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「陶芸家になるには」ーランニング編ー 2 < コストについて >

コストのカテゴライズ


私が経験したような、負のループに陥ってしまう理由は、見えないコストがあるからです。
前回、100万円を土に使う例を挙げましたが、実際にはあのような失敗を犯すことは少ないと思います。それは、コストが金額として見え、資産としてコントロールすることができるからです。
しかし見えないコスト…体調メンタルは、数値化されていないため、客観的に確認することができず、負のループに陥ってしまうと考えられます。

そこで、私は見えるコスト見えないコストに分けることにしました。

<見えるコスト>

  • 材料費:土、釉薬

  • 設備費:電気代、家賃、窯代

  • 売るための費用:運送費、SNS

<見えないコスト>

  • 時間

  • メンタル

  • フィジカル

見えるコスト

材料費:これは想像しやすいかと思います。土や釉薬などです。安い材料もあれば、貴金属などの高価な材料もあります。
環境費:電気代・ガス代・家賃などの固定費や・窯代・作品棚・道具などの設備費があります。
売るための費用:運送料、梱包材費、場合によっては出展料。また、ホームページのドメイン料や、SNSなどの営業費があります。

見えないコスト

時間:主に制作時間…と捉えがちですが、メールの送返信や、展示プラン、諸費用の管理に、SNSの投稿など、半分以上の時間は制作以外に費やすことになります。

フィジカルコスト:これは、体力・体調などです。個人差はありますが、体力は有限です。休みなく動けば疲れますし、体調も崩れます。

メンタルコスト:集中力や精神力です。細かい作業を何時間もしていれば疲れますし、失敗ばかり続いていれば精神的に参ってしまいます。

< コストの改善 >

コストの洗い出しが終わり、見えないコストも認識できるようになりました。

前提でも述べた通り、コストとは「制作をするために費やす、有限なもの」です。

見えるコストであれば、お金。
見えないコストであれば、時間、体力や精神力です。

有限なので、限りがあります。
うまく使わないと、制作もマネタイズも安定しません。

うまく使うとは要するに、最適化を狙う(コスト・パフォーマンスを上げる)ことです。

最適化できれば、ベストな状態を維持することができます。
問題部分を改善すれば、有限なものの上限を上げていくこともできるのです。

< コストの最適化と改善 >

ここでは陶芸を続けるうえで重要なコストを、

  • 材料費

  • 時間

  • フィジカル

  • メンタル

という項目に分けて、最適化する方法を見ていきます。

材料費

今の時代、すべての材料をインターネットで購入する事が可能です。
しかし、陶芸の材料はそもそも需要があまりありません。
オンライン上で陶芸材料店を探すにしても、限られた数の選択肢になるかと思います。

そのような陶芸材料店も、多くの品物を少量から購入できるのが利点です。
ただ、コストパフォーマンスを考えると、産地の工場やショップから購入するのがベストです。
意外と産地のショップをインターネットで見つけるのは難しいので、下記にいくつか挙げます。

磁器土

釉薬

ショップ

ここに挙げたような専門店は、

  1. 大量生産を行っている窯業工場等に、材料を卸していること

  2. 土などの原材料がとれる地域にあること

から、最低限の仲介手数料で、良い品質の材料を手に入れることができます。

また、産地で使われる道具も、個人作家が使う道具と同じことが多いので、使い勝手の良いツールを業務用価格で手に入れることができます。

時間

時間の効率化は、現代人が常に追い求めている分野です。
私がこれまでの経験で、制作をするうえで有効だと思えた、時間との向き合い方をいくつかご紹介します。

1.難しい、大変な事を最初にやる
午前中の作業効率は最も高くなります。午後以降、頭を使う複雑な作業が出来づらくなるのですが、そのぶん創造性は上がります。
夜は脳も体も疲れているので、次の日に備え、リラックスします。

2.習慣化する
毎日行うことがあれば、習慣化してしまいます。
習慣化することにより、脳がその行動をするにあたって使う容量を節約でき、他の作業へと脳のリソースを優先することができます。

3.人を雇う
言わずもがな、人間1人に出来ることは限られています。
後に述べますが、制作や時間の効率化が、最終的に目指すものは、余剰を生み出す事です。
余剰には、時間と資金が考えられます。
制作に使える資金が増えてきた場合は、人を雇うことも視野に入れましょう。新たな展開を考えていたり、新作に費やす時間を欲している場合、自身の時間はとても貴重です。

フィジカルとメンタルコスト

陶芸家としてキャリアを考えるなら、身体が第一です。
ありきたりな言葉ですが、身体が一番の資本であり、制作するうえでの最重要な「道具」です。
そして、身体(フィジカル)のコンディションは、直接的に精神(メンタル)のコンディションにも繋がります。精神の状態は、作品のクオリティーをダイレクトに左右します。

