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南座顔見世②助六由縁江戸桜と河東節かぶきDOU其の37アフタートーク


皆さま今回もかぶきDOUをお聴き頂きありがとうございました。
タイトル画はタリーズコーヒーの東京と京都の一部店舗で数量限定販売中のタリーズテディ(助六)です。
再現度がかなり高いです!あしらわれた紋が杏葉牡丹ではなくコーヒー豆になっているのが可愛らしい💕
今回も京都南座顔見世興行13代目市川團十郎襲名披露より夜の部、歌舞伎十八番の内 助六由縁江戸桜についてお届けしました。


受け継がれる助六への思い 

前回のかぶきDOUでもお伝えしましたが、助六を生み出した2代目市川團十郎の時代には現在と近い形の演出となり江戸の文化や人々の心意気が受け継がれてきました。
江戸時代に團十郎が助六を上演する際は出演役者が物語の舞台である吉原と魚河岸に挨拶まわりをしたそうです。
そして吉原からは傘や大箱提灯、魚河岸からは助六のトレードマークの江戸紫の鉢巻きと下駄が贈られる習慣がありました。
團十郎家では現在も魚河岸の旦那衆には紋付きの正装で必ず挨拶に伺い、魚河岸より江戸紫の鉢巻きと下駄の目録をいただいています。

13代目團十郎さんが歌舞伎興業として初めて助六を勤められたのは2000年平成12年1月の新橋演舞場でした。
歌舞伎美人によりますと…
これまで勤めた助六で印象に残るのはやはり初演。「歌舞伎でも図抜けて特別な演目。今思えば、花道へ飛び出したときはびびって震えそうでした。子に対する父の思いや先輩方の思いが感じられ、本当にありがたかった記憶しかありません」父、十二世團十郎の教えは今も「全部覚えています」と言い、「父の役者としての華を一番感じたのが助六」…とのこと。

お父様の12代目團十郎さんも著書「團十郎の歌舞伎案内」で…
助六ほど江戸庶民の願望が織り込まれている狂言はないでしょう。江戸っ子そのものだと思います。それだけに舞台に出ていくときにはイイ男でありたい…と綴られています。


成田屋だけの演出〜河東節十寸見会〜


助六の格好良さが際立つ出端(では)登場のシーンは河東節(かとうぶし)の演奏となっています。
300年続く江戸浄瑠璃の一つで威勢の良い掛け声と金属のように弾ける音色を奏でる三味線が特徴です。

書籍 新版歌舞伎十八番によりますと…
河東節が初めて用いられたのは1733年(享保18年)でした。
江戸時代に流行した音曲(おんぎょく)で当時の魚河岸の旦那衆もたしなんでいたそうです。
現在は河東節十寸見会(ますみかい)の皆様の演奏となります。
成田屋のご贔屓の方々が河東節の師匠の下でお稽古を重ねて、舞台名を頂戴して晴れの日を迎えられます。
助六の舞台は新吉原、仲の町の三浦屋の前です。 その大格子の後ろに河東節十寸見会の皆様がずらりと並ばれます。
格子越しなのでお顔はよくわかりませんが、魚河岸の旦那衆や会社経営者、歌舞伎以外の芸能の名手など様々な肩書きのご贔屓の皆様が男女問わず、演奏者として助六の舞台を支えています
客席ロビーにはその日に出演される方々の名前札がかけられた看板が設置されます。

今月の南座の看板

成田屋だけの演出〜口上〜


そして成田屋の助六の幕開きには口上があります
成田屋の裃姿の口上役の歌舞伎役者さんが登場して、まずは観客に助六のご説明をします。
それから下手に移動し大格子の方に向き直って「河東節御連中の皆々様、なにとぞお始めくだされましょう」の合図で助六由縁江戸桜が始まります。
今回、口上を勤められているのは市川染五郎さん(高麗屋)
後見
市川右團次さん(高嶋屋)です。


團十郎さん南座にかける歌舞伎の未来への思い

助六の口上を勤められている市川染五郎さん(18歳)をはじめ、今回の南座の助六の登場人物はフレッシュな顔ぶれが多くなっております。
13代目團十郎さんは「次の世代に手渡すことにフォーカスし、未来への希望を念頭に白羽の矢を立てた」と公演前の記者会見で語られています。

髭の意休

助六の敵で傾城 揚巻に横恋慕する髭の意休。4代目市川左團次さんが当たり役で13代目市川團十郎襲名披露の全国公演でも髭の意休を勤められましたが今年4月逝去されました…
南座ではご長男の市川男女蔵さん(滝野屋)が初役でその芸と思いを継いでいらっしゃいます。

傾城 揚巻

女方にとって憧れの役といわれる助六の恋人 傾城 揚巻。
初日から12日までは中村壱太郎さん(成駒家)
14日から千穐楽までは中村児太郎さん(成駒屋)

それぞれ初役で勤められています。揚巻は黒と赤の打ち掛けを2枚!羽織り、重さは20kgほどもあるそうです!さらに25cmほどの高さの下駄を履き花道を大変華やかな花魁道中で登場します。
壱太郎さんのインスタグラムに児太郎さんとのダブル揚巻のお姿が掲載されています。とっても素敵ですので是非チェックしてみてください✨
助六には様々な人物が登場しますが、揚巻が物語の起承転結を担っていると思います。華やかさに加えて非常に重要な役どころでもあり、さすが女方の最高峰の大役です!


