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33/偽物に存在感がある理由

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【記事のポイント】『本物はすばらしい』という指摘は、確かに間違いではないのですが、偽物には気軽さと親しみやすさがあります。「すべての食事を一流レストランで食べたい」という欲求は、一般的ではありません 😊


第4章/2. 本物の非在と偽物の実在


オリジナルが近づこうとするのは、いまだ世界にあらわれていない理想や観念です。
先行する様式への批判として制作活動を始めた場合でも、作品を仕上げるためには作家の頭の中に確固たる完成イメージが必要になります。

逆に言えば、それがなければ画家は筆を置くことができません。
エンド(目的)に達することが、創作活動のエンド(終わり)になるわけです。
さまざまな主義主張の違いは、つまるところ作家の頭の中で育った完成イメージの違いとも言えます。


その点シュルレアリスムは、完成イメージを否定しようとした、ちょっと変わった運動でした。
徹底的に自由を求めた彼らは、たとえ自分の内面にある場合ですら、先行するヴィジョンが存在することを嫌いました。

究極のアヴァンギャルド。

何ひとつとして、作品よりも前に存在して欲しくなかったのです。
驚くほどのスピードで筆を走らせる自動速記という手法は、観念の形成が手の動きに追いつく前に作品を仕上げてしまおうという、強迫観念的な試みでした。

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