通りすがり|Twitter|詩集
「スノードロップ」
通り過ぎた後に
思い出してまた
約束の場所まで
たどり着いても
君はもういない
いつも探してる
キミの残り香が
消えないように
面影だけ抱いて
追いつけないよ
冬に咲く白い花
スノードロップ
花言葉が哀しい
教えてあげるね
貴方の死を望む
夢の続きは今宵
「アイツがいた 2011」
遠く伸びたアスファルトを
歩き続けても空に昇れない
つむじ風が信号の青を映す
かじかんだ掌を頬にそっと
当てれば春の遠さを教わる
アイツがいた10年前の冬は
背伸びして僕の肩にもたれ
キスをする度に伸びた髪が
瞑った瞼を撫でて大好きな
匂いが静かに消えていった
「ピリオドは青に滲んだ」
背中合わせのベッドで
言葉は行き場を失った
急ぎすぎた僕は未来を
疲れた君は夢と自由を
冬が終るまで語り合い
二人築きあげた何かは
脆弱な春の風に壊れた
君が僕の前から消えて
初めて知った事がある
独りきりで眠る夜より
君無しで始まる一日を
迎える朝が怖かったよ
「知らない事にしたかった」
ため息と一緒に
君が吐き出した
ケムリのような
ことば達を誰か
字幕にしてくれ
僕は鼓膜を潰し
ノイズだけしか
聴こえないから
キミの唇が動く
何か告げる為に
目を瞑ったって
サヨナラが瞼に
こびりつくから
氷の目薬で誰か
瞳凍らせてくれ
根雪の様に固く
「満月の下で」
茜空の原宿を歩いていたら
表参道の花屋で君を見たよ
みぞおちの辺りが何故だか
じゅわ~んと温かくなって
目を伏せたまま君の後ろを
通り抜けて振り返ったけど
君の姿はもう見失っていた
凍える風が耳たぶを掠める
僕は歩を止め満月を探した
君はあの頃より綺麗だった
「青の跡」
青の後の朱夏は歪んで
青は今もゆらゆら滲む
青の音は心持ちスロー
青い頃の強気は薄れて
青の窓の外は色褪せる
青をもう一度掬いたく
青に手を伸ばしてみる
青が指の隙間から溢れ
青は青のまま胸に残る
青への道は閉ざされて
青の眩しさだけ尚強く
青は永遠の僕になった
「環状七号線」
高層ビルの谷間にある
人間が作りし公園にも
花は咲き樹木は聳える
幼い頃に夢見た場所と
違う所で生きていても
そこを今の在処と定め
季節や人や命を慈しみ
いまを生きられる事に
お陰様ですと伝えたい
環七は今日も風の様に
車の往来が途絶えない
寒椿は空を仰いでいる
「風に訊け」
風の音律を怖がる人は
新月の夜に愛しい人が
死んだ夢を見てしまう
待つ事を知らない人は
二度と来ないあの日を
錆びる様に待ち続ける
ツラい事を数える人は
季節毎の風雅を知らず
容易く温り求める人は
爪噛む癖が止まらずに
いっそ深く噛みちぎり
寒い夜にヒリヒリ痛い
「マーマレード」
部屋の灯りを全部消せば
ベッドと天井の間は俄に
感傷の映画スクリーンさ
少しだけ黄ばんでる夏を
丁寧にコマ送りするから
溢れる涙はマーマレード
ほろ苦い甘さで頬を焼く
口が渇くから林檎を嚙る
酸っぱ過ぎて身震いした
明日髪を切りに行くんだ
大人になりたくなかった
「江ノ島+夏+ススキ=キミ」
空へ続く緩やかなカーブを
曲がり切れば穏やかな波が
見えるからクラクションを
2回鳴らすよレクイエムさ
夜明けから落日までずっと
歩き続けた砂浜がまぶしい
君の名前呼んでみたけれど
独りを想い知らされるのさ
枯れたススキが海風に靡く
君が手を振っているみたい
「昼下がり」
遮れない君への気持ちが
火の鳥のブロンズとなり
何処へも跳べなくなった
「凪」
波は少しばかり
荒っぽく見えた
空と海が交わる
果てに向かって
そう苛立つなと
呟いてみたんだ
そしたら海がね
私は貴方の鏡よ
なんて言うから
