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As Time Goes By-変奏曲7選

変奏曲も奥が深いです。

0.はじめに

変奏曲とはひとつの「主題=テーマ(メロディ)」を基にした「変奏=ヴァリエーション」を繰り返して構成する作品のことです。テーマの和声、リズム、拍子などを変化させた「変奏」の数に限りはありません。

変奏は色々ありますが、基本的にはだんだん華やかに、だんだん難しくなっていくもので、作曲家とプレイヤー、どちらにとっても腕の見せ所になる曲ですね。

1.器楽部門(その1)

ヴェニスの謝肉祭 変奏曲/H.クラーク他

楽譜が見られるのでわかりやすいですね。60からが「主題(Theme)」です。「76」から第1変奏(Ver.1)で、だんだん難しくなっていきますね。これトロンボーンで演奏されてますがトロンボーンでこの曲やるのは頭おかしいです。

元々はバイオリンの鬼才パガニーニが民謡を使って作曲したのだったか、ちょっと調べても定かではありませんが、有名になったのはコルネットの名手ハーバート・クラークという人が、自分の腕を見せるために作曲し、金管の人にはお馴染み「アーバン」という教則本に載ったのもあるかなと思います。

色々な楽器の腕自慢に演奏されます。

ユーフォニアム。

フルート。もう最後どうなってるかよくわからんな。。笑

ファゴット。親指の動きやばそう。

ちなみにヴェニスとはベネチアのことですね!

2.器楽部門(その2)

ピアノ三重奏曲イ短調「偉大なる芸術家の思い出に」/P.I.チャイコフスキー

本当に良い曲。聴いている間は、あらゆる音楽の中で最も素晴らしい曲だと思ってしまいます笑。親友の死に際して書かれた作品で、1楽章はEDFEのメロディが悲劇的。2楽章が変奏曲です。H-E-D#-C#-D#-E-F#というテーマが様々に変奏されていきます。ただ最後は劇的な急降下で地獄落ちして、1楽章のEDFEが戻り、葬送行進曲となって終わります。

3.器楽部門(その3)

ゴルトベルク変奏曲/J.S.バッハ

この曲については単独で記事を書いているのでご覧ください。

大好きな曲です。メロディではなくて、G-F#-E-D-H-C-D-Gというベースラインを基に変奏している作品なのが特徴です。こういうやり方もあるわけですね。

室内楽にアレンジしたものもあって、最近見つけた素晴らしい演奏↓

4.オーケストラ部門

エニグマ変奏曲/E.エルガー

冒頭のHGCAで始まるテーマが14回変奏されるのですが、面白いのはそれぞれの変奏にイニシャルが付いているところ。実在したエルガーの知人たちが、それぞれの変奏のモデルになっているのです。これが良い仕掛けになっていて、たとえば第1変奏は妻をモデルにしているんですね。そして最後の14変奏は、エルガー自分自身をモデルにしている。そしてその14変奏の中で、第1変奏が再び演奏されるんですが、妻への愛を確認するような演出がロマンチックですよね。

でも13変奏は、何故かイニシャルが隠されていて誰のことだか謎のままなのです。しかも「舟唄」の形式をとっていて、船乗りだった当時のエルガーの愛人のことなのでないか…と推測されたりしてます。けしからんですね。

5.吹奏楽部門(その1)

フェスティバル・ヴァリエーション/C.T.スミス

有名な激ムズ曲ですが、最近では高校生にも演奏されちゃいますね。ホルンが演奏するGFE♭DE♭Fというテーマが変奏されていきます。ハイトーン、高速タンギング、指回し、何でもありの高難度作品です。一説には作曲者の友達にホルン奏者がいて、嫌がらせのために書いたと言われていますね。

6.吹奏楽?部門(その2)

ヴィタ・エテルナ・ヴァリエーション/A.コミタス(E.デ・ブール)

これ全然有名じゃあないんですが、大好きで、冒頭に奏でられるテーマの美しいこと美しいこと…何度聴いて慰められたか知れません。

元は英国式金管バンドのための曲ですが、一応吹奏楽編曲もあります↓

7.吹奏楽部門(その3)

エクストリーム・メイク・オーヴァー/J.デ=メイ

冒頭のサックス四重奏で奏でられるのは、チャイコフスキーの弦楽四重奏で有名な「アンダンテ・カンタービレ」。この曲はこのアンダンテカンタービレを主題にして、様々なチャイコフスキーの作品を模倣した変奏を、特殊な奏法やサウンドをまじえながら次々に繰り広げていきます。みんなで瓶を吹いたりもしますね。怒涛のクライマックスに向けて「白鳥の湖」や「1812年」が再現されながら大音響の大団円が鳴り響く様子は圧巻で、現代吹奏楽のひとつの頂点かなと思わせます。これも元は金管バンドですが、編曲も素晴らしいです。

8.最後に

変奏曲も名曲が多いですね、ほかに紹介したかった曲もたくさんあります。作曲家にとっても才能を全力投球できる分野なのだろうと思いますね。

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