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日本語に聞こえるフランス語 (パロールの勝利 その1)

 単なる駄洒落というなかれ。パロール(実際の発話)が、ラング(意味の法則)から逃げ出す契機は、外国語との出会いや、同音異義語との出会いだったりする。言葉が、従来の記号からスルッと逃げ出し、非主体的かつ偶然的な意味(あるいは無意味)に置き換えられる瞬間は、アナーキーで美しい。

 最近の言葉でいうと、いわゆる「親父ギャグ」なのだが、親父だけのものにしておくのは勿体ない。親父ギャグを「寒い」といっている間は、まだまだ体制側に取り込まれているのだ(デーブ・スペクターを見よ)。というわけで、フランス語と日本語の横滑り集を作ってみようとおもう。協力者(情報源)は、日仏ハーフの小学生の娘だ。

① 当然! もちろん! (英 Of course!)

海老だもん évidemment !

 これは、日仏家庭なら全員知っていると思う・・・。 以前、ある財団のインテリ女性とレストランに行き、「何にしますか?」と聞いたら「当然、あれです・・・・。海老フライですよ、エヴィダモン!」と、機知に富んだ返答がかえってきた。流石だなと敬服。

② はちみつ

見える miel

 これも日仏家庭においては古典中の古典。はちみつがガラス瓶なぞに入っていたら「ミエルが見える」などと言われます。K大学のラカン研究者、N先生おすすめの日仏ギャグ。

③お菓子をありがとう

あんがと。 Un gâteau

これもまた、クラシックです。gâteau は「ガトー」。日本ではお菓子といえば、pâtisserie パティスリ という単語のほうが知られているかもしれないが、gâteau は 必ず焼いてあるものを指す。Un は不定冠詞(英語の”a”)。

③元気? 調子はどう?

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ça va ? (サヴァ?)。フランス語会話で最も重要な表現だ。これに関しては、話すことが多すぎるのでまた機会を改めたい。日仏家庭ならば、日本語で「元気?」と声を掛けられるだけでも、頭の中にmaquereau マクローという単語が浮かぶようになっているはずだ。我が家もそうである。最近では「ça va ?」と聞かず、悪乗りして「maquereau?」なんて聞いている。

④「冷えるね!」(寒い冬の日の会話)

見える miel (1)

今日は「サカーイ(Ça caille)」だな・・・。冬になると夫が良く言うセリフだ。でも、私の頭の中はパンダが出てくる。引っ越しは寒いのだ。

⑤濡れる (英 to get wet)

寒い。Ça mouille.

まぎわらしくて申し訳ない。濡れてしまう状態を「サムイ」と発音する。これも非常にtrickyだ。シャンプーをしてドライヤーしない娘に、「髪が濡れているでしょ!」と怒ろうとして、「髪がサムイでしょ」とよく言い間違える。

まだまだあるが、疲れたので、また今度に続きを書きます。みなさん、さようなら au revoir.


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