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日銀会合とは

お疲れ様です、かぶ猫です。
今回は、日銀会合についてまとめ。


1.日銀会合とは

正確には「金融政策決定会合」と言い、日本銀行が金融政策の基本方針を決定する会合のこと。日銀の総裁、副総裁、審議委員合わせて9名で行われ、年8回のスケジュールで開催。米国のFOMCの日本版。

議事の内容は次の通り。

①金融市場調節方針
②基準割引率、基準貸付利率および預金準備率
③金融政策手段(オペレーションにかかる手形や債券の種類や条件、担保の種類等)
④経済・金融情勢に関する基本的見解等

決定内容は、会合の終了後、直ちに公表される。多くの投資家がこの内容に注目しているので、特に当日の為替や株式相場はこの決定内容により大きく左右されるので要注意。


2.日銀の金融政策

①金融緩和とその背景

中央銀行の役割は物価の安定ですが、指標として使われるのが「消費者物価指数(Consumer Price Index、通称CPI)」だ。約580品目の商品・サービスの物価を基に算出され、これらの変動率を示す指数であり、経済の体温計とも言われる。CPIが上昇すればインフレ、下落すればデフレということ。

また、上記の商品群から天候や市況など外的要因に左右されやすい食料とエネルギーを除いた指数をコアCPIと言う。

日本の物価上昇率(対前年比)

以前の記事のおさらいだが、上の図のように、日本は長い間デフレと低成長にあったため、2013年に日銀は異次元の金融緩和と呼ばれる「量的・質的金融緩和」を導入し、市場にお金を大量に流すことで前年比上昇率2%の物価安定目標を掲げた。

しかし、その効果は安定せず、2016年からはマイナス金利を導入し、政策金利を-0.1%まで引き下げましたが、同時に長期金利までも下がり過ぎてしまい、年金の運用や市中銀行の収益悪化など副作用が問題になったため、対策として同年9月に長短金利操作を導入しました。現在の金融政策は、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」と呼ばれている。


②金融政策の枠組み

「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みは2つの要素から成り立っており、1つ目は、イールドカーブ・コントロール
これは長短金利操作のことですが、マイナス金利により政策金利を-0.1%としつつ、長期金利は0%になるように維持していくというもの。

つまり、金利は極力下げておきながら、イールドカーブも自然な形に保っておきたいという狙い。通常、市場の需給で決まるはずの長期金利までもコントロールしようという政策は、他国でも例がない。

2つ目は、オーバーシュート型コミットメントです。物価の上昇率が2%を行き過ぎる(オーバーシュート)まで金融緩和の継続を約束(コミットメント)している。物価上昇がしっかりと安定するまでは金融緩和をやめないという強い姿勢を示すことで、市場の信頼を高めることが狙い。


③金融政策の副作用

イールドカーブ・コントロールには副作用もあるようだ。

元々、量的緩和で国債を買い入れていますが、長期金利をコントロールするためには、更に大量に国債を買い入れる必要がある。特に近年では、米国の急激な金利上昇に連動して、日本も長期金利上昇の圧力が生じている。

金融緩和の狙いは金利を下げることだが、特に長期金利を低く維持するには限界があり、現在では、日銀が買い入れた国債の保有割合は50%を超えてしまった。これ以上買い続けることによる日銀の債務超過も懸念されているという話もある。

日経新聞2023年6月28日の記事

④今後の見通し

このような状況と、直近の物価上昇率も踏まえて、日銀は0%で抑えていた長期金利の操作について、方向を転換し始めている。今年は政策修正により長期金利の上限を少しずつ引き上げており、"粘り強く金融緩和を維持する"としつつも、CPIも上昇傾向にあるため、金融緩和の解除も視野に入ってきている。

https://fx.minkabu.jp/indicators/JP-CPI
日本銀行HP

また、植田総裁は、単なる物価上昇だけではなく、賃金と物価の好循環が強まっていくかということを重要視しており、来年2~3月の春闘(労使交渉)の動向についても注目しておく必要がありそうだ。

総裁記者会見の幹事社質問(抜粋)


3. 会合後の株価等への影響

12月19日の日銀会合では、現状維持の結果となり、11:50に発表があってから、利上げへの過度な警戒感が巻き戻される形で為替は円安方向へ動いた。また、これにより後場の日経平均も買いが強まり、3万3000円台に回復している。

翌日も続伸したが、利益確定売りがあったのか、その後の日経平均は少し下げている。日銀会合と直接関係があるのかは分からないが、短期的にはどうやら25日移動平均線のラインが意識されているようだ。

12月19日は赤いライン


短期的な目線で言えば、個人的には、日銀は金融緩和を粘り強く継続していく姿勢なので、もうしばらくは買い目線でも良いのではないかなと思っている。今後の見通しについては、ぜひ皆さんのご意見もコメントで聞かせていただけると嬉しい。

ここまで見ていただいてありがとうございました。
今回は以上です。


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