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【川上未映子】ワンダーとシンパシー。驚嘆と共感。わお!とあるある。

川上未映子と穂村弘の
対談で印象的な話があります。

「川上
穂村さんが以前おっしゃった「ワンダーとシンパシー」に、私は今でも影響されているところがあるんです。文章を読むときにも書くときにも、驚嘆と共感の配列。もう2年くらい、私の中で物事を見るときの判断基準になっています」

『六つの星星 川上未映子対話集』
文春文庫p123より。

ワンダーと、シンパシー。
驚嘆と、共感。
うわお!と、あるある。

共感だけでは、雑文でしかない。
文章が深みを増すには、
読者を圧倒するパワーが必要に。

そうだ、
近年は共感がマストになって久しい。
だけど、共感だけでなく、
私たち読者は
本からぶちのめされたいと
どこかで願っています。

圧倒されたいという欲望。
そのためには、
蔓延したメディアやネットの
情報だけではなく、
また通り一遍な解釈だけでない、
作者独特の観察力や文章力が
必要になるんでしょうね。

ワンダーとシンパシー、
両方をいつも兼ね備えることは
しかし、並大抵ではない。

まあ、川上未映子は
確実に毎回、共感だけでなく
圧倒する作品を書き続けてる。
恐ろしい才能。

一方で、
穂村さんは、
エッセイでは、いわばあるあるを
書いてることが多くて、
自意識過剰人間として
大いに勇気をもらいますが、
穂村さんの本来のフィールドである 
短歌の世界では
不思議と、驚嘆が詰まっていますね。

ワンダーとシンパシー。

ちなみに、私の書いてきた記事は
そのほとんどが
シンパシー基準だ(汗)。
それがなんとも情けなく思えてくる。

私だって、読む人を、
また、書く私を、
驚嘆させたい、
驚嘆させられたい
ぶちのめしたい。

そうするには、
今までの価値基準より、
もう少し高い場所からの観察が
必要でしょうね。

常にあるあるを求めて
書いてしまう私の記事は
奥行きがないんだよなあ。
やれやれ。

ただ、人間、そう簡単には
変わらないし、変われない。

ただ、いいフレーズですね。
ワンダーとシンパシー。
心に刻んでおきたいと思います。

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