吾輩は童貞である。魔法使いになる気はまだ無い。㉗マッチングアプリ編その10
前回の記事
直接の続きのため、ご一読いただければ嬉しい。
ご容赦いただきたいが、今回の記事は長すぎて分割した。
これは魔法使い化の未来に抗う、アラサー童貞の記録である。
筆者スペック
身長:160代後半
体型:やや細め
学歴:私立文系
職業:税金関係
趣味:映画鑑賞(ハリウッドからクソ映画まで)
誇れること:友人に恵まれたこと
登場人物紹介
鳩
大学時代の友人で、研究室の仲間。平和なヤツ。
恋活パーティーで作った彼女と同棲を始めた。
絵師
大学時代の友人で、研究室の仲間。
あだ名とかじゃなくて本当に絵を描いている。
結婚相談所に入会し、見事成婚退会した。
涼宮ハルヒ
大学時代の友人で、鳩と並ぶ最古の付き合い。
ただの人間には興味が無いのに人たらしのイケメン。クソモテる。
俺の知らぬうちに彼女と半同棲状態になっていた。
モノリッド(26)
俺がマッチングした女の子。
月は出ているか?
(デート前に執筆)
とっくに色褪せてしまった、古い古い記憶のアルバムをめくる。
初めて恋を自覚した時、俺はどんな気持ちだったのだろう。
”あの子”を想いながら眠った夜。
”あの子”と同じ空間で練習できることを幸せに思った夏。
”あの子”と一緒に生きることを望みながら狂ったあの日。
”男”と”女”。友達としてではなく、恋人として共に在ること。
当時、俺はその意味をきちんと理解していなかった。その重みも。相手の気持ちも。全てが独りよがりで、全てが受け入れらなかった。
だが、一つ言えることがある。
あの時の俺は燃えていた。
情念、情欲、劣情、羨望、あるいはそのどれでもない、あるいはその全てを綯い交ぜにしたような、我が身を灰塵にせしめる勢いで燃え上がる、そんな熱すぎる想いを内に抱えていた。
それがあればなんでもできると思っていた。厳しい顧問の下でも練習を頑張れるし、多少辛いことがあっても乗り越えていける。クラスの不良が不快でも学校には通えるし、憎い担任が威を借る狐であっても生きていけると。
俺は大人になってしまった。
俺の”大人”を構成するものは、社会に溶け込むための、ハリボテの”理性”なのか、過去の失敗から来る、凝り固まった”諦観”なのか…あるいはその両方か。
確かに、一度湿った俺は、今再び燃え出した。
しかし、俺は”あの頃”ほど燃え上がってはいない。
合コン、恋活パーティー、街コン、知人の紹介、マッチングアプリ。いずれにせよ、それらは人と人との関係を恋愛からスタートさせ、(基本的には比較的)短期間で回転させる歪なもので、故に俺が”あの頃”ほど燃えていないのは当然ではあるのだろう。
俺はモノリッドが好きだ。それは揺らがない。一緒にいたいと思う気持ちも変わらない。
だが、かつての俺にとって”好き”とは、強烈な激情であり、膨大な渇望であり、陰湿な執着であったのだ。
モノリッドにそれらを感じたことはない。
俺がモノリッドに思うこと。居心地がよい。可愛い。綺麗。価値観が合う。もっと話がしたい。もっと話が聞きたい。もっと自分を知ってほしい。もっと相手のことを知りたい。一緒に歩いてみたい。手を繋いでみたい。それ以上のことをしてみたい。それは頭で暴れ狂う大嵐のようなものではなく、じんわりと心に広がっていく、さざ波のような”好き”である。
ならば、俺はこの気持ちを何と伝えればよいのだろう?
