〜によって (個別・受け身・原因) 意味・使い方【例文付き】 <国によって制服が違う? 日本の制服は可愛いらしい>
先日、いろんな国の制服の話になりました。学校の制服なんてどこの国も一緒では?と思っていたのですが、どうやら違うようです。
ミャンマーは国旗にもある緑色を制服に使うそうです。ベトナムはアオザイという民族衣装が制服になっていました。中国から来た学生は、「体育のジャージみたいだから嫌〜日本のはすごくかわいいよね」と言っていました。
国によって制服もこんなに違うんだ〜と1つ勉強になりました。
さて今日はいくつかある「〜によって」の意味・使い方についてまとめたいと思います。
Nによって① 個別化
【形】N+によって/による。(文末)
【意味】それぞれのNごとに。一つの集団(N)の中にある「個」ごとの違いについて注目する。
【例文】
・人によって価値観が違う
・学校(家)によってルールが違う
・年齢によって読む本が変わる
・国によってあいさつの仕方は様々だ
・お金と時間どちらが大切かは人による
【ポイント】
「Nによって」は個々の特徴に注目する文型であるため、Nには「国」や「人」など普通名詞は入りますが、人名や地名などの固有名詞は入りません。
△アメリカによって法律が違う。
→アメリカは、州によって法律が違う。
【教えるとき】
「NによってNが違う」を一つのフレーズとして覚えると、意味が定着しやすいと思います。
<国ごと×文化・習慣>
T:日本のあいさつは何がありますか?
S:こんにちは/おはようございます/おつかれさまです
(↑アルバイトをしている留学生から「おつかれさま」は結構出てきます。)
T:そうですね、〜さんやってみて。「こんにちは」「おつかれさま」(お辞儀)
皆さんの国でも「お疲れ様」(お辞儀)ありますか?
S:しません。(国名)では、〜〜〜〜
(色々な国の学生に聞く)
T:違いますね、日本、中国、ベトナム、ミャンマー、あいさつ全然違いますね。国によってあいさつは全然違います。
(固有名詞→上位の一般名詞に置き換えることを強調する)
Nによって② 原因
【形】N+によって/によるN
【意味】Nが原因であることを示す
【例文】
・津波によるこの町の被害は大きい。
・戦争によって家族を失った人は多い。
・SNSの登場によって人々は日々膨大な情報にさらされるようになった。
【ポイント】
Nには後文が起こる原因となる名詞が入ります。そのため、例文には災害や戦争などの因果関係がわかりやすい題材を使うといいと思います。
・どうしてこの町の被害は起こった?→津波が原因
・どうして人々は家族を失った?→戦争が原因
・どうして情報は膨大になった?→SNSの登場が原因
【教えるとき】
どちらが入るかを聞いてみると、意外と間違える学生が多い問題です。
なぜでしょうか?
おそらく、形を導入する際に「NによるN」「NによってV」、(「による」=連体詞、「によって」=副詞)として説明するかと思います。
そうすると、
・津波( による ・ によって )この町の被害は大きい。
・戦争( による ・ によって )家族を失った人は多い。
学生:両方とも後ろにくるのは名詞だけど、、、、?(^^;;
となります。
なので、私は直後に来る品詞で見分けようとするのではなく一文の中でどこが「原因」と「結果」の関係になっているかを見るように言っています。
原因 結果
・津波( による ・ によって )この町の被害は大きい。
・戦争( による ・ によって )家族を失った人は多い。
☞よくわからず、「戦争の結果は?」に対して「家族!」と言う学生もいます。そのときは→を使って板書して「本当に?」と聞くと気づいてくれたりします。
津波→被害(家がこわれます・人が流されます)
戦争→家族 ??
Nによって③ 受け身の行為者
【形】N+によって〜れる/られる(受身)
【意味】N(行為者)がした行為について受身の形を使って表現するとき
【例文】
・カップラーメンは日本人によって発明された。
・万里の長城は始皇帝によって建てられた。
・『運命』はベートーベンによって作曲された。
・『ドラえもん』は藤子・F・不二雄によって作られた。
【ポイント】
Nによって③は② 原因ともつながっていて、②では現象に関する名詞をNとしたのに対して、③では原因=行為をおこなった人をNとしています。
ちなみに、②のようにNが人でない場合も受け身文を作ることができます。
・津波によって家が流されてしまった。
・戦争によって私は家族を奪われた。
【教えるとき】
受け身では最初、「Nによって」ではなく「Nに」を導入で扱うと思います。
学習者からすると「〜に」と「〜によって」は同じかどうかが気になるところですね。2つの例文を使って分析してみましょう。
なんだかAは両方とも大丈夫そうな気がしますが、Bは「に」に不自然さがあります。
この点について文法書では以下のように記されています。
「Nに」だけで行為者を表そうとすると、次のように2通りの意味を持つ文(悪文)ができてしまいます。
・この手紙は花子に書かれた。
→この手紙は花子に(宛てて)書かれた。
→この手紙は花子に(よって)書かれた。
それを避けるために「によって」が生まれたということですね。
学習者にいきなり説明してもややこしいと思うので受け身の導入ではあえて話さなくてもいいと思います。
ただ、学習者に見せる例文でうっかり「Nに」「Nによって」が混在してしまったり、「によって」を使うべき文を無理やり「Nに」で紹介しないように準備段階で気をつけたいところだなぁと思います🌱
まとめ
今日は「Nによって」の3つの意味用法についてまとめました。
同じ形でも意味が全く違っていたり、つながって派生していたりするところもことばのおもしろいところだな〜と思っています。
最後までお読みくださりありがとうございました🌱
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