星の王子様 読書記録 第27節 王子様と別れて6年後
今はもちろん、既に6年がたった。僕はこの話をまだ誰にもしたことがない。僕に再び会った同僚たちは、僕が生きて戻ったことをとても喜んでくれた。僕は悲しかったのだけど、彼らには「疲れているんだ。」と言った。
今は僕の気持ちも少し落ち着いた。つまり、完全に、ということではないけど。でも僕は、彼が自分の惑星に戻ったことがよくわかっている。なぜなら、日が昇った時、僕は彼の体を二度と見ることはなかったから。そんなに重たい体ではなかった。そして僕は夜、星に耳を傾けるのが好きだ。5億の鈴のようだ・・・。
だけど、ここでとてつもないことが起こる。僕が王子さまに描いてあげた口輪、僕は、革ひもを描いてあげるのを忘れていたんだ!羊に口輪を付けることは決してできなかっただろう。それから僕は思った:<彼の惑星では何が起きただろうか?ひょっとして、羊はあの花を食べてしまっただろうか?>
✅courroie
♢女性名詞
①ひも、帯、バンド
✅cuir
♢男性名詞
①皮革、革、レザー
またある時はこう思う。いや、絶対に違う!王子様は夜じゅうはずっとガラスの覆いで花を閉じ込めているんだ。そして、羊をよく見張っている。そうすると僕は幸せな気持ちになる。そして、全ての星たちが穏やかに笑う。
🌈単語
✅surveille
♢他動詞 surveillerの第3人称単数形
①・・・を監視する、見張る、見守る、警戒する
✅sûrement
♢副詞
①確かに、必ず、きっと;多分
②確実に、間違いなく
③安全に
またある時はこうも思った。人は一度や二度くらいうっかりするものだし、それだけで万事休すだ!彼はある晩、ガラスの覆いをかけるのを忘れたり、羊が夜の間にこっそりと出て行ったり。そうすると鈴はみんな涙に変わってしまう!
🌈単語
✅distrait
♢他動詞 distraireの半過去形第3人称
①・・・を楽しませる、に気晴らしを指せる
②<~qn(de qc)>(仕事などから)・・・の気[注意、関心]をそらせる。
ここにとても大きな神秘がある。王子様のことが好きな君たちにとっても、僕と同じように、もしどこかで、誰も知らないところで、私たちが知らない羊が、薔薇の花を食べてしまったかどうかによって、宇宙全体が全く違うものになる。空を見てください。胸に聞いてみてください。羊はあの花を食べてしまっただろうか?それとも食べなかっただろうか?すると、いっさいが変わって見えるだろう・・・。
そして、大人たちは誰一人、これがとてつもなく重要なことだということが、絶対にわからないだろう!
🌈文学
とうとう物語としては最後になった。王子様が死に、サンテグジュペリは砂漠から無事生還した。
王子様との別れは、サンテグジュペリにとって大きな悲しみとなった。
この節は、サンテグジュペリのありったけの怒りが見て取れる。大人たちに対しての・・・。
キツネとの出会いから尾を引く今までの話は、「友達とは何か」を伝えているものだと考えられる。もちろんこれだけではないが、この物語に沿って「友達」というものを考えるなら、それはこういうことだ。
常日頃から側にいたり、他にもSNSや電話を介したりすることで、楽しくおしゃべりをしたり、どこかに遊びに行ったりする。それで、私たちはその人のことを友達だと思っていることがある。確かにそれもそうかもしれない。でも、実際に目に見えるとか、傍にいるかどうかによってでは、友達であるとは限らない。ただの知り合い、ただの話し相手との境界線なんて曖昧なものだからだ。
そして、ひょっとすると彼らは何かのきっかけに離れ離れになって、いつか、ああ、昔そんな奴いたっけな・・・程度のことしか考えないかもしれない。それって友達っていうのだろうか。
あなたがあるとき、「その人」のことを思い浮かべる。そして、その人にとって、何かいいことが起きたと思えば、あなた自身もうれしくなり、胸がウキウキしてくる。逆に、もし何か悪いことが起きているんだ・・・と思えば、あなた自身も悲しくなり、心が沈んでしまう。
このような関係が認められるとき、それを友達というんだと・・・。私たちも、王子様の羊が、あの薔薇の花を食べてしまったかどうかを考えてみよう。王子様のことを本気で好きな私たちにとっては、そうであるかどうかによって、心中がどのように変化するか・・・わかるはず。
私自身も、変な話と思われるかもしれないが、ある赤ん坊と絆を持ったことがある。その子は0歳児だったので、その子は全く私のことを覚えてはいないだろうけど・・・。
他にも、当時小学2年生くらいの女の子とかとも大変仲良くなったことがある。
私はその子たちとは10年以上も会っていない。しかし、たまにその子のことを考えることがある。もしその子がこの人生を楽しく、明るく過ごしていると考えると、不思議と胸がウキウキしてエネルギーが湧いてくる。
ところが、もし何か嫌なことがその子に起こっていると考えたら、先ほどのウキウキ感はどこかにいってしまう。これがこの節でサンテグジュペリの語る「神秘」なのだろう。
きっと「友達」とはこういうもの。そして、「王子様」の正体は、「友達そのもの」だったのかもしれない。
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