…かつて、明治時代の文豪、夏目漱石が、英語教師をしていたときのこと。
「I LOVE YOU」を生徒たちに訳させたところ、生徒たちは「我君を愛す」「そなたを愛おしく思う」といったように訳したそうだ。
それを見た漱石は「日本人はそんな直球に愛を伝えることはしない。”月が綺麗ですね”とでも訳しておきなさい」と教えたらしい。(真偽不明)
…
……
………
結局、何を言おうかなんて事前にまとまらなかった。
だから、俺は当日の俺に全てをゆだねることにした。
モノリッドはある程度俺の人となりを知っている…はずだ。カッコつけようとして結局カッコつかないところも、キザったらしい台詞が似合わないところも、アピールしようとして後手に回るところも、不器用が服を着て歩いているような男だということも。
知った上で会ってくれるというのだ。
背伸びは無駄だ。綺麗事は無為だ。
だから。
俺は。その時の俺ができることを。伝えられる精一杯を伝えようと思う。
月は出ているか?
太陽と月の狭間で
(デート後に執筆)
実は、モノリッドとの三回目のデートの前に、絵師の結婚祝いパーティーがあった。幹事は俺である。モノリッドの予定的に、ここを逃すと二回目と三回目の期間が相当空いてしまうので、それだけはどうしても避けたかった俺は、モノリッドにお願いしてパーティー会場と同じ最寄りまで来てもらうことにしたのだ。
…
……
………
パーティー中。
久しぶりに会う友人も多いため、積もりに積もった話に華を咲かせる。
”今日だけはいくらでも調子に乗ってほしい”という合意の下、絵師は乗りに乗っていた。
嫁との馴れ初め、嫁からの印象、嫁との〇〇〇ネタ、この世の終わり、あるいは天上の頂のような情報の洪水に、俺含め全員が溺死した。
否、訂正しよう。全員というわけでもない。
総勢11名のうち、結婚したのが絵師、同棲しているのが鳩と涼宮ハルヒ、同棲していないのが1人、独身貴族が6人。(で、最前線でもがいているのが俺1人というわけだ)
…ちょっと待てよ。友人に女っ気があるやつ少ないとか言ったの誰だよ?
まあそれは置いておいて、これが結婚を祝う場である以上は、必然的にある話題が挙がってくる。
すなわち、”次こうやって祝われるのは誰だ?”である。
鳩「まあ君らもね、こうやって祝われる時が来ると思うんで…」
全員「テメエだよ!!」
俺「そのために同棲してるんじゃないんですか?」
涼宮ハルヒ「すっとぼけてんじゃないよ。やってんなコイツな」
絵師「ホントだよ。早く俺からも祝わせてくれよ」
…と、鳩が思わぬ反撃を繰り出してきた。
鳩「いや?案外次はケツアナゴ(筆者)かもしれないじゃん」
俺「…ゑ?」
──風向きが変わっちまったなァ。
絵師「そう言われればそうだよ。今日3回目のデートなんだってな?」
友A「頑張れよ~」
友B「もう勝ったようなもんじゃん」
俺「いや…そんなもん分かんねえじゃねえか」
鳩「聞く限りお前のは脈アリのそれでしかない」
絵師「女の子だって暇じゃないんだから興味のない相手に三回もデートしないだろ」
気軽に言ってくれるなあ。(ドラえもん)
…太鼓判を押されると逆に心配になる系童貞である俺は、過去記事であれだけ自分を奮い立たせたにも関わらず、酒が入っていることもあり、またしても弱腰になってしまった。
俺「いや…俺だってそう思いてえ!そう思いてえよ…!!けど、全部が俺の勘違いなんじゃないかって疑念が払えないんだよ!異性の気持ちを汲み取る能力がないだけなんじゃないかって…頭にこびりついて取れないんだよ…一人で先走ってるだけなんじゃないか…俺が本当に…彼女を作れるだけの人間なのかって…散々失敗してきたんだ…だから…今回もまたその失敗のうちの一つでしかないんじゃないかって…結局これもキモイ童貞が早とちりしただけなんじゃないかって…思って…もう…疲れた…」
