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【売れるには】1冊の本がヒットするには幾つもの奇跡が必要らしい?

今週のテレビ番組
『激レアさんをつれてきた』は
とても面白かった。
そうして、つくづく考えさせられた。

本がベストセラーになるには、
もしかしたら、
奇跡がいくつも重なることが
必要なのかも知れない、と。

今もまだ売れている、
万葉集のギャル語訳
『愛するよりも、愛されたい』。

この本は何度もの奇跡に
導かれてヒットした逸話があるんです。

著者は、もともとは、
旅や美術が専門のライター、
佐々木良さんでした。

遡ること、3年前。
世の中は、コロナ禍で、
旅や美術の特集が減り、
佐々木さんは生活に窮してました。

その後、コロナ給付金が出ると
著者は、イッパツ逆転を狙って
なんと、独り出版社を作ったんです。
一人でできる小さな出版社。
とはいえ、大きな賭けですね。

それで、さあ、
まずはどんな本をだそう?
佐々木さんは2択で悩みます。
専門の美術本か?
当時、令和という元号に由来して
話題になっていた万葉集か?
そうして、なんと、
万葉集の翻訳本を出すことにました。

初版2000部は完売しました。
ですが、それ以上は行きません。
この時、儲けはトントンでした。

万葉集はそれにしても、
現代語訳にしても、
なぜ、あんなにモタモタと、
まどろっこしいのだろう?
万葉集の翻訳をしながら、
つくづく痛感した佐々木さんは、
もっとコンパクトに、ささっと
読めるものにできないだろうか?
と内心、引っかかってました。

それから1年半。

万葉集を超意訳した詩歌を、
ちょこちょこっと書いては、
ネットに投稿すると、
周囲の評判が良かったんです。

それに気を良くした著者は、
いよいよ、万葉集の超意訳を
一冊の本にすることを決意します。

ところで、万葉集は
奈良時代、奈良で暮らす人たちが
失恋や片思い、不倫の思いなどを
詠んだり、
気持ちを表したものでした。
超意訳なのに、そうした背景は
佐々木さんはしっかり
忠実に再現しようとしました(笑)。

ここまでは、
万葉集の専門家、研究家なら
すっと思いつけるかもしれません。

ですが、佐々木さんは
さらにこう考えます。
万葉集は、今で言うなら、
ギャルやギャル男、
つまり、イケてる男女が
ふだん話していた
恋バナや出会いや別れの話だから、
ギャルの言葉を勉強し、
吸収し、再現しようと考えます。

万葉集=ギャル語、かあ。
これはすごい発想の飛躍です。
段々、ヒットの匂いがしてきました。

さて、いよいよ、
ギャル語の万葉集が完成します。
でも、その頃には、
令和の万葉集ブームも落ちつき、
書店に持っていっても、
なかなか売れませんでした。

さて、ここで奇跡が起こります。
佐々木さんはこの時期、
結婚したのですが、
売れなかったギャル語万葉集を
結婚式の引出物として
200冊を友人知人に配ったのです。

すると、
「あの本、面白かったから、
Amazonにいれたら?」
と友人に言われたので、
まずAmazonに20冊入れてみたら、
すぐに完売したのです。

それから、
ギャル語の万葉集を読んだ
アナウンサーが披露宴にいて、
「この本の逸話が面白いので、
番組で紹介させて欲しい」と言われたり、
また、朝日新聞でも本が紹介され、
評判は全国に広まりました。

あとは、あれよあれよと売れに売れ
今では全国の書店に展開し、
トーハン調べでは、
東野圭吾や村上春樹を抑え、
文芸部門で2023年3月、
第一位になるまでの、
ヒットになっていったのです。
今では売上は、
1億円を突破したんですって。

結婚式の引出物に出したことが
とんでもない奇跡を
引き寄せたことは確かですね。

また、コロナ給付金で、
万葉集本を出していたことも、
思えば、奇跡を引き寄せる
大事な布石だったかもしれない。

一冊の本を出すまでに、
作者の人生はこんな深く大きく
関係していくものなんですね。

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