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27年前の卒業式に着れなかったブカブカのコムデギャルソン

27年前の昨日、卒業式に着ていく初めてのスーツをコムデギャルソンの半額セールで買った。半額といってもバカ高い、しかもサイズも合っていないブカブカのスーツ。ウールでできたチャコールグレーのそれを、今まで貯めていた全財産を使って手に入れた。


服装が自由な高校だったので、その集大成とも言える卒業式に「おしゃれでありたい欲」を爆発させようと精一杯の背伸びをしたんだと思う。今考えたら、受験生が余計なこと考えんなよ、、と自分にゲンコツをいれたい黒歴史の一つだ。


受験を控えた1月は、毎朝5時に起きてシャワーを浴び、勉強するのが習慣だった。27年前の今日(1月17日)も朝5時に起きてシャワーを浴びるつもりが寝坊して二度寝した。


突然、部屋の窓から見える街灯がピカッ!と光った。


その瞬間、地面が揺れた。大きく、縦に。


地震なんてない神戸。5時47分。

これってまだ夢の中にいる?と勘違いしたまま、フラフラと隣の部屋に吹き飛ばされた。


収まった後、ドリフのように壁が崩れた階段を降りると、その時間に浴びていたはずのシャワールームはガラスの破片が突き刺さっていた。
母の布団は男2人でも持ち上がらないタンスで潰されていた。
血の気が引いたが、なぜかその日に限って、母は早朝から車で出かけていて助かった。折れた高速道路の手前でUターンして帰ってきた母は普通だと死ぬ場面を2度もすり抜けて帰宅した。


家は全壊した。水も電気もガスもない生活。同級生の女の子が亡くなった。その前の日に挨拶を交わした彼女。
通っていた高校はご遺体の安置所になり、卒業式もあったのかなかったのか、記憶も曖昧だが、もちろんあのスーツを着る出番は1度もなかった。


「人はいつ死ぬか分からへんねんな…」


18歳の何にも考えていない健康体は、初めてそんなことを知った。

でも生き残ったからには、自分の好きなことだけをしよう。
自分の好きなことが、ほんのわずかでもいいから誰かを楽しませたり、誰かの役に立ったり、誰かの人生をほんのちょっと変えるような、そんな「好きなこと」を見つけよう。


生まれて初めて、そんな決意したのが、27年前の今日だった気がする。



色々ありながらも今日もなんとか生きている。


そのことに何か意味があると信じつつ、これからも自分自身が楽しくて、自分自身が「いい!」と信じたモノやコトを通じて、関わってくれる人の人生も華やぐような、そんな生き方働き方をしていきたい。


お正月でも3.11でもなくて、僕にとっては1.17がそんなことを想う日だったりします。




そういえば、どうせ全壊するからと、適当に隠したままにしておいたゴリゴリのアダルトな雑誌たち。受験だからと東京に避難、しばらくして帰ってきたら「ケイジ」と書かれた段ボールに母親が綺麗に整頓してくれていた時、1日家飛び出したなあ。。これこそ黒歴史…トホホ



【中川ケイジ PROFILE】
プラスチャーミング代表。2011年よりリラックスウェアとしてのふんどしブランド『sharefun®(しゃれふん)』を展開。2021年7月、お風呂上がりから翌朝までノーパンで履ける『ととのうパンツ™️』をリリース。使う生地はmade in japan。商品の生産も全て被災地。発送は就労支援事業所に依頼するなど【関わる人が全員ハッピーになる循環】を目指し、日々正直なブランド運営に奮闘している。2015年子育てのために都内から茨城県水戸市に移住。講演多数。週3でサウナ。
著書
『人生はふんどし一枚で変えられる』(discover21)※全文無料公開中!
『夜だけふんどし温活法』(大和書房)


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