途方に暮れてね
暫くの間誰とも
友達にならない
そう決心したよ
防波堤をずっと
振向かず歩いた
僕の影は長くて
いくら歩いても
追越せなかった
「街灯」
陽の当たるうちに
村上春樹の短篇を
読みながら眠った
目覚めた真夜中に
トーストを焼いて
ホットバーボンを
飲んで録画してた
北京五輪の映像を
見ていたら不意に
涙が流れてきたよ
僕は少し驚いたよ
まだ泣けたんだね
真冬の公園迄歩き
街灯の下に立って
涙を乾かしている
「僕だけの悲しみ」
あの人は乗り越えられる
悲しみを敢えてまんまに
しておく愚かものなのよ
そう言って指を指すから
焼きたての湯気が出てる
ルヴァンを齧りながらね
手放したくない哀しみの
ひとつやふたつあっても
いいじゃないかと嘯いて
コートの襟を立てながら
足早に家路を急いだのさ
「墜落」
お互いにお互いを
片翼だと思ってた
確かなことだった
おなじ速さだった
太陽は眩しかった
長く続かなかった
ぼろぼろのボクは
地上から空を見る
美しくたおやかに
君は風を脱ぎ捨て
線になって消えた
認めたくはないが
僕だけが墜落した
確かなことだった
「孤独」
人にはやさしくなれるから
時に怒りが溶けてゆくから
何時かの憎しみも忘るから
傷は僕の証とおもえるから
其を親友だとは言わないが
孤独が淋しいとは限らない
凍てつく池袋の路地裏には
泪と溜息とだれかが生きた
夢の痕がころがっているよ
「夏休み」
永遠に回っている観覧車の様に
幼い頃の夏休みは長かったよね
僕らふたりに出来ない事なんか
何ひとつないなんて思っていた
時の通り魔は正直過ぎて怖いよ
確かにあった煌めきを刃で抉る
キミの沈黙とボクの饒舌だけが
部屋を満たすから息も出来ない
夏休みは鬱陶しく終りを告げた
「夜明けの刻」
高層ビルの隙間に
昇る太陽は見えず
放つ粒子が建物を
オレンジに染める
寒さに抗う僕には
赤い血が流れてる
煙草に火を点けて
吐き出した煙りは
一瞬で消えるから
些細な事も覚えて
いたいと心に刻む
僕はここにいるよ
僕は生きているよ
君を諦めない為に
「小説と詩集とバーボン」
日曜は目覚めた時から
幾つかの小説と詩集を
バーボンをやりながら
眠りに就く迄読み耽る
15階のビルの6階は
静かな雨の音が聴える
夜はますますひとりを
賛美するから孤独など
死にかけた様なものさ
こんな場所にも人間の
息遣いがあるって素敵
太陽の孤独に比べれば
「うつろひ」
「人の顔は変わるものよ」
「そんなに変わったかな」
「生き方は顔に出るって」
「そう言われてみればね」
「確かに君の言う通りさ」
「顔だけじゃないと思う」
「草や雨や風の色も音も」
「うん。熱量も推しもよ」
「変わらない物はないね」
「ええ。永遠さえ移ろう」
「問わず語り」
逆風に逆らうように
パーカーのフードを
何度も被りなおした
デニムのポケットに
突っ込んだ拳は冷く
月をも穿つ程に固い
知らず知らず俯いた
泣いてなんかいない
ほこりを纏った北風
目に凍みていただけ
酔いに胸を高ぶらせ
隠る様に忘れぬ様に
君の名前だけ呟いた
「いびつな夜の片隅で」
君が求る肌の温もりは
僕の体温じゃなかった
強く強く抱き締める度
埋まる筈もない距離は
君を黙らせ僕を黙らせ
夜だけが深くなるから
きっと観ないテレビの
ヴォリュームを上げて
ぎこちない夜が明ける
凍った月が溶ける頃に
「焦げた夏」
ベッドの中
二人仲良く
ポテチ齧り
ベッソンの
映画を観て
週末の波の
話しをした
その最中も
女はずっと
隠し持った
サヨナラを
投げる瞬間
待ち続けた
男はずっと
波と月の話
繰り返した
傾いた西陽
部屋に偲び
最後の場面
簾も樹木も
赤く燃えた
