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2020年、映画事情ふり返り

2020年も早いものでもう終わり。
今年からnoteを始めて映画のことばかりいろいろと書いてきました。

いろんなことありましたが、やっぱりコロナ禍が軸で起こった現象が多かったなと思います。なので、ふり返りながらそこをまとめてみたいと思います!
(何となく近しい過去記事も貼っていきます)


年始の1月にいい作品が連発!

かなり前の出来事のような気がしますが、『パラサイト 半地下の家族』が公開されて、その後アカデミー賞で作品賞を受賞するという快挙を成し遂げました! これは本当にすごい。

それに『ジョジョ・ラビット』、この作品も大好き!
他には、『フォードVSフェラーリ』、イーストウッドの『リチャード・ジュエル』、岩井俊二の『ラストレター』、新鋭アニメ『音楽』なども1月公開。


コロナ禍で4月5月と映画館に行けない

2月頃にはもう怪しくて、いよいよコロナが本格的に流行り出してきて、密であるということから映画館が次々と休館になってしまいました。

自分でも4月から全然映画館で映画を観ていない。。
2ヶ月間も映画館に行かないなんていつぶりだろうか、、、
というくらい日常が奪われてしまった喪失感が強かった。


動画配信の躍進

この間に起ったのが「動画配信の躍進」。
やっぱり映画ファンにとっては映画館に行けない分の受け皿になってくれったというのもあるけど、今まで加入しようか迷っていた人たちの背中をコロナが強烈に押したのは間違いない。

Netflixは、加入者が500万人を超えたことを9月に発表して、その勢いが凄まじい。(2019年9月の発表時は、300万人)

『愛の不時着』や『梨泰院クラス』などのNetflix限定の韓国ドラマが流行ったのも巣篭もりの影響。
韓国ドラマを観た方はわかると思うのですが、めっちゃ長いんです笑
1話が70〜80分くらいあって、ちょっとした映画くらいある。
それが 1シーズンで16話もあるので、かなりの時間を費やすことになるんですが、それが流行るというのは外出できなくて在宅で過ごす時間が長かったからこそ。
そして、韓国エンタメ界の実力の高さに圧倒されて見事にハマってしまう。

これも象徴的な出来事だなと思います。


劇場(シネコン)からハリウッド作品がなくなった

アメリカの映画会社は判断が早いし大胆。
映画館が閉まってしまっているしお客さんの気持ち的にも外に映画を観にいく雰囲気ではない。映画ファン以外の一般層の集客が欠かせない大作映画にとってはこの状況では満足な興行はできないとの判断で、主だったハリウッド映画が軒並み公開を延期していきます。
一旦延期したのにまた延期、を繰り返して結局はほぼ全部が2021年公開に。。

GW明け以降、映画館がようやく座席を間引きながら再開し出した頃にも、ミニシアター系はそれなりに作品が揃っていたけど、シネコンには邦画以外のハリウッド映画がほぼない状況に。

そんな中で唯一観れたハリウッド大作が『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』でした!
ボクもコロナ明け初映画、そしてめっちゃ面白かった!
本当によく公開してくれた。ありがとう、ソニー・ピクチャーズ。


ジブリ過去作4タイトルが劇場リバイバル公開!

そんなシネコンの作品不足を埋めるために過去作品のリバイバル上映がかなりこの間されていました。
デヴィッド・リンチの『エレファントマン 4K修復版』がこのタイミングで観れたのも嬉しいし、個人的には『AKIRA』IMAX上映がサイコーすぎました。
『AKIRA』の設定って、「2020年に東京オリンピックが開催中止になった世界」が舞台なんです。この予言めいた作品を2020年に東京オリンピック開催がなくなった東京で観れるとは!! ガラガラの映画館でひとりめっちゃ興奮してました。

でもやっぱり一番話題だったのはスタジオジブリの過去4作品のリバイバル上映。
『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』、『千と千尋の神隠し』『ゲド戦記』が公開されました。

テレビでは金曜ロードショーでそれこそ同じ作品を何回も何回も観ているとは思うのですが、実は、ジブリって新作映画の劇場公開が終わるとその後一切映画館で過去作品の上映を行わないんです。これはもう徹底しています。
だから自分が映画館に行くようになる以前の作品は、映画館のスクリーンで観ていないはずです。特にナウシカなんて当時は興行的にも小さかったし、何と言っても36年前の作品!

