【詩】茶化す

春はその年の仕事を終えたと思い、夏は低気圧の頭痛に悩まされている時期
季節の目を盗んで開けた窓から吹きこむ風は、
エアコンの風みたいに剥き出しではなかった
カドが剥き出しになった音程で
月のように頭の回転が止まって、喉が詰まって言葉が絡まって
心臓が地下室のように凍る
という経験を嫌という程してきたのに
自分からその音程が出ることがある
だから声帯を捨てることがやさしさだと思っていた
しかし、茶化し合いの世界で、色の流れをコントロールできない
水彩が下手な私を
あなたははみだすことなく茶色で塗ってくれる
光とか花とかでしか、季節を感じられないけど
土でだって鉄塔でだって、季節を感じられるはず
きっと風車小屋で感じられる夏は、私に都合よく暴力的でない。
あなたが、私の瞳だけは
ターコイズブルーに塗ってくれたから
私の世界には、世界中を吹きあるく風が私の顔と出くわすような
快感で溢れたんだ




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