絢里絢李*JunriAyasato

ヒーローとか怪人とか妖怪が好きな図書館司書です。 ひとまず、Twitter(X)で書…

絢里絢李*JunriAyasato

ヒーローとか怪人とか妖怪が好きな図書館司書です。 ひとまず、Twitter(X)で書ききれない長めの文章置き場になっています。

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最近の記事

推し短歌 極悪非道の正義の味方編

誘蛾灯のごとギラギラ君臨す暴君ひとり高笑いの音 今日だけは君を救うと決めたからこれみよがしの正義を騙る 粉々に砕けた僕のプライドものりでつないで治ればいいのに もし俺が魔王で君が勇者なら世界征服なんてすぐだな 望月やすきま風吹く摩天楼嫌われ者の正義の味方 着想のモデルは、世界征服を企む悪の秘密結社の日常を描くFlashアニメより、水色筋肉な自称・正義の味方。 気分次第で動くので、ただのクズ人間な時と、本気で人を助けようとする時の、振れ幅がひどい。 良くも悪くも、根

    • 推し短歌 白執事編

      あの択は当たりだったか百円のカプセルトイの中白昼夢 通りゃんせ立ち入り禁止の柵越えてさびしい僕を見つけてほしい 神隠しに遭ったのだと思います止まったままの腕時計白く 君と行くいつもの道の冒険譚今年は足りぬ日記帳かな 屋上に忍び込んだの熱帯夜ラムネの味は覚えていない 青空にマシンガントーク響いて君のデマカセが支配する夏 虫かごに目いっぱい星つめこんで十一歳の王さま昼寝 地獄の釜の蓋は開けっぱなしで終わらない夏休みをふたり 着想のモデルは、妖怪が見える腕時計を巡る

      • 推し短歌 2007年の日曜朝編

        星空に釣り糸垂らすかのごとく青き流し目伊達眼鏡ひかる 砂粒のように乾いた調べかな「先輩」と呼ぶ声のあざとさ 取調室さえ君のステージか二枚舌のトークライブよ 龍宮にいざなう亀のヒレゆらり言葉の海を突っ切っていく 戻らない電車に乗って去る人の「またね」の嘘を信じている 着想のモデルは、日曜朝に戦う仮面のお兄さん・お姉さんたちのドラマから、2007年の青い亀。 わたしにとっては、特撮ドラマにおける最初の「推し」であり、フィクションにおける理想の男の子像のようなキャラクタ

        • 推し短歌 世界一有名なビーグル犬編

          スヌーピーの鼻先に見る町並み今日からここが我が家になるの あたたかな子犬を抱く昼下がり幸せの香はチョコクッキーか 炎天下のソフトクリームみたいなサマーキャンプの恋儚く うさぎ跳ねる跳ねる跳ねる跳ねる跳ねる跳ねる跳ねる原稿用紙 苛烈なるその怒りさえ愛と呼ぶのかルーシーという名の少女よ 端と端握り引っぱり合う朝よライナスの安心毛布 五線譜の先はどこまで届くのかトイピアノのベートーヴェン 同じ人を好きになっただなんていいセンスしてるじゃん親友 着想のモデルは……すで

        推し短歌 極悪非道の正義の味方編

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        • 図書館司書でたらめノート
          1本
        • 「好き」の迷宮
          2本
        • 短歌の缶詰
          7本

        記事

          推し短歌 2006年の日曜朝編

          夕焼けの街が赤く赤く染まる目が眩んだか女王蜂の死 憧れは憎しみに似てどうしても許せなかった花の移ろい あの春に捨てた誰かの歌声が遺言のようにリフレインして 借り物の翼をひろげ飛べるのか堕ちていくのかイカロスの僕 誰もいない誰もいない誰もいない俺を見たのはあんただけかよ ダンボールにふたり分の体温「相棒」の声にはまだ慣れず 欲しい物など何もないただ一度子犬のように褒めてほしかった カップ麺の器つみあげこの昼が永久に続くかのような虚ろ 優しさや情などいらぬただ君の

