見出し画像

【仕事論】もうお仕事小説は読めません(汗)

お仕事小説がもう読めない。

40代までは、
私も人並に、仕事に生き甲斐を
見出そうと「勤勉」に生きてました。
勤勉というか、クソまじめに(笑)。

ところが、
40代末に、
3度めのうつ発症で
休職になった時には、
価値観を大きく
変えざるを得なかった。
うつ病は、その時の価値観が
問題があるから発症する訳です。
少なくとも私は
そう信じています。

仕事とは何か?
働くとは何か?

そこに「生き甲斐」を見出そうと、
30歳の頃から考えてきた。
水木しげるさんや
手塚治虫先生の作品を復刻し、
やり甲斐を感じてきました

でも、私は3回、うつで倒れた。
そのどこかに間違いがあった…。
どこかに、何かしらの
間違いがあったのだろう。

そんな時に、
吉本隆明の人生論を読んで、
ぶっとびました。

働くのは、罰なんだよ。
みたいなことを書いている。
あの、1970年代に、
学生たちと革命を目指した
思想家・吉本隆明が、
そんなことを言っているなんて。

正義とか、生き甲斐とか、勤勉さを
訴えるのかと思いきや、
仕事なんてしないで済むなら
私は仕事なんかしないでいたい、
なんて書いてあるじゃないですか。

その頃、テレビドラマで
石原さとみ主演、
野木亜紀子脚本で
『アンナチュラル』というドラマがあり、
その中で、イタリアの諺では
「働くことは罰なんだ」という、
そんな会話をする場面があり、
またまた、耳を疑いました。

とにかく、私は
30代40代はただやたらに働き、
そこに生き甲斐を見出そうと
してきましたから、
仕事は罰だなんて人生論や諺は
びっくりだった訳です。

いや、これをお読みの方々も
人生は三分の一は仕事だから、
仕事にやり甲斐を見出そうとして
おられるに違いない。

それでは、吉本隆明の言葉を
引用させて頂きます。

「なんで仕事ってするんだろう?
結論から言ったら、
人間というのはやっぱり
24時間遊んで暮らせてね、
それで好きなことやって、
好きなとこ行って、というのが
理想なんだと僕は思うんだけど、
僕らの世代の人たちで
ちょっと左翼っ気のある人なんかだと
「労働は大切だ」って言うでしょう。
その極まるところが
どうなるかっていうと、
清く貧しくっていう思想に
なっていくわけです。
清貧の思想、
遊びごころはもたない。」

戦後左翼の親分だった吉本隆明が
左翼っ気のある人を批判するなんて
ちょっと不思議な感じですが、
仕事にも才能があるんでしょうか、
センスがあるんでしょうか、
私はただ、才能もセンスもなく
ブルドーザーのように働いては、
それなりに幸せだったし、
それなりに貴重な出会いも
ありましたが、
やっぱり、働くとは
神が与えた罰なんだなあ、
そう今は思うようになりました。

その変化だって、
自分自身で、自分の心を手術し、
自分の人生論や幸福論を
作り直さねばならず、
相当な苦労をしました。

で、今、やっと、
人生は遊んで暮らせたら
それが最高やっていう、
吉本隆明の話がなんとなく  
分かるようになりました。

ついつい、
仕事ばかり、
人生ささげてしまいがちですが、
やはり、労働は罰だくらい、
余裕を持っていたいですね。

そんな訳で、
お仕事小説はあまり
読めないし、読めなくなりました。
(汗)。

なお、吉本隆明の文章で
引用させて頂いたのは、
『悪人正機』新潮文庫です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?