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【作家】柚月裕子と柚木麻子をよく勘違いする訳は?

ゆづきゆうこ。
ゆずきあさこ。

最近、頭の中でうっかり
勘違いしたり入れ替わってしまう
2人の女性作家だ。

大体、同じ頃に人気になった。
本屋でよく見かける時期も
だから印象がよく似ているんです。

でも、中身はぜんぜん違う。
ゆづきゆうこ、
漢字で書けば、柚月裕子は
男性顔負けの、大胆で緻密な
ハードボイルドな文体によって、
警察小説やミステリーを得意とする。
『暴虎の牙』『虎狼の血』『検事の本懐』。

ゆずきあさこ、
漢字で書けば、柚木麻子は、
女性の心理描写が巧みで、
ジェンダー問題や
シスターフッド小説を得意とする。
『BUTTER』『ナイルパーチの女子会』
『3時のアッコちゃん』など。

なぜ私が混同してしまうか、
今書いてて、分かりました。
頭文字の漢字が、
2人とも、柚(ゆず)だったから、
らしい、どうも(笑)。
いや、それだけではない。

それは、中身は正反対過ぎること。
柚月裕子は、男社会の、
たとえば、警察やヤクザの
はてしない抗争を
美しいハードボイルド文体で書く。

なぜ、こんな令和の時代に
女性問題を書かないんだろう?
ジェンダーとは似ても似つかない
警察やヤクザばかり書くんだろう?
せめて、女性目線で、
男社会を活写しないのだろう?

その点、柚木麻子は、
女子高校生の奇妙な友情やその破綻、
結婚詐欺事件の女性容疑者など
「女性」らしい問題や事件を
女性目線で書いている。

私には、ハードボイルドな柚月裕子に、
どこか違和感を感じてしまう。
と同時に、惹かれてしまうのです。

女性作家の誰もが、
現代らしく女性目線で
女性問題を扱うだろうなんて、
それもまた一つの偏見かもしれない。
あまりに分かりやすく
「安易に女を理解しようとしないで」
そう柚月裕子さんは
言っているように聞こえます。

なんでも、
自分の感覚で世の中を
理解しようとするのは視野狭窄だ!
そう私に教えてくれている気がする。

理解できないことはいっぱいだ。
いや、理解できないことに囲まれて
我々人間は生きているんだろう。
柚月さんはそう教えてくれる。

人はついつい、
自分の持っている知識や感覚で、
世の中をわかったつもりになる。
これが実は大罪であるというのに。

もちろん、今のメインストリートの゙
ど真ん中を歩く
柚木麻子さんの歩き方が
悪いわけではありません。
こんな人が出て来てくれたことは
現代らしくて喜ばしい限り。

「柚」という頭文字で始まる
2人の人気作家にまつわる、
最近の私のモヤモヤを
書いてみました。

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