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DAY14 読書 逆・タイムマシン経営論 スマートウォッチは世界を一変できたか?

いままでは、30分読書として、
完読をせず、時間内に自分が欲しい文脈だけを読み解くことをしていました。

昨日、『逆・タイムマシン経営論』の内容を要約していると、
面白くなってきて、『これは時間をかけてじっくり読みたい!』と思ってきました。

というわけで、今回は30分読書ではなく、すべて読み終えて、
本書から読み解いた、自分の問いに対する答えをアウトプットを
します。

改めて今日の本はコチラ

上記に本の紹介を載せました。


本書から得たいこと

過去に引っ張られると、経営判断を間違ったり、時代に乗り遅れたり、してしまうと私は考えていましたが、本当に過去から学ぶことが正しいのでしょうか?ゼロベースで現在から考える方法はだめなのか?

先生、質問があります。

読書を終えて

本の内容は過去の経営事例(特に失敗事例)から、如何に『バイアス』がかかっていたことを検証しています。
事例を分類わけすると、
 「飛び道具トラップ(魔法の成功事例にのっかる)」
 「激動期トラップ(その時代の雰囲気に飲まれる)」
 「遠近歪曲トラップ(シリコンバレーの事は良い事、日本の事はダメな事)」です。カッコ内に自分なりの要約を載せました。

多くの事例が出ているので、とても身近に納得でき、面白く読み進めることができました。


全体を通して、感じたのは次の3つ。

  • 本質を見きわめる目を持つことは大切

  • ビジネスは継続するゲームであり、その時点で切り抜いても、その時の評価にしか過ぎない。

  • 逆・タイムマシン経営論が正しさを持っているのは理解できるが、それであっても挑戦していきたい。小さく試していけば、この問題はクリアできる。

本質を見きわめる目を持つことは大切

本書での失敗事例はつきつめていくと要因は、

『本質が何か?』『その策は自分に合っているか?』
考えていない(あえて考えない、目をつぶっている)からです。


たとえば、サブスクリプションのビジネスモデルの成功と失敗の事例。
Adobe社が「illustrator」などのソフトを売り切るビジネスから、月定額制にすることで成功したことで、他社がサブスクリプションに乗り出し、大企業のパナソニックやトヨタが導入するようになります。

しかし、
『これが自分に合っているのか?』
『本当に顧客の課題を解決できるのか?』
と考えると、サブスクは本質ではなく、単なる手段でしかなかった。

Adobe社はサブスクを導入して成功したが、
全ての会社がサブスクを導入すれば成功するわけではなかった。


サブスクが定着したところはほんのわずか。2022年の今、『サブスクが最善の打ち手』みたいなことは誰も言わなくなってます。

原因は、
顧客の課題解決というビジネスの本質を見失って、
『この魔法の手法を取り入れればビジネスになる』という安直さが命取りになっています。

そうならないためにはどうしたら良いか?
本書には、こういったバイアスに陥りやすい人の事例がでています。
これを反面教師にして、気をつけることがカギです。

トラップにはまりやすい人
 ①情報に対する感度が高い人
 ②考えが浅い人
 ③せっかちで、すぐに成果を求める人
 ④何らかに行き詰っている人
 ⑤視野の狭い「現場担当者」

第一部 飛び道具トラップより

とくに、考えが浅くなんでも飛びついてしまう人が危険です。
そして情報に対する感度が高い人も要注意。
なんでも知っているがゆえに飛びつきやすいです。

『せっかちですぐに成果を求める、何かに行き詰っている社長』と、
『視野の狭い現場担当幹部』と
『情報に対する感度が高い部下』の
3つが組み合わさると、目も当てられないことになりそうです。
だけど何となく、こんなこと有りそうと思うのは私だけでしょうか?

ビジネスはその時点で切り抜いても、その時の評価にしか過ぎない。

この本では過去の事例を出していますが、一時の成功の陶酔感に飛びついて、その後失速した事例がいくつもあります。

例えば、3Dプリンターやセグウェイ事業が紹介されています。
(一時の熱狂ぶりからすると、音沙汰ないですよね)

これも本質を見きわめる事。具体を集めて、それを抽象化してよく考えてみることだと私は考えました。


一方で、サイゼリヤが『キャッシュレス決済』と『宅配サービス』に手を出していないことを成功事例として挙げていました。

当時は、クレジットカードやpaypayをはじめとしたキャッシュレス決済、uber eatsをはじめとした宅配サービスが外食産業の切り札として世に出ていました。

しかし、サイゼリヤは自社の定義する価値『家族や友人との日常的な食事を提供する』ということに照らし合わせたこと、
それとキャッシュレス決済に対する設備投資に対して得られるものが少ないこと、を判断し導入を見合わせました。
本質を考えることで、「飛び道具トラップ」にかからなかった成功事例です。

小さく試すことが大切

しかし、現在2022年、コロナ禍を経て、クレジットカードと交通系カードを導入しています。
ただしpay payなどのQRコード決済は導入していません。
uber eatsにも対応しています。

本書が出る時点で切り取ると、『キャッシュレス決済と宅配サービスを導入していないサイゼリヤは最善手を打った』と評価できるが、
2022年時点は違う経営判断をしています。想像するに、コロナ禍を経て非接触が顧客ベネフィットになると考えたのではないでしょうか?(あくまで私見です)

私の感想としては、ビジネスに成功も失敗もないんだということです。
その時失敗でも、将来的に成功かもしれない。
その時の判断が成功でも、その判断に縛られると将来的に失敗してしまう。

ということは、なんでも試していくことが、ビジネスの在り方ではないかと思います。失敗を恐れて、動かないことがゆっくり後退していくと思います。
ただし、致命的な失敗になることは避けなければならないので、
『小さく試す』『撤退基準を決めて、臆病なくらいな決断をする』ことで避けられると思いました。

最後に

ビジネスに限らず、ひとつの事象を捉え方によって、いろんな見え方があるのだなと感じました。
私は、『それでも、挑戦していく』価値に重きを感じました。

本書より、ITTという巨大企業に育て上げたハロルド・ジェニーンの言葉が心に残りました。

何かというと、「求む!社内起業家」とか「大企業にも起業家精神を!」といった言葉を口にする経営者がいますが、ジェニーンは「ITTのような大企業の経営には起業家精神は必要ない」と断言しています。

大きなリスクをとって一発当てる仕事と、
莫大な資産を委託されて大企業を動かしていく仕事とは、
その性格や求められる資質、能力が根本的にことなる。

起業家精神は大企業経営の哲学とは根本において相反している、というのがジェニーンの考えです。

第三部 遠近歪曲トラップより

よく考えず、『いまは副業しないとダメだ』とか、『人生100年時代と言われているから、パラレルキャリアをしないとダメだ』といった、即物的な考えではなく、『本質』を考えること。すべてはここに帰結するのだなと思います。

改めて自分のあり方について考えさせられる本でした。
楠木さん、杉浦さんありがとうございました。

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