考えすぎて混沌となった思考をまとめることができず、そしてアルコールによって理性の弁が外れたことで、脊髄から延々と言葉を紡ぎ出す俺。
そこに。
涼宮「お前は周りの非童貞より、自分の童貞を信じるのか?」
俺「…!」
涼宮「まあ、気持ちは分かるけどな」
絵師「俺なんかが結婚までこぎつけたんだぜ?勇気出せよ。ケツアナゴができない道理はないだろ」
鳩「俺たち皆ケツアナゴのこと応援してるんだよ」
涼宮「確かに、ケツアナゴは悪いところが山ほどある。でも、お前のこと嫌いだったら今回こんなに集まってないと思うんだよね。こういうことを企画できるだけの行動力があって、皆を集めるだけのリーダーシップもあって、ビジュアルも悪くない。…ただ、シンプルに生きるのが下手なだけで…」
絵師「あまりにも不器用すぎるんだよな。それが良さでもあるんだが」
俺「…」
涼宮「本当にお前が魅力のない人間だったら俺たちはここにはいないし、女の子もデートには来ない。相手にもお前の良さはちゃんと伝わってるよ、きっと。だから大丈夫だよ」
──…。
──……。
──………。
俺「し、染みる~!!涼宮にそれを言われるとマジで染みる~!!普段絶対言わねえじゃんお前そんなこと!!かぁ~効く~!!」
友人C「まあ、ダメだったら次行けばいいじゃん」
水を差すな。
ラウンド5:此処から月は見えないけれど
そんなこんなで、二次会へ向かう友人たちに背中を押されながら、俺はモノリッドとのディナーに臨むのだった。
モノリッドはニコニコで近づいてきてくれた。可愛い。
──今、俺はどんな表情をしているんだろうか…
妙な気分だった。これから死地に向かおうとする人間の心境にしては、あまりにも凪いでいて、あまりにも穏やかだった。
ひょっとすると、緊張が限界を越えて感情が麻痺していただけかもしれんが。
ふと、横を見る。モノリッドはまた違うネイルをしていた。ラメ付きだった。可愛い。俺はちゃんと声に出した。
…
……
………
モノリッド「一回目に会った時、すごい怖い顔してましたよね」
俺「怖い顔…?」
モ「というか、怖いものを見たような顔?って感じ。何に怯えてるのかなってくらい表情が強張ってて…まあ段々和らいでいきましたけどねw」
俺「あーいや、ほら…俺って緊張しいだから…。それに、やっぱりどうしても自分を良く見せようって気持ちが働いちゃったんだよね。つってもすぐに化けの皮が剥がれたんだけどw」
モ「www」
俺「正直、他の女の子とはそんな感じのままで終わったことの方が多かったよ。人と関わるのは得意じゃないし。だからモノリッドさんには肩肘張らなくてもいいんだって分かった時はすごく嬉しかったし、そうやって話してる時はすごく楽しいって思えた」
実際、そうだったのだ。俺のようなコミュ障のスキルでは、初対面の人間同士とは、会話の切れ目に重苦しい沈黙が到来しがちだ。
だが、モノリッドとはほとんどそれがなかったように思える。
女の子との相性もあったろう。向こうも緊張していたこともあったろう。シンプルに俺がタイプじゃないこともあったろう。それら全てを加味しても、モノリッドとのやり取りに、そういった初対面特有の気まずさを、俺はあまり感じなかったのだ。
俺がガチガチに固まっていたことを指摘してくれて、その上で笑って一緒にいてくれる女の子は、俺の人生ではこの子しかいなかった。
(俺にそのつもりがなくとも)最初から弱さを全力で曝け出しても、そこに蛙化(誤用)しない女の子も、俺の生涯ではこの子しかいなかった。
得難い時間だ。得難い存在だ。
だから。
俺「それに…写真よりも可愛い女の子が来たら誰だって緊張するでしょ?」
たとえこの想いが届かなくても。
モ「あ~!!ホント~慣れてますねえ~!!おだてるのが上手いんですから~!!」
この子と過ごした時間を…俺は無駄だとは思うまい。
…本当にそうか?
