「好きなことを仕事にする」ことの深さ。ゆえの難しさ。


このようなツイートをしました。

いま編集者として、文章を読んでそれを添削することでお金をもらって暮らしています。
文章を読むのはすごい好きなので、それをやってお金がもらえるのはとてもいい生活なのですが、自分が本当に好きなのは書くほうだなと思うのですね。

こちらは私の休日の様子です。喫茶店で日記を書いています。

これが私の1番楽しい休日の過ごし方なのです。
自分の心の内を見つめて、浮かんでくることをつれづれと書くのが。

もちろん本を読むのも好きなので日記と一緒に本も持ち込んでいますが、より充実を感じるのは書いている時間、なにか良い文章が書けたときです。

そう思うと私がより好きなのは、文章を読むより文章を書くことですね。


本当に好きなことは仕事にならない

編集者をする前はライターをしていました。

もともとブログを書いていて、それが楽しかったし周りからの評判もよかったので「いっちょ仕事にしてみるか」と思い、始めました。

「書くことは好きだから、仕事にするのはいいだろう」と。


しかしこれが続きませんでした。1年半ぐらいでライターとして活動することは辞めました。

続かなかった理由は「書くことが好き過ぎたから」だと思っています。

ガチで好きなものだと、それに対する自分のこだわりが強くなります。
その結果、仕事をする人間としてクライアントの要求に応えるのが難しくなる。なぜなら柔軟さがないので。

自分が好き勝手に文章を書くのとは違って、仕事で人のために書くのなら妥協しないといけないことが多いです。特に駆け出しで仕事がないころは。


依頼された仕事に対して「つまらない文章を書く仕事だな」と思っても、まずはその仕事をちゃんとできるようにならないと、その次の大きな仕事が取れない。

だけど書くのが好きで自分の文章にこだわりがあるから、つまらない文章を書いている自分が許せない。

そうなると書いている自分にストレスが生まれるから、書くことそのものが嫌になる。嫌になった結果、執筆が進まないので締め切りが守れない。営業をして新しい仕事を取ってくる気にもならない。


そうやって私のライター時代は終わっていきました。


文章を書くより読むほうが仕事にできる

その後に、意図せず編集者時代が来るわけです。

編集者として案件をこなして思ったのは、

「文章書くより読むほうが仕事としてできるな」


文章を読むのも大変なんですけど、仕事と思えば耐えられる程度の大変さでした。「これでお金もらえるなら、まあがんばるか」と思えるつらさ。

これだとちゃんと期限内に案件を終わらせられるし、1度に多くの案件を並行しても大丈夫だし、それを数ヶ月、数年と続けていくこともできる。

そうなると「仕事」として成立するのですね。


仕事、クライアントワークになると、自分の好きなことではなくクライアントが求めることをしなければなりません。

・自分が書きたい文章を書くのではなく、クライアントが書いて欲しい文章を書く。
・自分が読みたい文章を読むのではなく、クライアントが読んで欲しい文章を読む。

文章のことを仕事にするのなら、基本的にどちらかになります。

私は書くのが好きだったので書くことを仕事にすることを選びましたが、書くことが好き過ぎて自分の書きたいものよりクライアントの欲しいものを優先することができず、仕事にすることはできませんでした。

しかし読むことでは、自分が読みたい文章よりも、クライアントが読んで欲しい文章を読むことを優先することができました。それによって、いま編集者の仕事ができています。


「好き」のバランスがちょーむずい

好きなことを仕事にできると楽しいですが、好きすぎると仕事にできない。

ほんと、このバランスがね、難しいよね。

好きではある必要があるけれど、好きすぎると仕事にしづらいので「けっこう、かなり好き」みたいな状態が理想だと思います。好きすぎてもいけない。


好きさが弱すぎたら、それはそれで興味が薄くなり、自らその分野に触れていく瞬間が減るのでスキルがレベルアップする機会が減っていく。

レベルアップの機会が減っていくと自分のスキルが微妙になり、仕事を取れるレベルのスキルに到達しない。クライアントから「すごいですね!ぜひ仕事をお願いしたいです!」と言われるレベルにならない。

ということです。


85点ですかね、理想の「好き度合い」は。100点は絶対にダメ。高すぎて仕事にならないです。90点もまだ高いと思いますね。70点はちょっと低い。80点だと、80点ぐらい好きな人が他にもいそうなのでライバルに勝てない。などなど考えて85点。

我ながら細かい、、笑

ですが、これくらい繊細なものだと自分の体験から思います。「好きなことを仕事にする。それで食っていく」ということは。


今後もこういう話を書いていきます

私が大学生2年生のころ。就活する先輩を見ながら仕事について考えていて、

「社会人になったら週5日で朝から晩まで会社で仕事をするのだな。それを定年まで。となると、人生のほとんどが仕事と言っても過言ではない。その現実のなかでつまらない仕事を選んでしまうと、人生のほとんどの時間がつまらなくなってしまう……それはまずい!好きなことを仕事にしないと!」

と思ってあれから10年以上。いろいろとやってみた結果、現在があります。


現在は好きなことを仕事にして暮らしていけているので、とてもハッピーです。

このハッピーな暮らしは他の人にも広めていきたい気持ちがあるので、今後もこういう具体的な、好きなことを仕事にしたいときにぶつかる壁、そしてそれを乗り越える方法など書いていこうと思います。

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