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「見捨ててない」から生まれた介護食

「介護食」という名前を聞いたことがあるでしょうか?「ソフト食」という名前で呼ばれることもあります。

食べ物を飲み込む力(嚥下機能)が弱くなった方でも、安心して食べて頂けるよう調理・再形成された食事です。今でこそ多くのメーカーが介護食を販売していますが、実はこの介護食は今から30年以上も前に日本で初めて小田原福祉会で開発がされました

この介護食がどのように誕生したのか、今回はそのエピソードをご紹介します!

見捨ててない

介護食が小田原福祉会で誕生した30年以上前、施設に入居されてる高齢者は病院で亡くなるのが当たり前の時代でした。

老化や障害により嚥下機能が低下したことで誤嚥をしてしまい熱発する。そして回復を願い病院へ搬送されするも、そのまま施設に帰ることなく病院で亡くなってしまう。そんなことが繰り返され、当時の職員達は思い悩みました。

「もしかしたら、病院へ搬送されたご利用者は『見捨てられた』と感じていたのではないか」

もちろん、見捨ててなんかいません。でも住み慣れた終の棲家である施設から病院へ搬送されたご利用者はそう感じていたのかもしれません・・・。

そんな後悔の念から「もっと施設でできることはないか」「安全に栄養を取ってもらえる方法はないか」という問題意識が生まれ、介護食誕生の出発点になりました。

ヒントは○○○

安全に食事を食べてもらうためには何が必要なのか?頭を悩ませ試行錯誤が続くなか、そのヒントは突然現れました!

ある日、嚥下機能が低下しているご利用者が椅子に座ったまま、うたた寝をされていました。「気持ちよさそうに寝てるな~」と職員が見ていると口元からヨダレが!次の瞬間、寝ていたご利用者が目覚め、ヨダレを啜って飲み込みました。普段食事のときにはむせ込みが多いご利用者が、ヨダレはむせ込むことなく飲み込むことができたんです。

この瞬間、職員は閃きました!「そうか、ヨダレ(唾液)に近い性質なら咽ずに食べられるんだ!」※実際には唾液で咽る方もいらっしゃいます。

そう、ヒントはヨダレだったんです!

そこから人間の唾液の性質を研究し、それに近い食品を開発するという挑戦が始まりました。

介護食の原型

そして誕生した介護食第1号が「救命プリン」です。(1985年)

このプリンは高栄養なミルクをゼラチンで固めたものですが、「柔らかさ」や「滑らかさ」など安全に美味しく食べて頂くためにたくさんの工夫がされました。

実際にこのプリンを食べてもらうと、熱発していたご利用者が数日後に解熱され体調が安定してきました。そしてなんと寝たきりから座位が取れるまで改善した方も

職員は介護食に確かな手応えを感じると同時に、口から食べることの大切さを実感しました。そして口から食べることを諦めていた方々には介護食が一つの希望になりました。

介護食誕生にはこんなエピソードがあったんです!

最後に

救命プリンから始まった介護食は今では世界にまで広まりました。「あのとき特許さえ取っていれば~!」というのは冗談ですが、小田原福祉会の取り組みが結果としてたくさんの命を支えていることを本当に嬉しく思っています。

さて、今回は介護食誕生のエピソードをご紹介しました!次回も法人の取り組みや職員の活躍をお届けできればと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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