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【本業界】いま、書店や出版社はどんな問題を抱えているのか?

本屋さんには厳しい時代が続く。
でも、経営コンサルの人からしたら、
よくまだ書店業界が
キズを追いながらも、
今もこうして続いてることに
呆れるというか、驚くともいう。

こんなに制度的な足かせが多い業界は
必ず崩壊するからだ、という。

出版業、書店業で、
そんなに他業界から見て、
驚かれるのは何か?

①価格の維持。小売りレベルで自由に
定価を変えることはできない。
②返本システムの徹底。
売れない本は書店が
取次や出版社に返すことができ、
その保管や廃棄の責任は出版社が行う。

①はどんな問題か?というと、
電子書籍は正確に言うと、
本ではないので、価格が
10%割引もできるし、
半額にだってできる。
でも、紙の本は、
Amazonだろうと楽天だろうと、
1円も安くしてはならない。
そういう決まりなんです。
こうした足かせで、
小売店、つまり書店での
価格競争が大幅に制限されてきた。

これは、文化にかかわる品物だとして、
新聞や雑誌と同様に、
定価が維持される条例で
そう取り決められているから。
だから、セールをがんがんやってる
電子書籍にお客さんも流れる。
当たり前ですよね。

そんな足かせをなくし、
もっと価格競争をしたら、
書店界も白熱していき、
もう少し書店の店頭が熱く
なるんじゃないですかね?

②は売り上げにおいて、
書店や取次はあまり責任を
持たずに済むシステムです。
最終的に損をするのは、
出版社ということになる。

でも、その見返りとして、
出版社は1冊の60%以上が取り分。
作者は10%(印税)、
取次は3~4%?、
書店が20%という取り分なのに、
出版社は60%以上が取り分です。
正直、もらいすぎですね、汗。

でも、数か月前に発売して
書店に並んでいた本で、
売れなかったものは、
流通にのせられて、
倉庫で保管されるか、
工場で断裁(カット)される。
この倉庫代や断裁代は、
ほぼ出版社の負担になる。
とはいえ、まあ、
60%ももらっていますからね。

話を本題に戻しましょう。
もしも、自由に返本できない、
いったん書店が仕入れたら、
売り切るまで書店の責任になると
なれば、どうでしょう?
こうなれば、本屋さんも
それぞれの本を必死になって
売るようになる。
陳列にだって力が入りますよね。
今現在、返本しない出版社も
徐々に増えてきました。
ミシマ社やディスカバー21社がそうで、
ここの本を仕入れた書店は、
返本ができないから
絶対に売るぞ、売り切るぞ!
と、仕入れのセレクトも必死です。

じゃあ、さっさとみんな
そうすれば?と思うのですが、
返本できない制度にしたら、
書店側も目を皿のようにして、
絶対に売れる本しか仕入れないよう、
仕入れも必死になる。
仕入れが慎重になる。
仕入れに時間や手間がかかる。

今みたいに、取次がどんどん
配送してくる本をそのまま店頭に
並べる形で売ってくという姿勢では、
書店もやっていけない。

でも、他業界はそもそも、
仕入れも返品も、
もっとシビアで必死なんですよね。

書店界、出版業が、取次が
奇妙なぬるま湯制度によって
今まで守られてきたんです…。
三位一体のぬるま湯で。

なんでもそうですが、
ぬるま湯に入ってる側は
自分がぬるま湯にいることに
気付きにくいんですよね。

でも、ポプラ社など、
元経営コンサルタント出身の
社長が率いる出版社は
こうしたぬるま湯システムの悪弊に
メスを入れようとしていますね。

旧来の講談社、小学館、集英社、
文芸春秋、新潮社、カドカワ書店らは
今、風を起こそうとしてる
ポプラ社やミシマ社の動向を
じっくりと注視しています。
それは確かです。

追伸:出版社の人間とはいえ、
無知や誤りもあるかもしれません。
その場合は、コメント欄で
ご指摘して頂ければ幸いです。



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