さん

「日頃から、『近所』を意識して、なんかやりたいよね」って、小西さんと話してました。小西さんが申し込み・連絡フォームのための公式ラインを開設してくれて……。その時、閃いて主催名は『楽しいご近所さん』になりました」


温かみのあるネーミング。まさしく「楽しいご近所さん」のスーパータッグを組まれたんですね。そんな活動的な、あきちゃんの背中を見て、お子さんたちの反応はどうですか?


「ゴミ拾いを一緒にやると言ってくれたりします。学校での環境委員の活動でも積極的に提案していました」

母の影響って、実は大きいかもしれませんね。母に100点貰いたくて、褒められたくて頑張っちゃうことって、誰にでもあったのかも。その、褒めが最初は、成長のきっかけでもありますもんね。


「うーん、確かにいろんな影響があるかもしれません……実は、その提案を受け入れられず、凹んじゃった。それでまた、学校に行かないということに。その時、正直にいうと、『1回くらいで折れんなよ!』と思っちゃう自分がいました。母親として、複雑なところもありました。もっとこうしたらいいやんって言ってしまいそうになる。自分の中で自分の価値観にも抗うんです」

「一般的・平均的なところに適応するのが幸せ」という価値観が主となってきたことも。そうすることで、今までは乗り越えてこられた時代だったのかもしれません。



「私にできるのは、側で見守る、『待つ』選択をするということなのかなぁって。不登校という問題に向きあう時、強制はできないと思いました」


上映後の「楽しいご近所さん」
公式ラインからも挨拶




みんな、元子どもだったから


 親だって成長の途中。子どもだって、いつしか「親だって、元子どもだった。いつだって成長の途中だった」と気づく時がくるもの。それまでの時間や道のりも、ひとそれぞれ。

 そう、これを読んでくれているあなたも、忘れていたかもしれないけれど「元子ども」だった。今、振り返ってみて、ようやく気づき出す。日々、気づき、学びの連続。




『夢みる小学校』予告動画にも

https://youtu.be/mfmm8oviWQ0

 映画に登場するのは子どもファーストの3つの学校。
 そのうちの1校、きのくに子どもの村学園学園長の堀真一郎さんは、こう語っています。



「自由には責任が伴うっていうけど、ここではそんなことは言わない。子どもは自由でいい。責任は大人がとるからね」


 大人になれば「完璧な人間」になると思っていませんでしたか?
 そんな大人は、実はどこにもいません。大人も、元子ども。いつしかどこからか気づき、学んだ「責任」感が芽生え、それを持とうとする。それは決して、囲い、縛るためのものではなく、大切なものを守るために使う言葉であればいい。


そして上映会後・・・



絵をランダムに切り、パズルに。
パズルのピースを持つ人を探すことから、シェアゲームが始まります。


 上映後、楽しいゲームでチーム割。子どもも大人も「元子ども」に戻って、こんな学校あればいいなぁのシェアタイム。

 自由な発想、ワクワクを思い出しながらシェア。


私がいたグループではこんな意見が飛び出しました。
子どもがいない家庭でも、「楽しいご近所さん」に入れたらいいな……という意見も。



運営を手伝うことも、学び


 気配り、運営の様子にも「楽しいご近所さん」のフルパワーを感じるおもてなしが。


上映会後、笑顔の村上さん。


 上映前インタビューは、インスタライブで40分間でした。その衝撃的な生配信の模様は、今でもアーカイブ(にいないしつもん部屋)に残っています。多少、インタビュアの私の滑舌の悪いところもあります。そして、ある事件も前半20分を中心に収録されております。もしよろしければご覧ください。

香月にいな on Instagram: "《インスタライブde  にいないしつもん部屋vol.01》 香月 にいなのインスタに、 むらかみあきさんをお招きして❣️ にいないしつもん部屋❣️ 初開催いたしました。 ・ ・ ・ なんだかこの『夢みる小学校』って、気になるなぁ…って、思ってたんです。そう、うん十年まえ、きみの町の雄大な自然のもと、「ふるさと学習」で前田亥津ニ先生のあとをついて離れない、バリバリの夢見る小学生だった、わたしですから。 ルールッルッ♪ルールッルッ♪  本日のゲストは、むらかみあき さん。 @akimurakami ご縁があって、映画『夢見る小学校』主催のおひとり、あきさんにお話を伺えることになりました。  11月8日 22時より夜な夜な40分!衝撃の幕開け!  主催に至った経緯から、ナニからナニまで、語り尽くしております。" 香月にいな shared a post on Instagram: "《インスタライブde  にいないしつもん部屋vol. www.instagram.com


「あきちゃんの言うことに、いい!やろう!って。
とにかくあきちゃんの巻き込み力がすごかった!」
と語る小西さん(右)

 「楽しいご近所さん」の村上亜紀さん・小西容子さん、そして会場でご一緒くださった皆様、貴重なお話をありがとうございました。

 「楽しいご近所さん」の今後の活動も、ますます目が離せません。




上映会参加日:2022年12月3日

(記:香月にいな 2022.12.8)



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