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キルギス通信Vol.20 2016年版 再発行

今年のウィーンは同僚曰く、過去20年で最も寒い4月とのこと。本日は晴れておりますが、また明日からコートが手放せない日々が続きそうです。
さて、本日もキルギス通信の再発行です。
PDFはこちら↓

このキルギス通信は、筆者が2014年~2016年にJOCV(青年海外協力隊)のコミュニティ開発隊員として、キルギスのチョルポンアタ市役所で働いた際の日本の取引先や同僚に向けた月刊通信です。少し情報は古くはなりますが、キルギスらしさを十分感じていただける内容ですので、ご笑覧ください。

КЫРГЫЗ(キルギス)通信~大草原の小さな国から~ 2016.4.1発行

いよいよ新年度!

新年度になりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。昨年度の悪い事は全て忘れて、心機一転がんばろう!という方や、新しい職場環境になって緊張している方も少なくないと思います。キルギスでは、新年度は9月。ですので、相変わらずゆっくりとした時が流れております。

家の裏山を登ると見える放牧地。夏は草原になります。

3月は世界女性の日やキルギスの正月と言われるノールーズ、それに加え、職場や同僚の家でのたくさんのトイ(宴会)があり、人生で始めて肝臓が悲鳴をあげるという経験をしました。
もうウォッカなんて飲まない!と心に決めた次の日にまた飲んでしまう(正確には「飲まされる」)という、おなじみの悪循環の繰り返しで、人間は簡単には成長しないのだと実感しております。

ということはさておき、今回は、キルギスのお土産/特産品についてご紹介させていただきます。

ド派手がお好きなようで…

キルギスでよく思うのは、買いたいなぁと思えるお土産がないということ。キルギス人は派手な色だとか、きらきらの装飾が大好きです。ヒョウ柄の服や、馬が草原を駆けているシーツなどにまだ需要があるという柄社会(!?)で、外国人が買いたいっ!と思えるような民芸品が少ないのです。
ですので、私たちイシククル一村一品運動(One Village One Product- 略してOVOP) では、シンプルかつナチュラルをテーマにし、外国人ウケの良い商品を作っています。 (詳細はOVOPキルギスのサイトをご確認ください)

町中に溢れているお土産屋さんに行けば、キルギスのマグネットやら、マグカップ、ボズウイ(ユルタ)の形をした置物、フェルトのスリッパや帽子など、当たり障りのない(ごめんなさい)お土産が色々とあります。また、TUMARというデザイナー集団は、先進的なデザインでキルギスお土産界を牽引しているなど、これからの成長が期待できる会社も出てきています!
ただし…バザールで売っているようなお土産品はすぐに壊れますので、安いからと言って購入するとなんだか損した気分になります。

本革のボズウイ(ゲル)の小物入れ
フェルトで作った人形

世界一おいしい!?キルギスの蜂蜜

キルギスの特産品といったら、フェルト製品ですが、それと並んで人気なのがはちみつです。ジャムや新鮮な肉もキルギスならではなのですが、キルギスの100%純正なはちみつは、養蜂国際大会で優勝した実力を誇ります。

特におすすめなのが、エスパルセット(イガマメ)という家畜の餌となる草の花の蜜だけを集めたもの。日本のちょっと高級なスーパーにも「キルギスの白い蜂蜜」という名前で販売されているほどです。5月から6月までの1ヶ月間だけに作られるとってもレアなはちみつは、その香りと天然のものとは思えない濃厚な甘みで人々を魅了します。それにも関わらず、お値段はまさかの1kg360ソム(650円ほど)!!キルギス人が一家で年間5㎏ほど消費するのもうなずけます。それにしても、食べ過ぎ!?

エスパルセットの花
真っ白なはちみつ

やっぱりフェルトははずせないアイテム!

羊の部位を余す事無く使うキルギス人にとって羊毛製品はエコの手段でもあります。手が器用な人が多いキルギスでは、昔から羊毛をシュルダックと言われる絨毯やフェルト製品にしてきました。フェルトは、あたたかみのある見た目のため、日本では冬にのみ使われると思われがちですが、寒さから守るだけでなく、通気性にも優れ、夏の帽子や、ボズウイ(ゲル)を囲う素材としても最適なのです。とはいえ、やはり日本の湿気の多い夏にフェルトの帽子を被るつもりは毛頭ございません。

男性用の伝統的な防止
女性用のフェルトの帽子
フェルトのスリッパ
ボズウイの外側はフェルトです

コラム1 伝統模様のオイモ

キルギスにはオイモと呼ばれる伝統的な模様があります。キルギス絨毯(シュルダック)だけでなく、日常の生活で良く目にするほどキルギス人にとっては身近かつ民族の誇りとなっています。オイモの形は色々とありますが、その全てに意味があります。息子のために作る絨毯の場合は、息子が良いお嫁さんをもらうことを意味する模様を描き、家族に送る場合は、家族が団結するように願いをかけた模様を描きます。
下の写真のシュルダックに描かれているのは「人々を率いる女性」で成長などの意味が込められています。

コラム2 キルギスクイズの答え

問題は前回のキルギス通信にあります↓

正解は、3の「水道管が凍る」です!
キルギスはソ連時代の水道設備をそのまま使っています。ソ連のインフラは、かなり強固であり、ちょっとの寒さでは凍るはずもなかったのですが…いかに優れたインフラであろうとも時の流れには勝てるわけがありません。ですので、現在の我が町の水道管や浄水場はボロボロで目も当てられないほど。それゆえに冬は水道管が凍って場所によっては断水が数日に渡ることもしばしばなんです。それもこれも、国にお金がないからなのですが…。

滝も凍ります

コラム3 大草原のひとりごと

気づけば私の任期もあと半年になりました。
これまでの期間を胃腸と肝臓の不調(笑)を除けば、体も精神も健康に生活できています。今まで私を支え続けてくれた方々に感謝しています…なんて固い事を言いましたが、実際は、これから来るベストシーズンにどこに行こうか、という予定作りで頭がいっぱいです。
登りたい山、行きたい湖や放牧地、やってみたい長時間乗馬。考えるだけで、ニヤニヤしてくるのです。
あっ、もちろん仕事もしておりますので、ご心配なく!先日は、キルギス人記者十数人の前で私の仕事をこれぞとばかり自慢したほどです。あと半年だからこそのモチベーションで、全てをやりきって帰国できるように、がんばろう、と思いつつ、やっぱり今日も職場のトイに参加してほろ酔いで帰宅するのでした…。

ダスビダーニア!(それでは!露)

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