長編小説【三寒死温】Vol.6
第一話 人探しの得意な探偵
【第五章】春に降る長雨
祭りの最中の女衆のようなハードな雑用にどうにか身体が慣れてきた頃になって、仕事の合間を縫って私は残してきた娘たちに手紙を書いた。
自分自身が外に出て遊ぶような余裕はないけれど、少なくともこの街には活気が溢れている。川の西と東とでは雲泥の差がある。進駐軍が相手だということさえ目を瞑れば、こちらにはまっとうな仕事がある。私たちと似たような境遇の未亡人も数多くいるし、娘も自分と似たような境遇の友だちと仲良く暮らしている。
そ