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記憶の引き出しを開けて

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僕が文学に目覚めた頃、出会った風景や人々、感動した小説に関する記事を集めてみました。
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記事一覧

僕が出会った風景、そして人々(番外編その⑪)

遺跡の発掘現場で芽生えた恋 前回はT坂遺跡の現場開始にあたり、新メンバーを招集したところ…

asami_kun
9か月前
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僕が出会った風景、そして人々⑨

はじめにアルバイトありき 共同で一軒家を借りて、自由気ままな暮らしをしていた僕たちだった…

asami_kun
1年前
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『僕が出会った風景、そして人々』⑧

アルバイトのお話 舎人時代における僕の生活基盤が家庭教師だったことは前回までにお話しした…

asami_kun
2年前
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『僕が出会った風景、そして人々』⑦

舎人ふたたび このシリーズは⑥をもって終了し、番外編に移行したはずであった。 けれども、…

asami_kun
2年前
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僕が出会った風景そして人々(番外編その⑩’)

僕の記事を読んでいただいている皆さんへ。 ごめんなさい。その⑩を、書ききらないうちに公開…

asami_kun
2年前
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僕が出会った風景そして人々(番外編⑨ )

発掘現場の人間模様その2 この物語(?)に登場する人物については、「番外編⑤」でも簡単に触…

asami_kun
2年前
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僕が出会った風景そして人々(番外編⑧)

さて、話を元に戻そう。はからずも初心者の僕がリーダーにされてしまい、波瀾万丈のスタートを切った発掘調査だったが、やがて待ち望んだ正規の調査員”ジャングルK内”が加わり、やっと現場らしくなった。  K内氏は、ジャングルというあだ名の如く顔面は髭ボウボウ。クロマニョン人的な顔立ちにサングラスをかけており、おまけに肩をいからせて歩くので、見た目はかなりコワい。  話しぶりも、低い声で「ボソボソ・・・」で、近寄りがたい雰囲気を醸し出していたが、知り合ってみるとなかなかお茶目な男であ

僕が出会った風景そして人々(番外編⑦)

発掘調査の範囲(時代・深さ) さて、現場の発掘調査に話を戻そう。前々回に、重機による表土…

asami_kun
2年前
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青春の道化師(冒頭)

花火の夜 東京の七月は暑かった。梅雨が終わったかと思うと、またじとじとと降り出し、蒸し暑…

asami_kun
2年前
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僕が出会った風景そして人々(番外編⑥)

滑稽と悲惨は紙一重である さて、この現場、構成メンバーが豪傑(?)揃いだったのと、図らず…

asami_kun
2年前
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僕が出会った風景、そして人々(番外編⑤)

僕が最初に入った現場は、その後1ヶ月ほどで調査が終了した。 当時は自分が何をやっているの…

asami_kun
2年前
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僕が出会った風景、そして人々(番外編④)

僕はこの現場で、一人の青年と出会い、意気投合した。 名前は〇塚君、年は僕より2コ下だった…

asami_kun
2年前
9

僕が出会った風景、そして人々(番外編③)

発掘現場の仕事 次の日、現場に行くと、新しい仕事が僕を待ち受けていた。遺物上げだ。 笑い…

asami_kun
2年前
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僕が出会った風景、そして人々(番外編②)

発掘アルバイトの初日、「ゴミ穴掘り」という重労働プラス「軽トラの荷台から落っこちる」というダブルパンチを受けた僕は、身も心も疲れ果ててアパートに帰った。バスを降りてとぼとぼと歩く道すがら、電信柱にとまったカラスが僕の背後で「アホー、アホー」と鳴いた・・・。 4畳半ひと間の薄暗い部屋に戻り、冷蔵庫から缶ビールを出して一気に飲み干した。 冷たいビールが喉を通り、胃の中に流れ込んでいく。 「・・・うまい・・・。」 6月の終わりで暑いということもあったが、重労働の後のビールっ