見た瞬間にヒヤッとする。
SNS上が「自分」であふれる昨今、こういうことを言う人がいるんだなあと。就活で必死に「自分」を探していた僕には、耳の痛い言葉です。
鈴木敏夫はスタジオジブリの名プロデューサー。スタジオジブリを率いて、宮崎駿と作品を創り、世に送り出してきた。生半可な仕事じゃない。強烈な「自分」を出さなければ、やっていけなかったのではないか?不思議に感じた僕は、鈴木敏夫の仕事術について調べることにしました📝
自分を捨てる、他人を信じる
鈴木敏夫は、アイデア出しから重大な意思決定に至るまで、ありとあらゆる人に意見を聞きます。
鈴木敏夫のもとでプロデューサー補として働いていた、石井朋彦もこのように語っています。
そもそも人と一緒に仕事をするのは何のためか?この問いに対する鈴木敏夫なりの答えなんだと思います。
仕事をしていると、自分ひとりで答えを出すことが正しいように感じるものです。そして相手の話を聞かなくなる。鈴木敏夫は、むしろ相手の中に答えを探します。
そういう意味では、「自分は捨てる、他人を信じる」というのは適切ではないかもしれません。自分の答えを他人の中に見つける。答え探しも含めて他人を巻き込んでいく。
その点については、東宝でジブリの宣伝プロデューサーを務めていた矢部勝が語っています。
自分の考えを持ちながらも一度それを排して、他人の意見を限りなく尊重する。それを再び自分の考えと結びつけて、全体を巻き込み導く。
これが鈴木敏夫の働き方の根本にあるのだと思っています。
機能と人間、才能と誠実さ
では、鈴木敏夫はどういった人と働くのか?
一緒に働く人について、彼自身はこのように語っています。
先述の石井さんはこう述べています。
最初から優秀な人を機能として集めるのではなく、人間として誠実な人を集めて「得意技」を見極めていく。彼自身はこう語っています。
スタジオジブリの現代表取締役社長 中島清文はこう分析しています。
相手の能力をフラットに見て、チームに起用していく。それが鈴木敏夫流の組織のまとめ方なのだと思います。
周囲から見た「鈴木敏夫」
ここまで見ると、鈴木敏夫は冷静かつ客観的でフラットな人に見えます。では、周囲で働く人に「鈴木敏夫」というリーダーはどう映るのか?
ジブリの海外戦略を担ったスティーブン・アルパートはこう語っています。
東宝でジブリの宣伝プロデューサーを務めていた矢部勝はこう語ります。
同じく東宝でジブリの宣伝プロデューサーを務めていた市川南は、こう語っています。
こう見ると、鈴木敏夫は激烈な人に見える。
ただ一方で、彼自身は「怒りのコントロール」についてこのように語っている。
怒りの感情すら、実はコミュケーションの一部に組み込んている。どこまでも冷静だし合理的な人なんだと思います。
鈴木敏夫に学ぶ仕事術
ここまで鈴木敏夫の仕事術、特に「人と働く」の部分について整理してきました。彼は会社組織についてこう語っています。
鈴木敏夫にとっての会社組織は、手段でしかない。あくまでも「いいものを作りたい」が目的で、経済合理性は二の次。もしかしたら「いいものを作りたい」も建前かもしれない。
彼自身「人生は空騒ぎ」という言葉をよく使っているが、たぶんホントにお祭りが好きなんでしょう。自分の好きな人とワイワイガヤガヤしているのが好き。「いいものを作りたい」も「組織づくり」も成り行きでたまたまやってるだけ。鈴木敏夫の言葉の端々にそんな雰囲気があふれています。あるいは、本人さえ無自覚な演出なのかもしれません。
どこまでが本心で、どこからが企みなのか。僕には鈴木敏夫が分かりません。それでも、鈴木敏夫から得たヒントを、自分の中に取り入れながら前に進むことはできそうだなと。
来年に向けて、そんなことを考える年末です。
痕跡本を販売しています
僕がこの本に出会ったのも22歳でした。就活の中で「自分らしさ」や「自分のやりたいこと」探しに足掻いていた頃。僕にとっては、どれも深く刺さる内容でした。
そこから鈴木敏夫さん関連の書籍を買い漁り夢中になって読みました。
この本には、関連書籍についてのメモも残していますので、ご興味あればご購入下さい!
参考文献一覧