コロナ後の世界を語る~現代の知性たちの視線 (朝日新聞社/編)

養老孟司(解剖学者):人生は不要不急なのか? → 不要不急は自分のことでなく、そのものさしは周囲つまり世間である。自立すべし。

福岡伸一(生物学者):ウイルスは撲滅できない。ともに動的平衡を生きよ→ ウイルスは利他的な存在。生物と無生物の間をさまよう奇妙な存在。ウイルスは高等生物の遺伝子の一部から生まれた家出人。生物(宿主)に優しく迎え入れられて生物の進化を加速してくれる存在。ピュシスとロゴス。

ユヴァル・ノア・ハラリ(歴史学者):脅威に勝つのは独裁か民主主義か?→ 医療だけでなく政治の重大局面。連帯や協調が必要。

ジャレド・ダイヤモンド(生物学者):コロナを克服する国家の条件は?→ 対立と協調の混合。世界レベルのアイデンティティーに期待。世界が団結を求めるときに不統一や不和を唱えるトランプは最悪だと。

イアン・ブレマー(国際政治学者):国家と経済の役割と関係が変化 第4次産業革命が加速。米国の国力低下と中国の台頭、世界各地での分断。政府とIT企業の連携が進む。国家が台頭する一方で国際機関などグローバルな統治システムが弱体化する。

ブレディみかこ(保育士・ライター):真の危機はウイルスでなく無知と恐れ→未知と無知に”恐れ”の火を焚きつけたら?これまで見えなかったもの、例えば、差別や偏見が自分の中にあることに気づく。これは開かれた社会で他者と共存するために我々を成長させてくれる機会。

大澤真幸(社会学者) :苦境の今こそ国家を超えた連帯を実現させる好機→ 人類は運命共同体であることを実感。グローバル資本主義が危機を招いた⇔人新生。

坂本龍一(音楽家):パンデミックでも音楽は存在してきた→ 政府は”自粛”に留めることにより損失を運営側に寄せた。これは日本が西洋から文化を借りたのみで人々や行政に芸術や文化を守る意識や体制が根付いていないから。”時代というものは存在しない” つまり時間も都市や音楽と同じように人間が勝手に作り上げたもの。”ノイズ”と”サウンド”の間にそもそも垣根はない。自然は人間の親分。


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