【観光】ドイツ人観光客の特徴

こんちは。「に」を奪われた新小樽少年です。

今回の記事ではテキストに則って、「ドイツ人観光客の特徴」について取り上げます。そこから観光需要はどのように発展をして、それを刺激した要因はどのようなものがあるのかを考察していきたいと考えています。

今回もお付き合いください。

1.海外旅行の需要

上の記事では「旅行参加率」という概念から、ドイツ人観光客は1950年代以降、その参加率を上昇させてきました。その嗜好の変遷も1950年代は国内旅行を好む客が多かったですが、1968年時点で海外旅行を好む客が多くなりました。

ドイツ人の好む外国旅行先の上位3か国の変化
1980年代の上位:オーストリア、イタリア、スペイン
2009年の上位:トルコ、アメリカ、エジプト、タイ、中国、チュニジア

しかし2001年以降、外国旅行の需要はわずかに低下しています。
その原因は2001年に発生したアメリカ同時多発テロ、ドイツの経済状況、旅行再起での価格上昇などがあります。

2.夏に集中する旅行行動

休暇旅行の39%は6月から8月に集中しています。この要因は何でしょうか。

要因①:気象条件
夏の3ヵ月は景観のいい場所でサイクリングやハイキングなどのアクティビティをするには最高です。

要因②:伝統的な理由
昔からこの時期は休息をとるために過ごすと分かる。

要因③:学校の定期的な休みと企業の休暇を合わせるため
簡単に言えば、家族と過ごす時間をつくるためです。

要因③に関しては日本とは少し異なる価値観ですね。このような家族と過ごす時間が社会が設けることで離婚率など減ったり、幸福度など上がったりするのでしょうか。

3.旅行の交通手段+環境負荷

上で述べたように、夏のシーズンは観光産業が盛んになります。それゆえ道路なども混むことがあります。私も初めてドイツに行ったときは9月初旬だったのですが、アウトバーンがとても混んでいた記憶があります。

2010年ドイツ人の47.7%が車を利用して休暇旅行に行きました。次に飛行機、バス、列車と続きます。このデータから、海外旅行と言っても、ヨーロッパ内旅行>アジア旅行という優先順位があることがわかります。

それゆえ前回の記事で日本はドイツ人を観光産業のターゲットにするべきだという考えは説得力をあまり持たない気がします。

交通手段の変遷も、1950~60年代は列車がメインでしたが、後に減少していきました。

飛行機が登場したのは1970年代頃で、低価格かつ観光の行動範囲をはるかに拡大しました。

このような交通の変化と観光行動の拡大は環境負荷へとつながっています。

外食・小規模レストラン向け

(筆者作成)
環境省のデータのよれば、1世帯あたり年間1.31トン二酸化炭素(自動車)を排出しているいます。

4.旅行手配と宿泊施設

手配旅行とは旅行代理店などに依存した旅行の形態のことを言います。これに対して個人旅行とは移動手段や宿泊施設も全て自分一人で行うと旅行形態のことをいいます。バックパッカーとかはこっちに該当します。

ドイツ人では個人手配が多かった旅行から手配旅行を利用する観光客が増加しました。2010年で手配旅行を利用するお客さんが54%に達しました

宿泊施設に関してはホテルやユースホステルなどの施設を利用する人が多く、その利用率も年々上昇傾向にあります。

5.観光需要を刺激した要因

1年間で5日間以上の休暇旅行をしたドイツ人は、1954年の930万人から2010年に4870万人に増加しました。このような観光需要の増加には、経済的な原動力、政策的自由化、交通機関の革新、新しい価値観が上手く複合化したことが大きいです。

①経済的原動力
所得の向上⇒生活必需品、耐久消費財の供給が満たされた。
観光関連の価格上昇が比較的低かった
低料金の休暇旅行と便利な手配が爆発的な需要を引き起こした。

②複数の政策・法律の改正
国の旅行制限やヨーロッパの国境検問所の撤廃
ユーロの導入によって価格の透明性を高めた。

③技術革新
・モータリゼーションによる自家用車の普及
移動スピードの向上と旅行コストの低下
通信機器の改良と旅行予約システムの利用が増えたこと。

④その他の要因
休日の増加(ドイツは30日近くの有給休暇を消費する義務がある)
フレキシブルな勤務形態により短期旅行が可能になった。
女性の雇用が増えたことで子供を持つ年齢が高くなった⇒旅行機会の増加
学歴の向上⇒語学力の向上、観光に対する認識が向上。
(学習や教育の質はあくまでもドイツ基準)
価値観の変化⇒グローバル化や環境への関心や意識が向上。

これらの要因が複合的に需要を刺激して、観光産業の発展に貢献していると解釈できます。

6.まとめ

ここまでドイツ人の観光的特性と、ドイツ人の観光需要の変遷を見てきました。その内容からは観光がどのように発展してきたかを考察するには十分なエビデンスが散りばめられていたと思います。

観光は国際的なアクシデント、テロや今回のコロナウイルスなどによって観光需要は一時的に低下しますが、すぐに回復します。観光意欲が途切れることはありません。

私は今回のこの記事を作成するにあたって、観光はその国の豊かさをいかに表すものなのかということが分かりました。観光はお金のかかる娯楽であることは間違いありません。それゆえ安定した国民の生活基盤やインフラが前提として必要になると思うからです。

そして休日の増加やフレキシブルな勤務形態が観光需要を刺激するのは間違いありません。ではその観光が生活の満足度にどれだけ貢献しているのかということを定量的に把握出来たら、新しい政策として反映できるのではないでしょうか。

新小樽少年

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