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【規格化】世の中を一変させたイノベーション

はじめに

先日、「読解力は概念のモジュール化が9割」という記事を有料公開させていただきました。

そこには敢えて「(初版)」と記させていただいたのですが、その理由は2つあります。
一つ目は、この考えを思いついた時、もうすでに誰かが提唱しているんじゃないかなと思って探したのですが見つからず、「じゃあ読みたいものは自分で書こう」と思い書き殴ってまずこの概念を体系化して全体像を自分が把握した上で、自分自身の生活に活用してみよう。自分で実験してみようと思ったから。
もう一つは、一つ目の理由からこの考え方はまだまだ更新される余地があるものだし、自分で実験していく上での気づきやケーススタディ(具体的)はぜひ2版、3版、、と更新しようと思っていたからです。
まえがきはこのくらいにして、早速「概念のモジュール化」の論を補強できそうだと閃いた「規格化」との掛け合わせについて語りたいと思います。

「モジュール化」×「規格化」

みなさんは、「規格化」と「モジュール化」という言葉をどのように捉えていますか?これらは単なる工業的な概念ではなく、私たちの知識や学習のあり方を根本から変える可能性を秘めています。今回は、この二つの概念を知識管理に応用する方法について考えてみましょう。

規格化とモジュール化:物理世界からの学び

「コンテナ物語」という本をご存知でしょうか。この本は、規格化されたコンテナが世界の貿易と経済をいかに変革したかを描いています。規格化されたコンテナの登場により、多様な貨物を統一された単位で扱うことが可能になり、物流の効率が飛躍的に向上しました。

同様に、ネジの規格統一やインターネットプロトコルの標準化など、規格化は様々な分野で革命を起こしてきました。これらの成功例から、私たちは知識管理においても大きなヒントを得ることができます。

知識の規格化×モジュール化

では、規格化とモジュール化を知識管理に応用するとどうなるでしょうか。ここで提案するのは、「知識の規格化」と「概念のモジュール化」を組み合わせるアプローチです。

1. 知識の構造化フレームワーク:
 すべての概念を「定義」「主要特徴」「適用例」「限界」という共通の要素で整理します。

2. 概念タグシステム:
 各概念に「抽象度レベル」「適用分野」「関連概念」などの共通タグを付与します。

3. 知識モジュールの粒度標準化:
 1つの概念モジュールは5分で説明できる程度の情報量に限定するなど、一定の基準を設けます。

4. インターフェースの標準化:
 すべての概念モジュールに「前提知識」「関連概念」「応用分野」といった共通の接続ポイントを設定します。

具体例:「スキーマ」概念のモジュール化

例として、心理学の「スキーマ」という概念をモジュール化してみましょう。
この「スキーマ」とは最近読んだ本『「何回言っても伝わらない」はなぜ起こるのか』の著者である認知心理学者の今井むつみ氏がそのほとんどの著作の中で主張されている、主要概念です。

定義:
スキーマとは、人間の脳内にある「物事の仕組みに関する知識の枠組み」のことです。
これは経験を通じて形成され、新しい情報の解釈や行動の選択に影響を与えます。

主要特徴:
- 過去の経験から形成される
- 無意識的に働き、情報処理の効率を高める
- 新しい情報の解釈や予測に影響を与える
- 状況に応じて活性化される
- 新しい経験によって更新・修正される可能性がある

適用例:
- コミュニケーション:相手の発言の解釈や自分の表現方法の選択
- 問題解決:状況の認識と適切な対応の選択
- 学習:新しい情報の理解と既存知識との統合
- 職場での行動:組織文化や業務プロセスの理解と適応

用例:
- レストランスキーマ:
レストランに入ると、テーブルに座り、メニューを見て注文し、食事をし、支払いをして帰るという一連の行動が自動的に想起されます。
- 教室スキーマ:
教室に入ると、席に着き、先生の話を聞き、ノートを取るという行動パターンが自然に活性化されます。
- 買い物スキーマ:
スーパーマーケットで、商品を選び、カートに入れ、レジに並び、支払いをするという流れが無意識的に頭に浮かびます。
- 仕事の会議スキーマ:
会議室に入ると、資料を準備し、他の参加者と挨拶を交わし、議題に沿って議論するという一連の行動が想定されます。

限界:
- 固定的なスキーマは新しい情報の受容を妨げる可能性がある
- 個人や集団間でスキーマが異なり、誤解やコンフリクトを生む可能性がある
- 過度の一般化や偏見につながる可能性がある

タグ:
#認知心理学 #情報処理 #学習理論 #コミュニケーション #組織行動

このように、特定の書籍の内容に基づいて概念をモジュール化することで、その本の主要な主張や視点を明確に把握し、他の知識との関連付けや実践的な応用を容易にすることができます。

AIの活用:効率的なモジュール化

しかし、このようなモジュール化のプロセスには相当の時間と労力がかかります。一冊の本から複数の概念をモジュール化し、それらを相互に関連付けていくとなると、かなりの手間(コスト)がかかることは否めません。
ここで、人工知能(AI)の活用が大きな可能性を秘めています。AIに適切な指示(プロンプト)を与えることで、テキストから主要な概念を抽出し、それらを構造化されたモジュールとして整理することが可能になります。AIは大量の情報を高速で処理し、パターンを認識する能力に優れているため、人間が行うよりも効率的かつ一貫性のあるモジュール化を行わせることができます。
以下は、AIに概念のモジュール化を行わせるためのプロンプトの例です:

以下の構造に従って、[概念名]をモジュール化してください:

1. 定義:[概念名]の簡潔で明確な定義を提供してください。

2. 主要特徴:
- [概念名]の主要な特徴を箇条書きで5つ程度挙げてください。

3. 適用例:
- [概念名]が実際に適用される具体的な例を4つ程度挙げてください。

4. 用例:
- [概念名]の具体的な用例を4つ程度挙げ、それぞれ簡潔に説明してください。

5. 限界:
- [概念名]の限界や注意点を3つ程度挙げてください。

6. タグ:
#[関連分野1] #[関連分野2] #[関連分野3] #[関連分野4] #[関連分野5]

7. 関連概念:
- [概念名]と密接に関連する他の概念を3つ挙げ、簡単に関係性を説明してください。

8. クロスドメイン適用性:
- [概念名]が他の分野でどのように応用できるか、3つの例を挙げて簡単に説明してください。

このフレームワークに従って、[概念名]を包括的かつ構造化された形でモジュール化してください。。

このようなプロンプトを使用することで、AIは与えられた概念を一貫した形式でモジュール化することができます。人間はこのAIの出力を基に、必要に応じて微調整や追加を行うことで、効率的に高品質な知識モジュールを作成することが可能になります。
これにより、大量の情報を効率的にモジュール化し、個人や組織の知識ベースを迅速に構築・拡張することができるでしょう。AIと人間の協働によって、「知識の規格化」というビジョンをより現実的なものにすることができるのです。

まとめ:知識革命の可能性

規格化とモジュール化を組み合わせた知識管理アプローチは、私たちの学習と情報処理の方法を根本から変える可能性があります。このアプローチにより:

1. 複雑な情報を効率的に理解し、構造化できる
2. 異なる分野の知識を容易に比較・統合できる
3. 必要な情報を迅速に検索・活用できる
4. 知識の転移と創造的な組み合わせが促進される

物理的な規格化が産業革命をもたらしたように、知識の規格化とモジュール化は、私たちの認知能力と創造性を飛躍的に向上させる可能性を秘めています。この新しいアプローチを積極的に取り入れ、自身の知識管理を革新してみてはいかがでしょうか。

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