          推し短歌 2006年の日曜朝編

          推し短歌 喋る怪人編

          危うげなガイコツマイクのハウリング紫煙に巻かれる心の隙間 さあどうぞ共に奈落へ参りましょうここから先は有料ですが たわむれのジョーク刺さりし傷跡や遅効性の毒がにじんて 通販のセーラー服にねじこんだ遠い季節の乙女の幻 Tシャツの喉のかすかなためらいが物珍しき初夏の午後かな のぞき窓「こちらを見て」と誘う声なにも見えないこの腕の中 はじまりは今夜も君のタイミング博多駅前ブロードキャスト もし明日海辺の空が晴れたなら君の方舟に乗せてくれないか 前回、「『推す側』の心

          推し短歌 喋る怪人編

          推し短歌 『沼底推し問答』

          便箋に滲んだ「好き」の重さよブルーブラックのさじ加減悩まし 甘すぎず、無難すぎず、品よく。 便箋を選んで、インクの色を選んで、言葉を選んでも、あふれだしてしまう巨大感情に頭を抱えたくなる。 ファンレターは難しいものです。 白軸の万年筆が知っている三千回の「ご自愛ください」 実際に「万年」書けるわけじゃないでしょうが、永く使えるといわれる筆記用具・万年筆。 わたしも何本か愛用していて、ファンレターを書くのに使ったりもするのですけど(つまりは、万年筆自体も一種の「推し」なん

          推し短歌 『沼底推し問答』

          ポイポン、その破壊と様式美の歴史―アニメ『秘密結社鷹の爪』

          みなさまは「ポイポン」をご存知でしょうか。 アニメ『秘密結社鷹の爪』の劇中で、毎年、秋頃――ハッキリ言うと、こちらの世界でiPhoneの新作が発売される頃――に、登場するスマートフォンの名称です。 このポイポン、なぜか鷹の爪団と関わるたびに、 「コンドルにさらわれる」 →「落ちたところをトラックにひかれる」 →「さらに、工事現場のおじさんに、ドリルで穴を開けられる」 という、不運なコンボを引き起こしては壊れてしまう、厄介なスマホでありまして、毎回、鷹の爪団が持ち主(大

          ポイポン、その破壊と様式美の歴史―アニメ『秘密結社鷹の爪』

          ままならぬ日々を支える「背骨」―『推し、燃ゆ』宇津見りん

          『推し、燃ゆ』 宇津見りん/著 河出書房新社/刊 印象的なコーラルピンクの表紙カバーをめくると、鮮やかな青色が現れる。 主人公の「推し」の担当カラーである、青。 「あたし」という「肉」を支える「背骨」の色。 小説の中でも、現代作家の「純文学」作品に手を出すことって、普段なかなかないのだけど、この本は、なんとなく気になっていて。 気がついたら、芥川賞候補作になっていたので、発表される前に読まねばなるまいと、先週、慌てて買ってきて読んだ。 書き出しのテンポに引きこまれる。

          ままならぬ日々を支える「背骨」―『推し、燃ゆ』宇津見りん

          『秘密結社鷹の爪 ~ゴールデン・スペル~』の話がしたい

          ついに『秘密結社鷹の爪 ~ゴールデン・スペル~』の放送が終わった。 いやー、ロスがひどいんじゃないかとか、号泣するんじゃないかとか思って、ドキドキしてたんだけども。 むしろ、年の瀬らしい、晴れやかで爽やかな最終回だったなー、と、しみじみした気分で、これをまとめている。 まさに、大団円という言葉がふさわしい。 ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ 『秘密結社鷹の爪 ~ゴールデン・スペル~』とは『秘密結社鷹の爪』は、人に地球に優しい世界征服を目指す悪の秘密結社・鷹の爪団の日常を描く、F

          『秘密結社鷹の爪 ~ゴールデン・スペル~』の話がしたい