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【本の話】中身を隠されると、余計に欲しくなる?

今日、ランチを食べていたら、
隣の席に、20台の二人の女子が座った。
彼女たちはちょっと変わった文庫本を
持っていたので、気になった。
彼女らが持ってる本は、
英字新聞でくるまれているんです。

おしゃれな包装紙?と
思って見ていると、
どうも、そうではないらしい。

耳をダンボにしていると、
12星座が関係しているそう。
一人の女子の袋からは、
村上春樹『東京奇譚集』が出てきた。
もう一人の女子の袋からは
太宰治の『津軽』だった。

彼女らが買ってきた書店では、
自分の星座に合わせた、
中身が分からない文庫本が
並べられているらしい。
星座かあ。ベタだけど、面白い案ですね。

少なくとも、女子2人と
私は食いついたんですよね。
どこでやってるんだろう?
お店が知りたい。う、う、う。

勇気もいったし、
彼女たちをきっと驚かせてしまうけど、
訊かないでいると後悔しそう。
がんばって訊いてみた。
「あの、それ、本の中身を隠して
売ってたんですか? ちなみに
どこの書店でやってるんですか?」

彼女らはちょうど、
注文したスイーツが来たにも
かかわらず、調べてくれました。
そうして、その書店が
「パッセージ」という
最近話題のシェア型書店だと
わかりました。

なるほど~。
あそこが、
ただ、本を並べるだけではなく
楽しみを伴った企画もやろうと
意欲をだしてきたのかあ?
それは嬉しいな。

彼女たちにお礼を言って、
私も早速、パッセージに。
いました、いました。
英字新聞に包まれた文庫本たち。
本の上の部分に
星座の名前が書いてある。
私はいて座。いて座は
あるかな?あるかな?
ありました。
薄くもなく、厚くもない、
文庫本です。

これは、本を包んだ紙に紹介文を
書く「書原」スタイルや、
包んだ本の冒頭の1行目が
読めるようになってた
紀伊国屋書店スタイルと、
それぞれ発想の根源は一緒。
隠すことで欲しくなるように
してるってことですね。

それから、
一切わからないのではなく
星座なり、
冒頭の一行なり、
書店員の紹介コメントなり、
なにがしかの方法で
ベールに包まれた謎本と
そこに惹かれる人間との間に
秘密めいた繋がりを
作ろうとしていることですね。

このスタイルの企画は
もっともっと、
色んな風に幅広く
企画を広げることが
できそうですね。

今日行った書店では、
女性が大好きな星座を
カギにしてたんですよね。

うーむ、
シェア型書店も
店内ですら、
10数人の同志が棚を借りて
アピールしてる訳ですから
うかうかしてられないですね。

神保町
共同型古書店
「パッセージ」は、
すずらん通りに入ってすぐ。

追伸
私が今日買った本は、
松尾スズキ『老人賭博』でした。
これは、自分じゃあ、
まず買わないなあ。
ご縁と思って読ませて頂きましょう。

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