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ブックオフの滞在時間が伸びていく

ここ2年ほどブックオフに通っているのだが、通う中で楽しみ方が変化してきた。
見る棚の範囲がどんどん増えてきているのだ。

最初は文庫本と単行本だけだった。
面白そうなエッセイを探すだけで満足だった。
それが次に雑誌を見るようになった。
わかりづらいかもしれないが、ブックオフには雑誌コーナーもあるのだ。
ここに意外なお宝が眠っていることがあるから侮れない。
お次はマンガコーナーである。
最初は文庫マンガと大判マンガだけだったが、最近はだだっ広い単行本のコーナーもチェックしている。

そして次にCDの棚。
ここが自分にとって大きな分岐点で、とうとう本以外もチェックし始めたか、と感慨深かった。
アジカンやくるりなど自分の青春時代を300円均一棚で探し求めている。
CDを聴き始めたことでアナログの良さに目覚め、とうとうレコードまで買い漁るようになる。
ブックオフの大型店ではレコードを扱っているところもあり、こちらも安いものなら300円程度で買えるのだ。

最後に行き着いたのがDVDコーナーである。
CDつながりでライブDVDをチェックするようになったのだ。
DVDコーナーは店ごとに品揃えが大きく違うので見ていて楽しい。
最近だとアジカンのDVDを300円で、チャットモンチー のDVDを100円でゲットした。

長くなったが、こんなふうにしてブックオフの見る棚の範囲が増えてきている。
最近は店のほとんどの棚を見ることになるので、見終わったころにはヘトヘトである。
無数にある本やCDの背表紙の文字が頭のなかをグルグルと周り、頭がぼーっとなる。
こんなふうになるまで店内をさまよい続けてしまう。

どうしてここまで執拗に棚をチェックしてしまうのか。
それは均一棚の存在が大きい。
商品が安く手に入る均一棚の品揃えは店によって違うし、同じ店でも時間が経てばラインナップが入れ替わる。
そして、均一棚にある商品は一期一会。
今はあっても次に来たときはないということが多々ある。
だから、そんな均一棚にあるお宝を見逃してはいけないと思ってしまうのだ。

CDやレコードを聴き始めた身としては、その安さがありがたかったりする。
新しい趣味を始めたばかりで何を買うのが正解なのかがわからない中でも、300円や500円なら気軽に買える。試し買いができる。
その中で見識が深まっていき、今ではCDショップで新品も買えるようになってきた。

新刊書店がない田舎の地域では、ブックオフが文化の拠点になっている聞くことがある。
なにもそれは田舎に限った話ではないのではないか。
新しい文化に親しむときに大切なのは、まず何よりも量だと思う。
たくさんのものに触れることで、自分なりの審美眼ができてくる。
それにおいて、ブックオフの"安さ"は大きな助けになる。
少なくとも、私の文化はブックオフの均一棚でできている。

ブックオフの滞在時間が伸びている。
でもそれは、自らの文化的素養が育まれている証拠である。
そんなふうに自分を励まして、カゴいっぱいに入った"文化"たちを私は今日もレジに持って行くのである。

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