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パワハラ対策を怠ると会社が倒産?パワハラがもたらす弊害と対策とは?

先日、とある会社が民事再生法の適用を申請したというニュースがありました。負債総額も数十億円とかなり規模が大きい会社と言えます。民事再生法の適用を受けることになった要因は一つではなく、様々なものがあったと思います。変化の激しい時代ですので、少し前まで成功していた方法が急に全く通用しなくなったのかもしれないですし、コロナ禍での打撃があったのかもしれません。
しかし、報道の中に同社のパワハラに関して言及している記事がありました。『数年前に経営陣による内定者に対してのパワハラが発覚。それも遠因となっている』という内容でした。
パワハラの内容について少し調べてみると、どう考えても一発アウトな内容で、当時の経営陣がそんなことをやっていたとは驚きを隠せません。

弊社でもパワハラ対策で、パワハラを訴えている部署に対して面談を実施することがありますが、100人中100人が「これはパワハラだ!」というような案件は少なく、グレーなケースが最も多いのです。上記のような真っ黒な案件は多くはありませんので、その分社会的なインパクトも大きくなり報道されやすくなってしまいます。また拡散スピードも速くなるでしょう。

このように対策を怠ることで倒産の危機にまで発展してしまう『パワハラ問題』は、企業にとって多くの弊害を秘めています。今回は、パワハラ対策を怠ることで職場にどのような弊害が起こるのか?その対策と共にお話したいと思います。


パワハラ対策の実態

従業員100名以上の企業の中で、パワハラ対策をしている企業は96%を超えています。つまりパワハラ対策をしていない企業の方が少ないのですが、実際にどんな対策を行っているかというと、

  1. 相談窓口の設置

  2. 経営陣がパワハラに対してどのような考えを持って、どのような対応をするのかについて宣言をし、明文化、周知する

というものです。この2つが「パワハラ対策を行っている」と答えた企業の具体的な施策なのですが、この施策には次のような問題が存在しています。

  • 相談窓口担当者が専門的知識を持っていないため、パワハラかどうかを判断することができない

  • そもそも社内相談窓口の場合は相談をすることが自分への不利益になる可能性を排除できず、相談自体ができない

  • 経営陣自身がパワハラについての知識が少なく、パワハラ撲滅宣言をしても社内には浸透しない

パワハラが減らない理由は他にもありますが、まずは専門家による外部の相談窓口の設置と、相談がしやすくするために従業員と相談窓口とのリレーションの強化を行う必要があります。加えて、経営陣に対しても法的観点のみならず、生産性のダウンや求人獲得力への影響、取引先への悪評判についてなど幅広い視点からの研修を定期的に行う必要があります。

パワハラ対策を怠った場合の悪影響

パワハラ対策に向き合わないままの企業は、残念ながら事業の継続は困難になってきます。
いまだに「昔はパワハラが当たり前だった、それを我慢したから育ってきたんだ」という発言をする方がいますが、それは生存者バイアスにすぎません。育った人よりも多くの人が精神を病んで退職していっているのです。
それではパワハラ対策を怠った場合の悪影響について列挙してみます。

  • メンタルヘルス不調者を生み出してしまい、休職・退職者が出てしまう。その場合の経済コストも膨大になってくる。

  • 労災など、法的リスクがある。事業主のみならず、パワハラの行為者も法的責任を問われ損害賠償などを負うこともある。

  • シンプルに職場の雰囲気が悪くなり、働く意欲が下がってしまう/当然生産性は下がる。

  • パワハラに対して筋の通った対応ができない場合は、従業員が会社に対して不信感を抱く。

  • 報道やSNSなどで情報が拡散した場合、会社のイメージが下がり、求人獲得力が大幅に悪化する/優秀な人材は来なくなる。

  • 『パワハラは事業運営上、必要悪なんだ』という認識が社内に充満し、パワハラ的指導が横行する。社員を教育し伸ばしていくための本質的な育成アプローチから目を逸らしているため、人が育たない/事業が成長しない。

  • 取引先から取引を見直される/公的機関から業務を受託している場合は入札などに影響が出てくる。

  • 顧客がtoCの場合は、利用者が減るスピードが速く、急速に経営危機に繋がる。

などが挙げられます。つまり、パワハラ対策は企業経営上『真っ先に取り組むべき経営課題』と言えます。冒頭で触れた会社は、経営陣がパワハラを行っていたという報道があった後に、上記のような状況に複数当てはまっていた可能性があり、社内外からのイメージ悪化は大きいものだったと考えられます。

パワハラ対策の優先順位

大企業では、「ほぼ100%」と高い確率でパワハラ対策に取り組んでいます。一方、100名未満では「82.5%」とまだまだ不十分と言えます。
その施策内容は前述の通り、『相談窓口の設置と、経営層による方針の表明・周知』です。

その次の取り組みとしては『行為者に対しての厳正な対応を就業規則に定めて周知することと、相談したことによって不利益な取り扱いをしないことの就業規則への明記、周知』です。(取り組み率は約70%)

これから取り組んでいこうと考えている企業は、STEP.1としてまず次のことをやってみてください。

  1. パワハラに対しての姿勢を明確にすること

  2. トップメッセージとして社内外に発信すること

  3. 専門家が対応する相談窓口を設置すること

  4. パワハラ対策の規程を就業規則に落とし込み、周知徹底すること

  5. パワハラに対しての正しい知識を、コミュニケーション論だけではなく、法的観点含めて繰り返し研修を行うこと

STEP.2『そもそもパワハラが起こってしまう業務の管理の仕方』『業務プロセスの標準化について記載』などが挙げられますが、それらはまた別の記事でご紹介したいと思います。

弊社では、上記の手順をグループ事業の社会保険労務士事務所含めて包括的に対応しています。
(※就業規則の作成は開業社会保険労務士による独占業務であり、コンサル会社が行うと違法になってしまうため)

社会保険労務士事務所アルモニーでは、就業規則作成を含めワンストップで労務に関するサポートを行っていますので、安心してご相談ください。

また既にパワハラ対策を行っているが、『パワハラがなくならない』『ハラスメントによるメンタル不調者が多い』『職場風土を改善したい』など悩まれている場合は、経験豊富な専門家が上手くいかない要因を洗い出し、働きやすい環境づくりのサポートを行います。

※北海道から沖縄まで全国対応しています。まずはZOOMで打ち合わせしてからの流れになりますが、ご希望の条件などがあればお気軽にご相談ください。


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代表取締役 一木 信輔
社会保険労務士/精神保健福祉士/人事コンサルタント/Notion公式アンバサダー
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