永遠の夏を
サガシテル
「ジェイソン・ボーンに憧れて」
欲望と背徳が跳梁跋扈し
偽善と犠牲がせめぎ合う
眠らぬ街に娼婦は乱れて
打算と堕落が背中合わせ
反吐はいつも裏切りの味
けれど僕には楽園だから
ジェイソンボーンの様に
なりたいと時々思うんだ
「ララバイ遠く」
月が射す光で
生まれる影と
話してみたい
昔々人は月が
削られた夜に
松明を燃やし
死んだものに
謎の呪文唱え
涅槃への道程
照らし続けた
ネオン夜色の
絶えない街で
ビルが産んだ
風を背に集め
眠れやしない
子守唄探した
「デラシネ娼婦のワイン:続編」
歌舞伎町の娼婦とは
もう長いつきあいだ
暇な時に時々赴いて
チェスをしたりする
必ず一杯の水割りを
ご馳走になるけれど
残念乍ら僕の好きな
バーボンではなくて
安ウイスキーなんだ
一度だけ寝たけれど
もう15年も前の事さ
男と女の友情なんて
僕にはどうでもいい
居心地さえ良ければ
「最後のKiss」
思い出にしようって
泣きながら言うなよ
嫌いな泣顔を見たら
この手で抱き寄せて
ツムジから髪先まで
やさしく撫でるクセ
本気で直さなくちゃ
いけなくなるじゃん
そろそろ夜明けだぜ
キミの言う思い出に
スローな朝の色彩が
入り込まないうちに
最後のキスをしよう
「口笛」
飼い犬が回復した事を
油淋鶏の美味しい店を
騎士団長殺しの感想を
機種変した携帯の事を
冥王星や金星の年齢を
雨雲の上は晴てる事を
キミに伝えたとしたら
喜んでくれるだろうか
そう思いながら歩いた
名を知らぬ樹木の枝に
緑の新芽が萌えていた
僕の口笛は風になった
「うつろひ」
『明けない夜はないんだってさ』
「夜明けはまた夜を連れて来る」
『止まない雨もないんだってよ』
「世界のどこかで雨は落ちてる」
『人はいつか死んじゃうのね?』
「永遠に死なない方が僕は怖い」
『人生はもっと長いと思ってた』
「死んでからのがずっと長いさ」
「終章」
あれだけ欲しがった
腕枕は要らない様だ
行ってきますのハグ
おかえりのくちづけ
キミの抜殻としてる
悲劇で幕を閉じない
I Love You なんてさ
悪役の出番などない
犯罪映画みたいだぜ
許すことで終るのは
ありふれているから
キミのことは表向き
ずっとずっとずっと
忘れてやらないから
「嘆き」
本当に済まないと思ってる
でも今夜にもお前は私達の
血となり生命力となるのだ
「テレビはニュースを流してる」
街のノイズが偲び込む夜明け
人は必ず死ぬ事を考えていた
愛は壊れても歩きたいけれど
月の光を身に浴びたいけれど
君と言う傷を愛したいけれど
顎の無精髭を剃りたいけれど
人には優しくなりたいけれど
何ひとつ出来ずバーボンだけ
飲んで海の向こうを憂いてる
「東京メトロ丸ノ内線」
終電の改札を抜けて
乾いた階段を降りる
キミは強く繋いだ手
離さないから僕らは
今夜も一緒にいよう
来た道をまた戻って
風の地上に出たんだ
そこには風花が舞い
コンビニも凍ってた
自販機の缶の珈琲を
かわりばんこで握る
悴んだ掌が温った時
紅い尾の流星を見た
「さよならイノセンス」
漏れた嘆きが爪先の様に
固く尖ってボクのほほを
何度もノックするからね
窓ガラスを開け夜に投げ
自由にしてあげたんだぜ
解放された哀しみは散り
その破片が街に降り注ぐ
ブルーローズの棘が舞う
最後の月のいたずらだね
抗えきれない失望の陰で
ボクはズルさを覚えてく
「未明」
吐息
白く
午前
三時
天は
新月
黒い
凍空
遠い
彼方
襟巻
直し
懐炉
握る
悴む
掌が
小熱
帯び
落涙
セリ
寒風
立ち
頬の
湿る
涙跡
甲で
摩る
寂寞
タル
雲が
泳ぐ
空は
恰も
荒野
星を
数え