…
……
………
俺には一つの反省がある。
それは、元カノと付き合う際に決着を急ぎ、判断を誤ったこと。
合わないのが価値観というのが俺の持論だが、それにしたって付き合う前に”自分と相手の価値観の齟齬がある程度すり合わせられるほどのものか”、”違いを違いとして放置しても問題のないものか”を確かめることくらいはやはり必要だと痛感したのだった。
俺「ところで、モノリッドさんは付き合う相手に求める要素で『これだけは外せない!』ってことある?」
…互いに求める連絡の頻度。
モ「学生の頃の彼氏がLINEとか電話とかめちゃくちゃしたがる人だったんですけど、私は会ってからいっぱい話したいタイプです。顔も合わせてない時に会話のネタを消化したくない」
俺もそう思う。というか、友人相手でさえも用がない時にわざわざLINEなんかしないので、彼女にそれを要求されるのは中々しんどかったりする。
…友人と恋愛のバランス。
モ「前の彼氏とは、『友達に会うな!』って言われたので、それで私が怒って別れました。さすがに常に友達優先なのはどうかと思いますけど、友達付き合いそのものを制限されたくはないです。人の人間関係に介入しようとしてくるなって話ですよ」
俺もそう思う。そら、相手に異性の友人が大勢いて、それらと一人で飲み明かそうものなら一言物申したくもなるだろうが(俺の場合そう感じた時点で冷めそうなので、束縛するまでもなく崩壊しそう)、聞く限りモノリッドはそんな感じの女の子ではない。
恋人以外の人間関係も充実していた方がいいに決まっている。これに関してはメンヘラのカリンと接したことでよりその思いが強くなった。恋愛と依存は違う。自ら視野を狭めるようなことはあまりにも不健全で、あまりにも不安定だ。自分の恋人にはそうであってほしくない。俺もそうならないようにしたいと思う。
…一人の時間と恋愛とのバランス。
モ「何もしないで寝ていたい時もあるし、一人でゆっくりしたい時もあります。そこは大切にしたいし、無理すると彼氏と会うのが義務みたいになっちゃうと思うし…」
俺もそう思う。友人のベビーに聞かせれば『それって結局都合の良い恋人が欲しいってことなんじゃねえの?』とでも返ってきそうだが…。
何度も筆者スペック欄に書いているように、俺の趣味は映画である。家で一人映画を楽しみたいがためにボーナスでウルトラワイドモニターを買い、スピーカースタンドを設置した。健康意識皆無のクソデブバーガーを貪り、Lサイズのコーラを啜りながら、中身のないポップコーンムービーや情緒ある名作、なぜ生まれたのか分からないような聳え立つゴミを摂取したり、アメリカはもちろんそれ以外の異国の風を感じることが大好きである。この時間だけは奪われたくはない…。(理想は彼女とクソ映画見ることだけど)
一人の時間がとか以前に死活問題になってくるのだが、俺の職業は士業に類するものなので、必然的に資格の勉強が必要だ。彼女との恋愛やその先に金銭的な余裕を持たせるためにも、俺の恋愛市場価値を高めるためにも、その時間も確保しなければならない。
つまるところ、図らずもお互いのニーズは合致していたのである。
モ「…で、ケツアナゴさんは何か譲れないものありますか?」
決まっている。
俺「問題が起きた時に報連相をちゃんとしてほしいです」
モ「仕事か。」
…
……
………
退店の時間が近づいてきた。
モノリッドは本当に、本当に口数が多い。こちらがどうにか恋愛トークに舵を切ろうとしても、気を抜くと元の航路に戻ってしまう。
俺はなんとか操舵し続ける。
俺「アプリは…どんなもんなの?」
モ「前も言ったかもしれませんけど、そんなにやるつもりないですよ。二ヶ月くらい?…今は、もう一ヶ月くらいになりますかね」
──…。
モ「もうアプリやるの疲れました…」
──……。
モ「今はもう二日に一回くらい開いて、気が向いたら返してるくらいですよ」
──………。
──そそそそ、”そういう意味”でいいんだな?!?!?!
