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「勇気をくれた本」フェア。1番勇気をくれるのは??

最寄り駅にある駅前書店、
啓文堂書店に、
金子光晴『どくろ杯』が
店頭で推されていました。

金子光晴は、反時代的、
かつ、反世論的な、
徹底した破滅型の詩人です。
1895年(明治28年)に生まれ
1975年(昭和50年)まで生きた
反骨の創作家。
カタカナで言えば、
デカダンスな詩人、
駅前書店で推されにくい作家なので、
ちょっと状況を理解できずに、
ビックリしてしまいました。

谷川俊太郎のような
きれいな言葉でロマンチックな
詩を書くタイプとは正反対だからです。 
金子光晴が書いてきたことには
1ミリも耳触わりの良い
言葉遣いなどありませんから。

そんな金子光晴の貧乏旅行記を
今なぜ、チェーン型の駅前書店が
当店のイチオシ本として
紹介しているのだろう?
反時代的な放浪詩人が書いた、
破滅型のアジア貧乏旅を??

すると、
ある冊子が目に入りました。
「啓文堂書店の、記憶に残る、
勇気をくれた本」。
どうやら、
啓文堂では、各支店から一冊ずつ、
読者を勇気づける本を挙げて、
フェアを開いていたらしい。

私の最寄り駅の支店では
金子光晴の『どくろ杯』が
推されていたのでした。

それでは、他の支店では、
どんな本を、勇気本として
推しているのだろう?
気になりますね。
それでしおりをもらってきました。

明大前店は
CSルイス『ライオンと魔女』。
あまりに有名な、
ナルニア国物語の第一巻ですね。

吉祥寺店は
『家族だから愛したんじゃなくて、
愛したのが家族だった』
これはnoteでもお馴染みの
岸田奈美さんのデビュー本ですね。
 
桜上水支店は
森見登美彦『四畳半神話大系』。
ユーモラスな森見さんの最高傑作。

八幡山支店は
アラスカを愛したカメラマン
星野道夫の『長い旅の途上』。
星野道夫に外れ本はありません。

久我山支店は
森下奈都『羊と鋼の森』。
本屋大賞にも選ばれた、 
癒し系音楽小説です。

多摩センター支店は
原田ひ香『ランチ酒』。
癒し系グルメ小説の人気作だ。

渋谷支店は『自分の小さな
「箱」から脱出する方法』。
タイトルから察するに
自己啓発本でしょうね。

永福町支店は
北大路公子
『生きていてもいいかしら日記』
必笑エッセイの名手、
北大路さんだから、
楽しい本、間違いなし。

下高井支店は
茨木のり子『自分の感受性くらい
自分で守れ ばかものよ』。
あまりに有名な詩歌も収録した
茨木のり子の詩集。 
いつまでも古びない茨木のり子パワー。

府中支店は 
『人生に、上下も勝ち負けもありません』。 
老子の名言を散りばめながら 
生き方を教えてくれる自己啓発本。

橋本支店は、梅原大吾さん作、
『世界一プロゲーマーの
勝ち続ける意志力』。
ちょっと気になる自己啓発本。

つつじが丘支店は
『マインドセット 
やればできる!の研究』。
これも典型的な自己啓発本ですね。

北野支店は
韓国でベストセラーになった
キム・スヒョン
『私は私のままで生きることにした』。
激しい競争社会で勝ち抜く道から
勇気をだして敢えて道を外れたからこそ、
世界の広さ深さがよく見える、
心優しきエッセイ集。

高幡支店は
『たったひとつの冴えたやりかた』
ティプトリー・ジュニア
これは青年向け小説の顔をした 
自己啓発本か?いや、自己啓発の
香りがするけどちゃんとした小説です。

三鷹支店は
和田秀樹『なぜか人生がうまくいく
明るい人の科学』。
これも典型的な自己啓発本ですね。

荻窪支店は
『もう一度投げたかった』。
元カープのストッパー投手、
津田恒美のノンフィクション評伝。

狛江支店では 
『人生はニャンとかなる』
これも、猫の写真と
勇気をくれる名言を合わせた
牧歌的な自己啓発本ですね。

高尾支店は
『人生はワンチャンス!』
編者は自己啓発書プロデューサーの
水野敬也さん。タイトルからして
上手いなあ。

鶴川支店は
斉須政雄『十皿の料理』。
料理から勇気をもらうにいたる
ノンフィクション名手の作品。

相模原支店は、 
丸井とまと『さよなら、灰色の世界』
これは一見、ラノベ。
自分の気持ちに蓋をしてばかりいる 
少女が勇気を持つにいたる物語です。

稲田堤支店は
河合隼雄のベストセラー
『こころの処方箋』。
あまりに有名過ぎる河合隼雄の
心理学入門エッセイ。

さて、さて、どの本が 
1番勇気がもらえそうでしたか?
自己啓発本が多かったものの、
私は、アラスカのカメラマン、
星野道夫『長い旅の途上』か
金子光晴『どくろ杯』が
インパクトがあっていいですね。

それを勇気本に挙げた支店の
スタッフの勇気に拍手したい!!

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