歳を
数え
限り
アル
命に
深く
万謝
流来
願い
マタ
明日
「over」
バラの花弁が
散乱した床で
愛し合ったね
キミの唾液と
僕の汗が混り
未来の事など
考えもせずに
刹那は永遠と
信じていたよ
キミの口紅の
色と纏う香水
季節が移る度
変わってゆく
確かに抱いた
腕はからっぽ
愛は窒息した
夜通し聴いた
米津玄師の歌
iPodに残して
「共犯者」
キミが泣き止んでも
波は高いままだった
バーボンを飲んでも
ラヂオは踊っていた
欲のカラコン越しに
街は一段と狂い続け
部屋の隅に座っても
独りになれないから
カフカを読み続けた
躊躇いがちな昼下り
死んだ思い出を二人
かき集め十字を切り
指切して春を呼んだ
「海にいるママに捧ぐ」
無にふちどられた雫
ワイプアウトする度
海水を飲んじまうぜ
黒い人魚たち溺れて
ママの声が聴こえる
彼女の羊水を泳ぐよ
僕は嘗て精子だった
気の遠くなるほどの
そうさとっても長い
時を経て貴女に会う
ハロー・マイ・ママ
貴女が逝ってからも
何とか呼吸してるよ
「地上にて」
涙、拭かなくていい
星、濡れながら滲む
風、空缶を蹴飛ばす
空、プラネタリウム
夢、幾たび散っては
夜、いくつも越えて
陽、また昇るときに
君、歩き出せばいい
樹、太古より萌えて
冬、スローに終わる
僕、トレンチ脱いで
愛、肩に掛けてやる
哀、薄めてあげるね
今、確かな地上にて
「逃亡者」
ミモザが揺れている
月の子が揺れている
僕が君が揺れている
きっと試されてるね
探さないでよ免罪符
棒っきれ空に放って
辿りついた無人駅で
もう一度思い出そう
答えがもし同じなら
間に合うと思うんだ
心臓の音を同期して
3秒間のハグしよう
キスより簡単な事さ
「海辺の夜想曲」
まだ冬なのに
北風を歩けば
胸に熱い想い
波のしらべは
セレナーデを
奏でる窓の下
奔放にかまけ
遊び疲れても
帰る場所だけ
ここにあるよ
わかるだろ?
響かないか?
耳を澄ませよ
僕の声が遠く
君に届いたら
手を振る様に
微笑んでくれ
それで充分さ
聴こえるかな
「令和の乱」
僕は振り向き様に
君へ銃口を向けた
その日から風穴が
開いたのは僕の方
月は海に墜落して
土用波は荒れ狂い
季節ハズレの風鈴
ウクライナは混乱
頭ん中は百花繚乱
部屋のゴミは散乱
にぎり締めた欄干
壊れた街灯の下に
割れた珈琲カップ
無味のアヒージョ
飲み込む力もない
「哀しみの窓越しにて」
節分にやった豆まき
翌日から君は帰らず
溜息が飽和する部屋
悪い予感は当るもの
アイツは黒鬼だった
窓から見える景色は
いつもと変わらない
動くのは秒針ばかり
心臓さえ止まったよ
「裏切りへの称賛」
親友よ真剣に聴けよな
お前が俺の目の前で
白い結晶の入った
パケをトイレに
流すまでの間
お前の事を
敵と思う
信じて
待つ
良くも
この俺を
騙したよな
その事だけは
褒めてやるから
今夜の月が見納め
明日が来ないように
今から其処に向うから
チャカにマメを詰めとけ
「月を召喚する為に」
わざわざ照らすなよ
暗夜でも君は綺麗さ
放った矢がもうじき
今宵の半月を射抜く
哭きのトランペット
マイルスが奏るけど
僕は知らんぷりして
アスファルトを歩く
えっ、教えてやるよ
名前は通りすがりさ
「切り取りたい半月夜」
摩天楼に凌駕された
狭い空に月があった
そこだけ切り取って
部屋に飾りたかった
でも僕は思案をして
やはり君に贈ろうと
考え直す程に綺麗な
この半月と不覚にも
恋をしそうになった
「愛しき惑星よ」
月光を浴びろ
火を鎮めたら
水を称賛せよ
木を絶やさず
金色花よ咲け
土に還るまで
日常を生きよ
「孤独、或るいは無口」