これが単なる童貞の早とちりでしかないなら、モノリッドはただ単にめちゃくちゃ素直な子ということになる。…そんなことあるか??普通に考えれば「自分はほぼフリーですよ」と言っているようなものだ。脈の無い相手にそんなことを言うか?これが「さっさと告白しろボケが代」という意味でなかったのならなんだというのだ。
少なくとも童貞の俺は、GOサインだと判断した。
正確に言えば、GOサインを疑った。
心は脈を感じている。だが、頭がそれを否定しようとしてくる。
『所詮童貞の勘違いだぞ』
どれだけ励まされようが、俺は俺の魂に巣食う闇を完全に払拭することはできない。
それはもう仕方のないことなのだ。
成功無くして、真の意味での自信を持つことはできない。
俺は悟った。
そう。
虎穴に入らずんば虎児を得ず。
月が綺麗だと嘯こうにも。
此処から月は見えないけれど。
闇を打ち倒したくば、闇に挑むほかない──!!
今こそ闇を祓う全身全霊の一撃を
店は個室だった。
しかし、周りは若干騒がしく、仕切りは暖簾だった。
外に出ようにも、ここは繁華街だ。
告白にうってつけな状況かと問われれば、答えはビミョーだった。
だが。
カラコンのことがある。三回デートしたにも関わらず、俺が一歩踏み出す勇気を持たなかったがため、フェードアウトされ終わってしまった関係。
(え、あれもう二ヶ月も前なの?)
女の子は機械ではない。モノリッドはカラコンではない。告白は何回目ですべきなのかに関しては、デートの内容によるとしか言えないだろうし、人によるとしか言えないだろう。
だが、過去の失敗体験が「ここを逃せば次は無いのではないか」という焦燥を俺に味わわせてくる。
それを抜きにしても、モノリッドとて暇ではない。アプリでそこそこ真剣に恋人を探している以上は、付き合ってもいない男とダラダラやり取りしていても仕方がないであろう。
…いや、御託はもういい。
ともかく、腹は決まった。
俺は場をリセットするために、先に会計を済ませ、モノリッドにお手洗いをそれとなく促したが、彼女は別に構わないという。
しょうがないので俺がトイレに行った。
…トイレから戻って、ゆっくりと席に着く。
神妙な面持ちで口を開く。
…否、開こうとしたのだが。
モノリッドが再び濁流のように喋り出した。
──ズコーッ!!
思わずひっくり返りそうになりながら、半分上の空で話を聞く俺。
──焦るな。退店時間までまだ余裕はある…。
もし告白が断られるようなことがあっても、退店間際ならお互いに気まずくないだろう、モノリッドが嫌なら逃げ出せるだろうという後ろ向きの判断であった。これが正解かどうかは分からない。
だが、それがなんだというのだ。
間違えながらここまで来た。
弱さを見せながらここまで過ごした。
一つ間抜けが増えたところで、今さら痛くもかゆくもなかろうが。
数瞬の空隙。
俺は、口を開いた。
魂の闇を祓うべく放つ。痛々しく、弱々しく、格好などつかず、男らしさなど微塵もなく、しかし逃げずに放つ。全身全霊の一撃を。
俺「あのさ…」
かくして、俺の闇は晴れるのか。
モノリッドの返事は──。
…
……
………
モ「びっくりした…。あの、すいません、急だったから。だから、その…次会う時にもう一回言ってもらっていいですか…?」
──…。
──……。
──………。
え?
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