そんなこんなで「この機会に!」と日本中の人たちが映画館でジブリを見に行き、なんとこの4作品で26億円以上という興行成績を叩き出しました。
ジブリ、本当にすごい。


映画館も座席間引きから全席販売へ

1席ごとに座席を間引きで販売していた映画館も、9月になると徐々に全席販売をするように。

このタイミングの目玉作品として公開されたのが、『TENET テネット』でした。話題性もバツグンだったし、実際に面白い。観た人たちもその謎めいた内容にどハマりしてリピーターも増え、考察記事やら徹底解説やらのネット記事も大量に出てました。

ボクも初日にIMAXで観ましたが、もう楽しみにして待っていた映画ファンで満席でした。日本は本当に元気!

でもこの『TENET テネット』は世界興行では大コケだとか。。
何と言っても欧米は映画館が開いてない。コロナ感染者数の増加も止まるところを知らない状況。
でもそんな中で公開をしてくれて良かった。
ありがとう、クリストファー・ノーラン!


鬼滅の刃がスマッシュヒット!

徐々に全席販売にシフトしていったシネコンも、ついに最大手TOHOシネマズも全席販売に。
それが、『鬼滅の刃』の公開合わせでした。

ずっと作品不足を過去作上映などで凌いできたシネコンチェーンが、ここで挽回するためにこぞって『鬼滅の刃』シフトへ。TOHOシネマズ新宿では全12スクリーン中11スクリーンを割り当てるという、かつてないくらいのスクリーン数をあけての公開となりました。

それにしても、大量のスクリーン数をあけられたからって埋められるものじゃないですが、それを見事に埋めてしまった『鬼滅の刃』の底力も本当にすごい!

公開時の来場特典として用意されたひとつが「鬼滅の刃 煉獄零巻」という特製冊子です。
ただこれがすごいのが、「先着450万部!」というところ。
「え、450万…!?」となりました。
先着450部の間違いじゃないかと思ったほどです笑

450万人という動員数は、とんでもない数字です。
仮にチケット平均単価を@1200円として(子供料金とか考えざっくりと)、450万人の動員で計算すると、興行収入はなんと54億円です!

先着450万人への特典ということは、少なくとも54億円の興行成績は前提としているということになります。
そして54億円という数字がどのくらいすごいかというと、それだけで2020年公開映画のナンバーワンになります。

鬼滅の刃を除くと、
1位『今日から俺は!!劇場版』 約53億円
2位『パラサイト 半地下の家族』 約47億円
3位『コンフィデンスマンJP プリンセス編 約38億円


それに、450万部の特典を無料配布するってどのくらいコストがかかるんでしょうか。
仮に冊子の単価が@100円だったとしたら(全然知らないけど)、4.5億円!
もしかして宣伝費の中で広告費よりも大きいんじゃないだろうか、、

という感じで、『鬼滅の刃』をスマッシュヒットさせるためにどれだけアクセルを踏んでいたのかが分析していくと分かります。

もう映画会社側も劇場側もこれは一体となって生み出したヒット。
コロナ禍が生んだ奇跡の展開。
そしてそれに見事に答えた『鬼滅の刃』も本当にすごい。

そして、先日日本の興行成績の記録をついに更新しました!
すごいぞ、『鬼滅の刃』!