語り合っても語り合っても
踏み込めない聖域を知って
それが孤独と名付けられた
誰もが逃れられないものと
覚る時にこそ出逢える景色
波の音や砂の白や靡く草々
黄昏て夜が訪れ雨に打たれ
ずぶ濡れのままで遠い君に
贈るラヴソング歌い続ける
「Soul now on sale」
コイツヲカエシテホシイカ…
ヤツはボクの魂を手に下げて
アスノ25ジマデニ百マンヲ…
ボクは丁寧にレイバンを拭き
サッサトヨウイスルコトダ…
バーボンのコルクを抜いてさ
サモナクバコイツヲコロス…
ラッパ飲みして笑い転げたぜ
魂なんて14年前に売払ったさ
「貴方が教えた魔法を身につけ」
遺影が優しく微笑んでるから
ボクも泣いちゃいけないって
死んで尚気づかせるあなたよ
だからボクは白い花じゃなく
ドライフラワーを持参したよ
夜には星々と一緒に見送るね
1億年より遥かな遠い彼方へ
「ソメイヨシノが香る時」
嘘しか言わないキミが
ボクには一番正直者に
映って仕方がないから
不意に背後からキツく
抱き締めた春に香った
洗いたての濡れた髪を
溜息で乾かしてあげる
背徳の憂鬱を焼き尽し
朝には忘れる呪文唱え
2時間だけ愛し合おう
裏切りというベッドで
「侵略者にモルヒネを射せ」
風の森から見上げる夜空
トンネルの出口みたいな
月が遠い彼方に浮かぶ時
正義と正義が正義を争う
ミサイルはキエフを壊す
ロシアの友は聖者の狂鬼
国境は戦闘車両の展示場
ナワリヌイはまだ還らず
寄る辺ない難民にビザを
腹ペコの子らにミルクを
老人に毛布を叫びに耳を
貴方に赦しを君に慈悲を
「物言わぬ草々よ」
摘まれるために
芽吹いた草々よ
キミの誕生にも
意味があるのさ
せめて陽を浴び
せめて雨を吸え
小賢しい人間の
真似などするな
草は草のままで
浅はかな人間の
行く末を見守れ
戦争が終われば
キミたち草々の
尊さを人は知る
その時がきたら
愚かな人間達は
漸く平和を知る
「鎮魂夏」
脱いだハイヒールを
両手にぶらさげた夏
出血した夕陽に汐が
錆びて赤く染った夏
振返った君が右手で
投げキッスをした夏
宙を舞ったハートに
ウインクで返した夏
オルゴール沈没して
あの日で終わった夏
うたかたの風が死に
2度とは戻らない夏
ボクだけ思い出す夏
「海は月の子供」
ねぇお母さん僕は明日も
僕でなければならないよ
それは至極煩わしい事さ
いっそ空の隣りで貴方に
甘えてみたいって思うよ
でも僕は明日もここでね
貴方の子供を続けるんだ
僕が海をやめたら大変さ
お母さんが月を全うして
空から消えちゃう事より
哀しいことだと思うんだ
「前略」
あなたの住む場所には
光と影や色はいますか
花や木や風はいますか
時間は流れていますか
やはり死がありますか
ペンと紙はありますか
銃や麻薬はありますか
戦争や核はありますか
かくれんぼ出来ますか
も1度だけ会えますか
許していただけますか
表参道は冷たい雨です
草々
「街へ」
生まれたての失望に
安いバーボン沁みて
キズは浅いと嘯いて
しなやかに微笑んだ
残響だらけの部屋に
新入りの挫折が1つ
袋詰にして捨てぬ様
昨日の扉に釘を撃ち
そいつを飼い慣らし
いつか強さに変える
僕が死なないために
夜明けには街に出て
風のメロディを集め
ようこそと伝えよう
poem : 通りすがり ~ Forever ~
Twitterの有料化に伴い
『詩人 通りすがり』の垢が
削除される可能性が強くなった為
誠に勝手ではございますが
保存版としてここに転記させて頂きました
ご理解のほど宜しくお願い致します
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