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推し短歌 2006年の日曜朝編

夕焼けの街が赤く赤く染まる目が眩んだか女王蜂の死

憧れは憎しみに似てどうしても許せなかった花の移ろい

あの春に捨てた誰かの歌声が遺言のようにリフレインして

借り物の翼をひろげ飛べるのか堕ちていくのかイカロスの僕

誰もいない誰もいない誰もいない俺を見たのはあんただけかよ

ダンボールにふたり分の体温「相棒」の声にはまだ慣れず

欲しい物など何もないただ一度子犬のように褒めてほしかった

カップ麺の器つみあげこの昼が永久に続くかのような虚ろ

優しさや情などいらぬただ君の寝首をいつか掻ける距離感

そういえば食べ損なったいつぞやの麻婆豆腐辛かったのか

真夜中の白き太陽沈まない街をふたりで歩きたかった

「たとえこの世界を敵に回しても」選べなかった俺を許すな

こんな時だけ物わかり良くなるないつもみたいに泣き喚いてよ

「なら君を殺して俺も死ぬ」なんて言ってくれれば楽だったのか

今日君がやけに大人に見えたから背中蹴飛ばし笑ってやるか

君の顔で笑う君の声で呼ぶ君が知らない君じゃない君

船着き場銀の冷たしバングルは魂一個分の重さか


着想のモデルは、日曜朝に戦う仮面のお兄さん・お姉さんたちのドラマから、2006年の蜂で飛蝗な某兄弟。

どちらかというと、劇中では暗さ(と、シュールな笑い)が伴うふたりですが、全国のファンの頭の中では、いつまでも仲の良い兄弟でいてほしいと、思うばかりです。

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