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「夜ノナミダ」

ぽとん。と蛇口からの滴が
流しの桶に一粒……落ちた
静かすぎるほどの真夜中に
蛇口には今にも落ちそうな水滴が
しがみつくように溜まっている

落としてしまえば楽なのに
その一粒が精一杯で
泣くのはどうにも下手なのです
結局、溢れぬそのままで
景色を滲んで見せるだけ


夜の涙はその目から
夜空に昇って星になる
ほら、あの仄かに光る星
蒼く微かなあの星が
わたしの涙のナレノハテ

いつか流れる星になり
空から戻って来れたなら

きっとわたしも泣けるでしょう


【詩集】「十六夜書簡」つきの より

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