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【クリスマスシーズンのヨーロッパ】羊もヤギも猫もいるゴゾ島のローカル・クリスマスイベント

ヨーロッパの地方都市では、毎年ローカルなクリスマスイベントが行われる所があります。

それらのイベントは派手さこそありませんが、地方色豊かで味わいがあり、観光PRの一つにもなっています。

今回はマルタの姉妹島ゴゾで開催される、思いっきりローカルでマニアックなクリスマスイベントを紹介したいと思います。



ゴゾ島アインシーレム

そのイベントの名は、「ベツレヘム・イン・アインシーレム」。
ゴゾ島のアインシーレムという町で行われます。

アインシーレムの町に、キリスト生誕当時のベツレヘムを再現しようというイベントです。

アインシーレムはゴゾのどこかというと……

マルタ島からのフェリーがゴゾ・イムジャール港に到着したところ
正面の教会が建つ小高い丘の上がアインシーレム

ゴゾの首都ビクトリアから#301バス、またはイムジャール港から坂を上って徒歩10分程度で到着します。

アインシーレム界隈を走っていたクリスマス仕様の観光列車
乗客のおじさんが手を振っていた(笑)
アインシーレムの中心広場には、農夫らしき夫婦(?)と猫の像が建つ

港から見えた教会はこの広場に建っていますが、クリスマス時期の教会の前には、巨大なクリスマスツリーが聳えていました。


アインシーレムの教会とツリー
このツリー、多数の空き瓶を組み立てて造られている
2021年にはヨーロッパいち美しいツリーに選ばれた
教会の中に入ってみた
教会の中に飾られていた、ちょっと変わった素敵なクリブ(キリスト生誕の様子を再現した模型)


そして教会の向こうの広場に、ベツレヘム・イン・アインシーレムの会場がありました。

歴代イベントのポスターが展示されている
2020年はコロナで中止だったのだろう
あの門の向こうがイベント会場


今年度の開催スケジュールは、下記の通りとなります。

2023/12/16   15:00 - 19:00
2023/12/17   15:00 - 19:00
2023/12/19   09:00 - 12:00
2023/12/23   16:00 - 19:30
2023/12/24   13:00 - 16:00
2023/12/25   16:00 - 19:00
2023/12/26   14:30 - 19:00
2023/12/27   16:00 - 19:00
2023/12/30   16:00 - 19:00
2024/1/1    15:00 - 19:00
2024/1/7     14:30 - 19:00

入場は無料です。

がちベツレヘム

門の向こうの広場には、2000年前のベツレヘムの街がそのまま再現されていました。

広場の中の生垣や水車
年季が入った感じのつるべ井戸
池にはアヒルもいた
当時のベツレヘムの生活を説明するパネル


よりベツレヘムの生活感と再現性を出すためか、会場では羊、馬、ロバ、ヤギ、鶏といった生き物たちが飼われていました。

ロバ
馬小屋から顔を出す馬
イエス様誕生シーンといったら馬小屋です

ヤギ小屋で戯れる子ヤギたち


そんな中、ある動物小屋に近づいてみると……


あの小屋の中に小さな動物がいると思ったら……
なんと、中で昼寝していたのは子猫だった!

ベツレヘムのイベントに、なぜ子猫……?

しかも、下の階は鶏小屋!


会場にはベツレヘムのコスプレをしたスタッフたちがいて、随所でパフォーマンスを見せていました。


会場を行き交うベツレヘム衣装のスタッフたち
ベツレヘムの女性に扮したスタッフたちが、当時の糸紬や機織りの実演をしていた
どこの国でも昔の女性の仕事は機織りだったのだろうか
「与作」の女房も機を織ってるし(笑)
来場者のための飲食店や土産売り場も出ているが、販売員もちゃんとコスプレしている
売られている商品はマルタの伝統焼き菓子


やがて「時間」がくると、中央の馬小屋が開場され、並んでいた来場者たちが一斉に中へ入っていきました。
私もその後に続いて入ってみると……

なんと馬小屋の中では、役者さんたちがキリスト生誕シーンを実演していた

赤ちゃんのキリストを抱っこしているのがマリア様、真ん中がヨゼフ、左端の女の子はちょっとわかりません……。

彼らは次々に中へ入ってくる見物人の前でずっとこんなポーズをとり、カメラを向けてくる観客を横目でやり過ごしていました。

役者さんたちの顔に、若干疲れた様子が伺える(笑)


これぞリアル・クリブ(クリスマス時期に出回るキリスト生誕シーンを再現した模型)。

これも信仰心の賜物でしょうか?

ベツレヘムでのキリスト生誕の貴い瞬間を、できる限り忠実に再現しようとした熱意が伝わりました。

ただ1点、この時代に哺乳瓶があったかどうかは疑問が残りますが(笑)。


ベツレヘムにも猫コミュニティーが?

こうして会場をくまなく歩いていたところ、一つ気になるものを発見しました。

会場の隅に、「Cat Shelter」と書かれた猫ハウスが置かれていた


このようなハウスが置かれているということは、イベント会場となっているこの広場は、猫コミュニティーの場となっているのでしょうか。

すると……


猫ハウス近くの生垣に、ひっそりと佇む猫発見
屋根の上にもう1匹
そのすぐ近くに別の猫もいた


間違いなく、この広場は地域猫の住まいとなっているようです。

とすると、先ほど動物小屋の中で昼寝していた子猫も、このコミュニティーの一員かもしれません。

イベントのためにキャスティングされた猫ではなかったようです(笑)。

以下の記事で書きましたが、マルタには地域猫が集まり、地域の人が世話をしている猫コミュニティーが、随所に存在するんです。

ここアインシーレムの広場も、そんな猫コミュニティーの一つなのでしょう。


イベント開催期間中は、人が多くてうるさいな~と猫側は思っているかもしれない


ベツレヘム・イン・アインシーレム、ささやかな知名度の、一地方の小さなイベントですが、どこかほのぼのとした温かさを感じる、独特のイベントでした。

キリスト教徒ではない我々日本人は、クリスマスはキリスト生誕をお祝いするお祭りなんだということを、ついつい忘れがちです。

このイベントは、そんな忘れがちなクリスマスの原点を思い出させてくれ、マルタの人々の、決して畏まらないけど温かな信仰心を垣間見せてくれました。

開催時期中にマルタを訪れたら、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか?

かわいい猫ちゃんにも逢えるかもしれませんよ(笑)


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