どの仕事でも、これは事実であるはずなのに、どうしても現代社会を生きていると体調管理がおざなりになりがちです。

まさに私もこの部分が盲点でした。

アスリートは、まさに身体を資本としています。徹底的な体調管理をし、フィジカル面への投資を第一とします。

陶芸家として生きる=プロになるということです。
他のコスト要因と同じように、自身のフィジカル・メンタルもコントロールすることで、生産性を上げることができるのです。

<運動、睡眠、食事>

ここで紹介していくものは、いろいろな書物を読み、私が実際に試してみて効果があったものです。
これらをルーティン化することで、今までで一番いいコンディションを維持できるようになりました。

朝のジョギング・散歩

個人的には、これが一番メンタルの改善につながりました。これをする日としない日では雲泥の差があります。

メリットをいくつか挙げます。

  • 起き抜けに動くことで目が覚める

  • 思考がまとまり、良いアイデアが浮かぶ

  • 一日のプランニングができる

  • 朝日を浴びることでセロトニンが分泌され、メンタルが安定すると同時に、体内時計がセットされる。

  • 体力がつく

たった30分ほどの時間コストでこの効果は、本当にコスパ抜群です。

睡眠

寝不足で制作すると、作業効率は大幅に下がります。
制作のプランニングやアイデア出しの時も、まったく頭が働きません。

幸運にも、陶芸家として活動していく場合、起床時間の縛りはありません。
アラームをかけずに目覚めることができます。
また、基本的には好きなことが仕事となっているので、リベンジ夜更かしも起こりにくくなります。

ここでは、私が試して効果のあった睡眠導入への方法を挙げていきます。

入浴

陶芸の制作は全身を使います。同じ姿勢のまま何時間も作業してしまうことも多くあるので、運動と入浴は有効です。
一日の終わりに入浴することにより、翌日のコンディションがかなり変わります。

以下、入浴することのメリットです。

  • 睡眠への導入がスムーズになる

  • 身体の疲れが取れる

  • 定期的に入浴することにより、基礎体温が上がる

  • 免疫力が付く

長めに入り、すこし汗ばむくらいが良いみたいです。

ブルーライトのカット

ブルーライトは液晶画面から放たれることの多い光です。
日光のスペクトルと近いため、それを見続けると目が冴えてしまいます。

私はなるべく就寝前の2時間はブルーライトを見ないようにしています。

方法としては、

  • 部屋の明かりを抑え、暖色にする

  • テレビやパソコンの画面を見ない。

  • スマホやパソコンのおやすみモードを使い、画面を暖色にする

などです。

朝の運動が習慣化していれば、ゲームや映画などで脳を活性化させない限り、上記の方法でスムーズに就寝することができると思います。

読書

現代の生活で、就寝前の2時間、液晶画面を見ないというのはかなり難しいです。
特別な趣味がない限り、就寝前のリラックスタイムは動画やゲームなどで時間をつぶすことが多いのではないでしょうか。

その代案となるのが読書です。
読書をすることによるメリットは

  • 知識が増える(インプットになる)

  • リラックスできる

  • 眠くなる

などでしょうか。

読書の習慣がない方には、なかなかハードルが高そうに思えますよね。
でも、漫画や小説でもまったく問題ありません。
どんな作品でも、貴重なインプットになり得ます。

食事

食事もコンディション維持に重要です。
運動や、睡眠ほど直接的な影響を感じにくいですが、食事内容や方法を変更したことにより、私自身、かなりコンディションが改善しました。

以下、実際に行っている食事方法と内容です。

ファスティング

食べることが好きで、ファスティング(断食)を行ったことの無い方は、これを見た瞬間、無理…となりますよね。
私も食べることが大好きなので、ファスティングがブームになった時は信じられませんでした。

しかし、両親の健康状態が悪化したことを切っ掛けに、健康関係の本を読み漁り、徐々にファスティングのコンセプトと効果に興味がでてくるようになりました。

細かいことは別の機会に説明させて頂きますが、メリットとしては

  • 集中力が上がる

  • 疲れにくくなる

  • 体調を崩さなくなる

  • 食費が減る

  • 食事が信じられないほど美味しく感じる

など、ダイエット的な側面よりも作業の効率化や、食事に対しての充実感の向上がありました。
私が行っているのは一日一食のプチ断食とよばれるものですが、三食食べていたころと比べて、コンディションがかなりアップしました。

以前は、朝食を食べ、一仕事したらすぐに昼食となり、昼食後は頭がうまく働かなかったり、眠くなったりしていました。
ファスティング導入後には、三食食べていた頃の頭は、霞掛かっていたような気がします。

食事内容

結論からいうと、

  • 野菜と魚介類中心

  • 糖質をなるべく取らない

となります。
もしファスティングを導入した場合、自然と食事の機会は減ります。
その少ない食事の機会に必要な栄養素を取り入れるとなると、食事の「質」がとても重要となります。

自分は栄養士ではないので、あいまいな説明は避けますが、糖質を制限するだけで、かなり体調が変わります。
また、自分がどれだけ糖質に依存していたかが分かり、怖くなりました。

食事も長期的な自身のキャリアへの投資と考え、意識するようにしましょう。


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