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シカゴで電化した黒人音楽が生まれた理由『Ma Rainey’s Black Bottom』

チャドウィック・ボーズマンが主演男優賞にノミネートされている『Ma Rainey's Black Bottom』のシカゴの夏が暑苦しくていい。『ブラックパンサー』で評価されて、やっとこれからというときに亡くなってしまったチャドウィック・ボーズマンの演技が素晴らしい。

僕がニューオリンズに留学して、黒人音楽の歴史を大学の博物館などで学ばせてもらっていたときに名前が出てきた、ベッシー・スミスよりも古い、1920年代のブルースシンガー、Ma Raineyと、もっと跳ねるリズムを取り入れようとしていたチャドが演じるトランペッターの葛藤のストーリー。

綿花のプランテーションで、収穫も機械化され、仕事がなくなったという理由で、奴隷として南部で働いていた黒人はシカゴなどの五大湖近辺の工業地帯にミシシッピ川をさかのぼって移住していった。その周辺で音楽も電化し、スモールユニット化し、近代化した。マ・レイニーはメンフィスが本拠地だけど、ニューオリンズからメンフィス、セントルイス、シカゴとミシシッピ川を北にのぼるに従って音楽もどんどん近代化していく。

そういう時代にシカゴで作られた黒人のための音楽レーベルで起こる悲劇。もともとは戯曲だから、時間と場所の移動は最小限。進歩的な黒人と保守的な黒人、進歩的な白人と保守的な白人。人種が一枚岩でないのは今も昔もいっしょだったことがわかる。そういう熱い会話劇がBLMのコンテクストにのって、現代的な意味も持ったという作品だと思う。主演男優賞とれますように。

アメリカ音楽の源流について知るならこの本。


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角野 信彦

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