玉三郎さん揚巻の衣装 オックスフォード大学へ


12代目團十郎さんの助六で、傾城 揚巻を多く勤められたのが坂東玉三郎さんです。
玉三郎さんが着用された揚巻の衣装が現在海を渡っています。
イギリスのオックスフォード大学付属アシュモリアン美術館に展示されているそうです。なんと期間は2年間!!


1683年に創設された英国で最も歴史のある公共美術館で展示されているのは、「助六由縁江戸桜」の揚巻、「廓文章」の夕霧、「天守物語」の富姫など、いずれも当たり役の衣装約10点。春夏秋冬を感じられ、職人の技が生きた衣装を、玉三郎さんが自ら選んだということです。玉三郎さんの衣裳展の海外での開催は初めて。美術館学芸員のクレア・ポラード博士は「英国では歌舞伎への関心が高い。多くの人に知ってもらうよい機会」と喜んだ。

東京新聞より

先日のキャナルシティ劇場公演のトークコーナーで玉三郎さんは
「衣装が戻ってきたら日本でも衣装展を開催する予定」と話されていました。2年後の凱旋帰国が待ち遠しいです!
そして、ヨーロッパの方々の歌舞伎、助六への関心の高さに驚きました。
アシュモリアン美術館HP↓

助六は本来、上演される機会が少ない演目です。今回の南座顔見世は連日大入りでありますがチャンスがありましたら是非多くの方にご覧いただきたいです!
歌舞伎の未来に繋がる南座の吉例顔見世興行13代目市川團十郎襲名披露公演。千穐楽は12月24日となっています。

※今回の南座画像はかぶきDOU友達に提供してもらいました。この場をお借りして御礼します。


縁の一曲 13代目市川團十郎さん&3代目市川右團次さん


歌舞伎役者さんにゆかりの曲をお届けする縁の一曲のコーナーです。今回は2曲お届けしました。

1曲目は12/6に46歳のお誕生日を迎えられた13代目市川團十郎さんでした。
今からちょうど20年前、2003年(平成15年)1月から12月にかけて放送されたNHK大河ドラマ武蔵 MUSASHIで團十郎(当時7代目市川新之助)さんは主人公の剣豪 宮本武蔵を勤められました。
ライバルの佐々木小次郎役は松岡昌宏さん
武蔵を支える池田輝政役で勘九郎時代の中村勘三郎さんもご出演されました。
今年完全版のDVD Blu-rayが発売され11月からはCSチャンネル銀河での放送も始まっております。


大河ドラマ武蔵MUSASHIのメインテーマ イタリアの巨匠エンニオ モリコーネが手がけた「武蔵 MUSASHI」をお届けしました♪

2曲目は3代目市川右團次さんでした。
12/8TBS系列で放送されたオオカミ少年⭐️ハマダ歌謡祭に市川右團次さんが出演されました。
ルーキー世代とベテラン世代チームが対決する歳の差ヒット曲バトル。スタジオの真ん中にマイクが置いてあり、イントロが流れ曲が分かったらマイクを取る!というルールです。歌の出来不出来をダウンタウンの浜田雅功さんがジャッジされます。
右團次さんはB'zの「ultra soul」を見得付きで披露。
さらに野呂佳代さんとデュエットで「愛が生まれた日」を熱唱され浜ちゃんから「営業行くんちゃうんか?」と突っ込まれるほど素敵なハモリでした。
その後も激戦が続き、ついには右團次さんは雪駄を脱いで足袋で走り見事マイクをゲット!
浜ちゃんも「右團次さんの意気込みを見ろ!」と脱いだ雪駄を持って賞賛されました。
ハイトーンのキーもこなす歌ウマな右團次さんに驚かれた方も多いのではないのでしょうか?

右團次さんが熱唱された米津玄師「lemon」をお届けしました♪


めでてえなあ12/6-12/12

お誕生日を迎えられます歌舞伎役者さんをご紹介するめでてえなあのコーナーです。12/6から12/12がお誕生日の皆さまでした。
お名前と所属 屋号をご紹介します。五十音順となっておりますのでご了承ください。

12/6市川團十郎さん
成田屋

12/7市川卯瀧さん
市川門之助一門

12/7市川中車さん
澤瀉屋

12/10中村鴈童さん
 成駒家 

12/11澤村紀世助さん
九代目澤村宗十郎一門

12/12尾上扇緑さん
音羽屋

12/12片岡市蔵さん
松島屋

今回は7名の皆さまでした。お誕生日おめでとうございます!


12/12番組アーカイブはこちらからどうぞ

次回は12/19㈫午前10:00〜10:25 FM77.7MHzコミてん生放送です お楽しみに♪
※権利の関係でYou Tubeには音楽BGMが入っておりません。音声だけの配信となりますのでご了承ください。

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