小説の「構成力」を鍛える方法

長編小説ではなく短編小説を書いている人も多いですが、多くの短編は「物語」になっていません。

短編小説も1つの物語です。なので作品のなかに起承転結、始まりとオチが必要なのですが、それがきちんと書けている短編は少ないです。 1つの短編を読んだ時に「物語を読んだ」という満足感よりも物足りなさを感じる作品が多いです。



そもそも長編より短編の方が書くのが難しいと私は考えています。

長編も短編も文字数以外はやることは同じで、物語を作らなければなりません。物語には起承転結が必要です。その起承転結を表現するのに使える文字数が、例えば長編は20万文字で短編は1万文字であれば、物語を作るという同じことをやるのに長編は20万文字使えるところを短編は1万文字しか使えません。



こうなると良い短編を書くには、書き手の「構成力」が重要になってきます。

構成力とは、物語を組み立てる力のことです。物語として成り立たせるために必要な最低限の要素はなにか。どのシーンは省いてよくて、どのシーンを書くべきか。それを見抜く力です。

構成力がないと短編の少ない文字数では物語の起承転結を作りきれず、ただ長編の一部を切り取ったような短編になってしまいます。


短編は「本当は長編小説として書けるポテンシャルがある題材をおもしろいところを凝縮して短くした」 というものだと思っています。物語としてとても贅沢なものだと。

ですので「長編より短編を書く方がラク」「初心者はまず短編から書いてみよう」とは思いません。ちゃんとおもしろいものを書くには短編の方が難しいですし、書きたい題材があるならちゃんと長編で書いた方がコンテストにも応募しやすくていいと思います。


物語の要所を掴む構成力を身に付けたいと思うなら短編を書くのはおすすめです。文字数の制限の分、長編より構成を考える必要があります。

映画やドラマを見ていると思いますが、長編小説は文字数の制限が他のメディア作品に比べるとゆるいので無駄な箇所が多くなりがちです。編集として原稿を読んでみると、必要性の薄いシーンやエピソードがよくあります。

優れた映画やドラマは本当に無駄なシーンがひとつもないですね!
彼らは「上映時間2時間」や「1話40分」といった厳しい時間の制限があるので脚本の作り込みがすごいです。

ということで物語の構成を学びたいときは、小説よりも映画やドラマを観るほうが勉強になります。

特に短編を書きたいときはおすすめです。短編は無駄なことを書いている余裕はないので映画やドラマを「このシーンは物語においてどういう意味を持つか?」を考えながら観ると、1つ1つのシーンが考え込まれて採用されていることが分かると思います。物語においてのワンシーンの重要性を知ることは、構成力を高める第一歩です。

お気に入りの映画やドラマを、ぜひそんな視点で観てみてください。

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