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【21.水曜映画れびゅ~】"The Reason I Jump"~自閉症を知る。~


※本記事では自閉症者についての映画のレビューをします。それに伴い、自閉症者の方々について誤解を与えたり、傷つけたりするような意図しない表現・記述がもしかしたらあるかもしれません。その際は、遠慮せずにコメント等でご指摘をお願いいたします。


"The Reason I Jump"僕が跳びはねる理由は、日本人作家の東田直樹著作『自閉症の僕が跳びはねる理由』を原作としたイギリスのドキュメンタリー映画です。

原作『自閉症の僕が跳びはねる理由』について

本作の原作『自閉症の僕が跳びはねる理由』の著者 東田直樹さん。重度の自閉症者の方です。

本を執筆した当時は13歳であった東田さん。
本著においてこれまで理解されてこなかった自閉症者の内面性を著し、大きな注目を集めました。

その影響力は日本にとどまらず、デイビット・ミッチェル氏の翻訳本 ”The Reason I Jump”をはじめ世界中で翻訳・出版されて世界的ベストセラーとなりました。

本著では自閉症者に対する素朴な疑問に対し東田さん自身が一問一答で回答する形式で書かれ、それを通じて自閉症者の感性や世界の見え方などが平易な言葉でわかりやすく表現されています。

その言葉の数々は自閉症に対するこれまでの誤解を解くとともに、自閉症者を子どもに持つ家族にとっては息子・娘を理解するための大きな助けともなっています。

『自閉症の僕が跳びはねる理由』を読んで

私自身も大学の心理学の授業で東田さんのドキュメンタリー映像を観たのをきっかけに、本著を読みました。

正直なところ、この本を読むまで私は「自閉症者=異質な存在」というステレオタイプを持っていました。

それゆえ、私は自閉症の方のことを何も考えることも感じることもできない”かわいそうな存在”と勝手に思い込んでいました。

しかしこの本をを通じて、その考え方が180度変わりました。

東田さんの言葉から、自閉症の方は私と同じように考えて、同じように感じていることを知りました。

そして、自閉症の方と私との違いというのは「ほんの一部」であるように思えました。

その「ほんの一部」にばかり注目していたため、ほかの部分も違っていると思い込んでいたことに気づかされました。

そんな本著に出会い、感銘を受けたのがおよそ3年前。

それを原作にした映画が今年公開されると聞きつけ、公開日に劇場へ足を運びました。

映画について

『自閉症の僕が跳びはねる理由』の言葉を辿りながら、世界各国(インド、アメリカ、イギリスなど)の自閉症者を追ったドキュメンタリー作品。

多様な自閉症者の生活のあり方や「強いこだわりを持つ」という特徴を映すとともに、「自閉症者は少し私たちとは見える景色や聞こえる音が異なっている」という東田さんの記述を基に自閉症者特有の見え方・聞こえ方を再現した映像・音響というものが随所に見られました。

私にとってはその映像は実に美しく思えました。

また自閉症者のみならず、彼らを支える家族や支援団体にも焦点が当てられいました。

「どうしても理解しきれないと思っていた息子・娘への一助となったのが”The Reason I Jump”自閉症の僕が跳びはねる理由であった。」

自閉症の息子や娘を持つ人々がこのように口を揃えて言っていたのが、とても印象的でした。


”Here we are”旅立つ息子へ

自閉症関連の映画として、イスラエル映画の『旅立つ息子へ』も現在公開中です。

愛する息子ウリのために人生を捧げてきた父アハロンは、田舎町で2人だけの世界を楽しんできた。しかし、別居中の妻タマラは自閉症スペクトラムを抱える息子の将来を心配し、全寮制の支援施設への入所を決める。定収入のないアハロンは養育不適合と判断され、裁判所の決定に従うしかなかった。入所の日、ウリは大好きな父との別れにパニックを起こしてしまう。アハロンは決意した。「息子は自分が守る―」こうして2人の無謀な逃避行が始まった。 

公式サイトより

自閉症の子供の自立をテーマにしているこの作品。

コメディ作品とドキュメンタリーという映画のジャンルこそ違いますが、『僕が跳びはねる理由』とつながる部分も多くあると思います。

ぜひ、あわせてご覧になってください。


前回記事と、次回記事

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次回の記事では、マシュー・マッコノヒーの怪演が輝る"Magic Mike"マジック・マイクについて語っています。