一旦は『千と千尋の神隠し』の過去作上映分の興行収入が上積みされて(リバイバルで8億円も稼いでいたからこれもすごい!)、記録がお預けになりましたが、ついに週末に記録更新となりました。


アメリカの映画事情 (映画制作)

日本は、『鬼滅の刃』が記録更新するなど映画業界ががんばっていますが、映画大国アメリカではどうなのでしょか。

映画館は閉まり、そして大変なのが撮影ができないという状況です。

とんでもない感染者数を叩き出しているアメリカでは撮影が思うようにできず、映画の制作数が減っていると言われています。

来年は、今年延期したハリウッド大作の公開が控えているので、まだ楽しみがありますが、それ以降に作品不足になる懸念が出ています。

来年の主なハリウッド大作
トップガン マーヴェリック
007 ノー・タイム・トゥ・ダイ
ブラック・ウィドウ
キングスマン:ファースト・エージェント
ナイル殺人事件
など

 

アメリカの映画事情 (動画配信へシフト)

劇場がほとんど稼働できないアメリカでは、日本以上に動画配信へのシフトが進んでいます。(アメリカの劇場稼働率38%)
今までは、新作映画は劇場公開が絶対に先で、その後しばらくしてからケーブルテレビ放送やDVD発売、動画配信というのがお約束でした。

最近のメジャー各社の動向です。

◎ユニバーサル
劇場公開から配信までの期間を今までの3ヶ月から17日間にすると発表。

◎ワーナー・ブラザース
参加の動画配信HBOマックスで劇場と同時配信を発表。

◎ディズニー
劇場公開予定からディズニー+での配信限定に変更する作品も登場。

◎ソニー・ピクチャーズ
アニメ配信サービスのクランチロール買収を発表。

特に自社で動画配信サービスを持っていると、劇場を介さなくてもユーザーに映画が届けられてしまい、取り分も全部自分のところに返ってくるので効率もいい。

劇場にとっては脅威でしかない印象ですが、このコロナ禍で映画館が閉まっている状況ではこの動きは止められず加速していってます。

配給と劇場との関係性も逆転しそうで、劇場に頭を下げて新作をかけてもらう営業をしていたのが、今後は変わっていくのかもしれません。


アメリカの映画事情 (劇場との関係)

アメリカでは反トラスト法という独占を禁止する法律の元、映画会社が劇場を持つことができません。
(日本は、東宝、松竹、東映など大手は映画製作から配給、劇場まで全部やっています)

アメリカの劇場は現在危機的状況にある訳ですが、以前から噂されているのが、AmazonやNetflixによる劇場の買収です。

動画配信でよく映画を観る人たちは映画館にもよく行っているということが分かってきており、実はここの相性は良くて動画配信も増え続けるコンテンツの上映場所になり映画祭へのエントリーもしやすくなる(出品条件に最低限の劇場公開が必要)、上手く相乗効果を出せれば劇場側も経営が安定してまた一歩進んだ映画業態になるかもしれない。

日本の場合は大手映画会社が配給から劇場まで全てやっていることが多いのでまた事情は違いますが、アメリカが今後どういう動きになっていくは本当に要チェックです。


来年以降の作品はどうなる?

日本で観られる作品は果たしてどうなるのか?
今年延期したハリウッド大作がある程度あるのでそれは公開されると思いますが、なかなか撮影が進んでいないため作品の供給量は減ると思われます。

また今年はマーケットである映画祭もリモート開催になっていたり、映画買い付けが普段のようにできていたのかも疑問です。(分かりませんが)

劇場がこれだけ不安定な状況で強気に映画買い付けができているとはあまり想像できませんので、ハリウッドメジャー作品だけでなく全体的に作品数が減ってくる可能性もあります。

そこでNetflixがたまにオリジナル作品を劇場公開するような展開や、スタジオジブリのリバイバル公開、他の過去作品のリバイバル上映などがもっと盛んになってくるかもしれません。

という感じで勝手に妄想しておりますが、そんな心配はお構いなしに今まで通りいろんな作品が公開されたらそれに越したことはありません。


最後に

なんか箇条書きに書いてたつもりが、ついつい長くなってしまいました。

でもそれなりにいろいろあった歳だなと思います。
コロナをキッカケに大きく変わろうとしていることが、今年のふり返りで改めて気づくことができました。

2020年の個人的に観た映画のベスト10発表もまた次のnoteでしたいと思います。
なんやかんや傑作ぞろいの年でしたので、年明け早々にでも発表したいと思います。


最後までありがとうございます。



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