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はらぺこあおむし

子供には子供の事情があるようで、時に大人には理解できない行動をとるのは世間の多くのお父さん・お母さんが感じているところかと。
自分も娘が3歳となり、だいぶ言葉でのコミュニケーションが取れるようになってきたものの、時々、言っていることややっていることが意味不明な時があります。

せっかく買ってあげたおもちゃを数時間遊んだら飽きてしまい、以降、全然さわりもしないかと思ったら、古い絵本を数十日連続で読んでくれとせがんだり。
youの飽きスイッチはどこにあるのだ・・・笑

そんな飽き性気味の娘に1年以上に渡り愛されている作品の一つが、ご存知の方も多いであろう「はらぺこあおむし」。
自分が小さい時にも見たような・・・と思ったら、発売は1976年だとか。すごい長寿ですね。子供の絵本には結構そういう長きにわたり愛されている作品がおおいような印象です。
書店を覗くと、ヨシタケシンスケさんの新作が出てたりおしりたんていシリーズがあったりと新規の参入はあるものの、ベテラン選手も結構な割合で書棚のスペースを占有している、そんな印象を受けます。
アンパンマンの万人からの愛され具合にも通じるものがあるような気がしますが、小さい子供が興味を持つ・楽しいと思うことには共通項があり、古典的な作品はそう入ったツボを押さえているのかもしれません。

で、はらぺこあおむしの話。
寝る前に子供に読みまくっていたら、自分も諳んじられるくらいになってしまいました笑

ストーリーはシンプルで、卵から青虫が、毎日たくさんの食べものを食べて大きくなり、最後にうつくしいちょうちょになるという成長物語。
穴の空いたページがあったり、非常に色鮮やかな蝶々が出てきたり、触覚も視覚も楽しめる作品。

絵本はめちゃくちゃ考えて作られている

ストーリーの文字だけ追うと、大人は1分もかからずに読了できます。
でも、改めて見直してみると、実社会にも通じたり、社会に出たときの導入となるような情報が散りばめられています。
・栄養をとって、大きくなること
・バランスよく食べねばならぬことの示唆
 →お菓子等を食べすぎて腹痛になるが、葉っぱ(野菜)を食べて治るアオムシ
・曜日の名前
・数字
そう入ったものが、自然と頭に入ってくるような作りになっています。
ただ簡単な話にすれば子供も理解できるだろうという安直な思想ではないんですね。

エリック・カールさんのこと

本書の特徴の一つはその鮮やかで美しい色使いかと思います。
作者のエリックさんは、戦争を経験しており(ドイツ)、当時は実用性という観点から彩豊かなものなぞなかったそう。で、美術学校で色の可能性を知り、現在の作風になったのだとか。
あと、話の中でアオムシが食べ過ぎで腹痛になる件。エリックさんも戦争時の飢餓を経験していて、食事のありがたみ・大事さが常に頭にあったようです。
そう入った背景を知ってから読むと、エリックさんの本書に詰めた思いというのがより強く感じ取れるような気がします。
自分が好きな出口さんの本にも詳しく書いてあります。他にもいろいろな児童書が紹介されていて、おすすめ。

大人になるにつれて、どうも速読というか本を買っても必要な部分だけ短時間で読み、仕事に活かすことが大事という効率ばかり追い求める機会が増えたように思います。
時々、こうやって児童書にふれ、その背景・意味合いにじっくりと思いを馳せる。
そんな贅沢な時間を持つのも良いかもしれませんね。

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