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人の行動を変えさせるための6つの法則


商品を世の中に宣伝する方法として、「広告」と「PR」がある。
この 2つは同じもののように見られがちだけど、似ているようで似ていないものだという。
「広告」とはお金を支払って宣伝することで、「PR」とはお金を支払わずに宣伝してもらう。
「広告」はいつ、どこで、どんなタイミングや形で世に出すかを決めることができる。
しかし「PR」は新聞や雑誌などの媒体に情報を提供して、いつ、どのように世の中に出してくれるかを決めることはできず、他人様次第で決められるもの。
ざっくりいうとこのような感じだという。
日本では広告戦略の中に PRが含まれていることが一般的だが、海外では広告と PRは別物として分けられているようだ。
カンヌのフェスティバルでは、広告部門と別に PR部門が設けられ、それぞれの優秀賞を選出しているらしい。

PRとは「public relations」、直訳で「公的な関係性」という意味のように、世の中を舞台にした情報戦略を仕掛けること。
戦略を仕掛ける最終的な目的は、「人の行動を変える」ことにある。
現代の世の中はモノが溢れている。
技術はコモディティ化し、新しい商品は次から次へと生まれては消えていく。
たくさんのモノが溢れ、類似商品が多い中で、なぜその商品を買う必要があるのかという「買う理由」を伝えなければ、人に気づいてもらうことはできない。
なぜそれがいいのか、世の中にある「いい〇〇」を再定義することで、新しい価値観を生み出し、マッチしているモノがこれだよね、と言って手に取ってもらい、購入してもらう。
人々に気づきを与えるのが、PRの役割なのだ。

インターネットが普及した現代は、報道情報や口コミ、SNSの拡散などの影響力が増している。
さらに個人に合わせたオススメ商品や情報が提供されるようになっている。
そのような社会的な関心と、個別的な関心をきめ細かくとらえ、人々の心を動かし、目的達成につなげるには、「空気作り」が必要だと著者はいう。
あなたの気になること、みんなの気になること、生活者が気にしていることを汲み取り、行動を変化させること。
これをビヘイビアチェンジというようが、行動を変えさせるには、人々の認識を変化させることが必要だ。
そのための PRの方法として、著者は 6つのアプローチを紹介している。
 1. おおやけ - 世間で認められている社会性
 2. ばったり - 見付け出した喜びを感じさせる偶然性
 3. おすみつき - 信用を持ってもらうための信頼性
 4. そもそも - 当たり前を思い出させる普遍性
 5. しみじみ - 自分ごとに感じてもらう当事者性
 6. かけてとく - 機転を利かす機知性

人の行動を変えさせるためには、世の中にどんな課題があるのか、人々は何に困っているのか、それはなぜなのか、どんなハードルがあるのか、それらを見つけることから始めないといけない。
社会が抱えている潜在的なインサイトを見つけ出し、その課題に対してどんなふうに解決しようとするのか、解決策を提示する必要がある。
問題を探り出しただけのやりっぱなしにしてはいけないということ。
ファクト (事実) やデータを集め、それにどんな意味が含まれているのか社会のインサイトを分析し、解消できる内容を商品やブランドに落とし込んでいく。

商品を宣伝する際には、見た人に信頼してもらわなければいけない。
それには、専門家による実証や実行結果とともに信頼性を高める「事実のおすみつき」と、人気のインタグラマーやユーチューバーなどに紹介してもらい、フォロワーが後追いしてくれるような「共感のおすみつき」の 2つの手段がある。
インフルエンサーにお金を払った場合は意図的「広告」となってしまう。
PRという視点では、あくまでもインフルエンサーが「すすんで宣伝してくれる」ことが大事なのだ。
特に重要なことは、「〇〇の実現のために〇〇という根拠を持って、〇〇を主張している」という発信する文脈に PR対象が沿っているかどうか。
インフルエンサーが何を広めようとしているのか、どんな情報を発信しているのか、その内容に合わない宣伝をしてしまうと自然感がなくなってしまう。
それは「広告」と変わらなくなってしまうため、選定が重要になってくる。
また、インフルエンサーはフォロワーが増えるほどエンゲージメント数は減っていく傾向にあるという。
いろんな興味・関心を持ったユーザーがフォローするため、特定の投稿に刺さる人の数は、全体の母数の割合から小さくなってしまうからだという。

人の心を動かし、行動を変えるのは、ストーリー性の高いもの、感情に訴えるものが一番効く。
新しい「いい〇〇」という価値観を提示し、買おうと思わせるようなストーリーを作り上げてこそ、人の行動を変えることができ、PRが成功したと言えるのだ。

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