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夏に悪化する冷え性


「夏になるのが毎年怖い」
そう仰るのは当店のお客様である56歳の女性の方です。
男性ばかりの職場の中のデスクワークで、元々クーラーが苦手にもかかわらず、一日中体を冷やした状態で、帰宅した後もその体の冷えが取れずに、ひどい時はそれが翌朝まで引きずるそうです。
「冷え性」や「冷えによる諸症状」のご相談は一年中ありますが、実は暑くなる夏場に酷くなるケースがあります。
お客様の例のように、環境によって自分の力ではどうにもならないケースもあれば、知らず知らずクーラーや冷たい飲み物で体を冷やしてしまう場合があります。これだけ猛暑日が続くと、普段は冷えに気を付けている方でも、一日中体を冷やしすぎて、夜になってからお腹やお尻、足腰がすごく冷えているのが分かるという方も少なくないはずです。

体を冷やすと、

・生理痛
・腰痛の悪化
・便秘
・食欲低下
・むくみ
・足の重だるさ
・手足の冷え
・頭痛
・疲労感


などの症状が起こりやすくなります。
冷えは血行不良を招き、内臓の働きを低下させてしまいます。それにより頭の先から足の先まで様々な症状を引き起こします。
暑い時こそ、
・毎日湯船に入る
・下半身を薄着にしない
・冷たい食べ物の後は、白湯や温かいお茶を飲む

といった温活を心がけましょう。
8月も終わりに差し掛かり、二十四節気では「処暑(しょしょ/夏も終わりが近づき、暑さがおさまるという時期)」を迎えましたが、まだまだ猛暑日が続きそうな気配です。暑さ対策による「冷やす」行為で引き起こす症状には、まだまだ油断できませんね。

ちなみに夏の冷えは意外と男性にも多いですよ。
「舌診(舌の色や、形、苔の状態で体質を判断)」をしてみると、相談者の奥様よりご主人のほうが舌が白い(淡白舌といって舌全体が白っぽい色をした状態)!ということがよくあります。舌が白いのは冷えのサイン。苔の白さではなく、舌の土台の色を診ます。お話を聞いてみると、ほとんどの人が日中は冷たい飲み物を飲み、夜は冷えたビールをゴクゴク。これは内寒(ないかん)といって、冷たいもので内臓が冷えた状態です。手足が冷たいなどの症状が無く、無自覚に冷えている場合もあります。最近では男性の低体温も少なくなく、コロナ以前からご相談を受ける際に、平熱を測ってきてもらうと35度台の男性の方も見受けられます。

また、その逆で男性の暑がりが原因で奥様に被害が出るケースもあります。
男性は女性より筋肉量が多く、基礎代謝が高いために熱を生む量が多く、暑がりの傾向があります。生理がなく虚血状態になりにくいのも冷えにくい要因です。男性の方が夏場のエアコンの設定温度にも差が生じて、奥様の方が就寝時のエアコン温度を旦那さんの体感に合わせることで、夏なのに靴下に長袖のパジャマという姿で床に入るという話も聞きます。我が家では、夏場は私が就寝時29℃、夫は25~26℃の温度に設定するので、リビングと寝室に別れて寝ます。その方がお互いの体調維持に良いので、あえてそうしてます。
エアコンの温度感の違いによって、実際に子宝のご相談のお客様の中には、8月になってからそれまで安定していた基礎体温が急にガタガタになる方もいらっしゃいます。漢方薬や生活養生には変化を加えていないのに、よくよく聞いてみると、旦那さんが毎晩24℃に設定して寒い中我慢して寝ているというようなケースが今年も数例ありました。妊活の方などは冷やすことは禁物です。低温期・高温期の体温は生命の誕生に大きく影響を与えます。旦那様が奥様側に寄り添って配慮してあげるか、思い切って夏だけ別々で寝るというもの悪くはないかもしれませんね。

冷えに敏感な方は、普段の食材でも、下記のように温めやすいもの、冷えやすいものに注意しながら摂取されると良いですね。

【温める食材】

・えび、なまこ、ムール貝、鮭、アジ、イワシ、コショウ、お酢、唐辛子、山椒、シナモン、ターメリック、乾姜(干した生姜 ※粉末状のジンジャー)、三つ葉、ミョウガ、シソ、黒砂糖、にら、小松菜、玉ねぎ、長ネギ、ラッキョウ、ニンニク、かぼちゃ 、杜仲葉、桃、みかん、栗、金柑、羊肉、もち米、くるみ、松の実 など
【冷やしやすい食材】
・しじみ、ハマグリ、あさり、タコ、カニ、たけのこ、桑の葉、水菜、じゅん菜、まこも、チンゲンサイ、ほうれん草、大根、オクラ、ゴーヤ、ズッキーニ、きゅうり、冬瓜、トマト、なす、小麦、大麦、ハトムギ、豆腐、こんにゃく、海苔、昆布、海藻、ミント、スイカ、メロン、バナナ、りんご、なし、キウイフルーツ、マンゴー、オレンジ、文旦、柿 など

漢方薬なら朝鮮人参である紅参(こうじん)・白参(はくじん)、生姜(しょうきょう)・乾姜(かんきょう)、肉桂(にっけい/シナモン)、山椒(さんしょう)、附子(ぶし)、呉茱萸(ごしゅゆ)、鹿茸(ろくじょう)、当帰(とうき)の入ったものを専門家に提案してもらうのも良いでしょう。

女性で冷え性があっても、体が痩せ型で、火照りやすいという方は温める食材を摂り過ぎると、逆に火照りが悪化する場合もあるのでご注意を!
※更年期でホットフラッシュのある方も同様にご注意くださいね。

「冷えは万病の元」というように、体のどこにでも症状が現れ、その度合いも人によって様々です。漢方薬や普段の食事、生活習慣は、胃腸の冷え、子宮の冷え、腰の冷えなどの様々な症状を予防してくれます。
東洋医学では「冬の病気は夏作られる」といいます。夏の間の冷えをそのままにしておくと、秋冬にガタッと体調を崩してしまうことがあります。冷やし過ぎに注意し、夏の冷えは夏のうちにしっかり取り除いておきましょうね!

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